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アズールエクストレマドゥーラ(Azul Extremadura)のしらべ
深い森に囲まれた湖や池を渡る風は、水面にさざ波を起こします。その、さざ波を思い起こさせるような御影石がスペインで採石されています。木々に囲まれて少し暗い水面に起こる小さな波の色は、ダークブルーの「アズール エクストレマドゥーラ」の表面にも見られます。
日本ではアズールエクストラ、アズールエクストレメーノとも呼ばれて輸入されています。
「アズール エクストレマドゥーラ」の原産地
スペイン王国の中央西よりにあるポルトガルとの国境に近い所に、「アズール エクストレマドゥーラ」の採石場があります。
エクストレマドゥーラ州は二つの県で構成され、北側をカセレス県、南側がバダホス県となります。
カセレスは山に囲まれた内陸の街で、紀元前にはすでに交易都市としての役割をはたしていました。中世に於いては、様々な権力者がこの街を守るために壁を築いて取り囲みました。旧市街地には当時の建造物などが多く残されていて、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
街から北に向かっていくとモンフラグエ国立公園と言う自然保護区があり、多くの動植物が生息している地域があります。この公園の一番の特徴は鳥類が多い事です。特に、イヌワシやクマタカ、ハゲワシなどの猛禽類が多く、20種以上が生息しています。食物連鎖の頂点に位置するこれらの鳥が暮らせると言うことは、自然が豊かであることの証と言えます。
また、ここにはデヘサと呼ばれる地中海性の森が、草原とコルクガシやオークなどの樹々で形成されています。
「アズール エクストレマドゥーラ」の特徴
「アズール エクストレマドゥーラ」は、比較的色の濃い御影石で、青味のあるグレーの色をしています。
御影石は学問上では花崗岩が多いのですが、「アズール エクストレマドゥーラ」は閃緑岩(せんりょくがん)という岩石に分類されます。
花崗岩と同じ深成岩で、地球の深い所でゆっくりとマグマが冷えて出来た岩石です。花崗岩よりは黒っぽい色をしている事が多く、輝石(きせき)という構成鉱物が黒や緑の色をしていて、「アズール エクストレマドゥーラ」の色を引き出しています。
加えて輝石はガラスのような光沢があって、光によく反射するので、石全体がキラキラと煌めく様子が見られます。石目は中くらいで、青灰色の部分と黒雲母の作り出す黒い粒の入り具合で、色の濃淡が生じます。
色の薄い所は透明感があって、平面でも奥行きがあるように見えます。
アズールとはスペイン語で青色を指す単語です。その為、「ブルー エクストレマドゥーラ」と呼ばれる事もあります。
「アズール エクストレマドゥーラ」を取り扱う時の留意点
表面加工について
御影石には、表面の仕上げ方法が数種類あります。鏡のようにスベスベしたツヤのある本磨きと呼ばれる鏡面加工と、ザラザラした表面の加工方法が複数あり、見た目の印象が変わってきます。ツヤのある表面では、濃い目の色で石目もはっきりと見る事ができます。
「アズール エクストレマドゥーラ」の青味のある色合いを一番引き出せるのはこの方法です。しかし、使用する場所によってはツヤのあるものは向かない場合もあります。ザラザラしたツヤの無い物は、比較的色味が薄くなる事があります。様々な加工方法があるので、場所やシーンで使い分けてください。
お手入れ方法
御影石は劣化しにくく様々な外的要因に強い石材です。しかし、お手入れを怠ると、シミや屋外に設置してある場合では苔などが生えてくる可能性があります。
ザラついた表面加工の物は、こまめにホコリなどを取ってください。
その後、水洗いなどで細かい汚れを落として、出来れば水気はふき取ってください。
「アズール エクストレマドゥーラ」に適した製品
表札など
表札や会社の銘板など名前や名称を刻む良い素材と言えます。
御影石は、屋外に設置しても、風化や近年言われる酸性雨にも耐える良質なアイテムです。「アズール エクストレマドゥーラ」は濃い目のグレーで青く見える物もあるので、高級感と上品な印象を与えてくれるのではないでしょうか。
お庭に
御影石は、庭園や神社仏閣などの境内にある様々な物に利用されてきました。現代の一般家庭では、日本庭園のような庭を作ることはあまりありませんが、ガーデニングを楽しむ人は多いようです。四季折々の花や、美しい樹木などを思いのままに植えて家の周りを華やかな雰囲気で囲みます。
昔は灯篭を置いていたような場所には、LEDを利用した照明が作られています。また、花壇の仕切りに御影石を利用する事もあります。「アズール エクストレマドゥーラ」の濃い目の色合いは、お庭のアクセントになり、全体を引き締める効果もあるでしょう。
「アズール エクストレマドゥーラ」のまとめ
「アズール エクストレマドゥーラ」は、ユーラシア大陸のほぼ西の端で切り出されています。古い採石場には、石を切り出した後の窪地に雨などで水が溜まることがよくあります。大きな水たまりは、晴れた日や曇った日の空の色を映して、青や、青灰色に見える事があります。
空の色や水に映るその色が、地中深くにも存在していたことは、地球の全てが繋がっていると言える証明になるのではないでしょうか。
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