ウィニペグのスケートシェルター(Winnipeg Skating Shelters)

「ウィニペグのスケートシェルター」のご紹介

 

屋外で活動する時に夏の暑い日であれば、枝を張った木の下や公園などの東屋、大き目の日よけ傘などが日陰を作り、暑さを軽減してくれます。しかし、冬季では寒さを防ぐためには暖房が無くても屋内に居ることが1番ではないでしょうか。でも、寒い冬だからこその楽しみもあります。カナダのある街には、冬になると大きな川が凍り付き天然のスケート場になる場所があります。そこには6つの身を寄せ合う妖精のような形の寒さを凌げる休憩所が設置されています。「ウィニペグのスケートシェルター」は冬の寒さを楽しむ人々に心地よい空間を提供しています。

「ウィニペグのスケートシェルター」の設計者

 

「ウィニペグのスケートシェルター」を作ったのはカナダの建築事務所、パトカウ アーキテクツです。ジョンとパトリシアのパトカウ夫妻が運営する会社で、1978年にカナダ南西部のエドモントンに開設しました。1984年にはカナダで3番目に大きな都市のバンクーバーに移転して今に至ります。ジョンは1947年、パトリシアは1950年、共にカナダの南部中央に位置するウィニペグと言う街で生まれました。彼らは生まれ故郷の街にある国内でも最古の部類に入り、トップクラスでもあるマニトバ大学に在学しているときに出会いました。パトカウ アーキテクツが手掛けているのは小規模から中規模の企画が多く、大規模な物はあまり扱っていません。それは、彼らの建築に対する思いと、好んで使っている素材に関係しているようです。自分たちが生まれ育った環境や伝統を尊重して上で、新しい建築を行っていくことと、建設する場所や目的など様々な要素の魅力を集約して作り上げています。デザインも繊細で、しなやかな雰囲気を持つものが多く、趣のある作品がたくさんあります。素材に関して彼らは、木を好んで使っています。木の性質をよくわきまえた上で、色々な加工を施し、適した使い方を考えています。このような活動から、木材建築に与えられる様々な賞を受賞しています。また、カナダの勲章も授けられています。

「ウィニペグのスケートシェルター」の所在地

 

「ウィニペグのスケートシェルター」は、カナダ中央部のマニトバ州の州都で州の南部に位置するウィニペグという街に設置されます。マニトバ州は北米大陸の中央部に広がる、プレーリーと呼ばれる広大な草原地帯に含まれています。ウィニペグ市は街の北東にある湖の名前が自治体の名称になっています。北西にも州の名称と同じ名前の大きな湖があります。1年を通して寒冷な地域で、平均の最低気温が氷点下を上回るのは、1年のうち夏季の4カ月しかありません。また、半年近くは平均気温が氷点下を下回っています。しかし、国内で2番目に晴れの日が多く、1年間で晴れ間のない日は2カ月もありません。地形は、プレーリーの中にあるので、平坦になっています。アメリカ合衆国に端を発するレッド川をはじめ、比較的大きな河川が4つもあるため、このような地形なので古くから洪水の被害を受けてきました。でも、川が氾濫することで農業に適した土地は肥沃になっています。この街には多くの博物館があり、21世紀に入ってから国の文化都市に選ばれています。また、多くの祭りも執り行われています。中でも、毎年8月に2週間にわたって開催される「フォークロラマ(民族ラマ)」は、世界中の民族や文化を紹介する50年以上続くお祭りで、多い時には市内に40以上の会場が設置されます。

 

「ウィニペグのスケートシェルター」の特徴

 

「ウィニペグのスケートシェルター」は、長い冬の間に凍り付いた川の天然のスケート場でスケートを楽しむ人々に、寒さを和らげて休憩できる場所として作られました。「ウィニペグのスケートシェルター」を考案して作り、設置した建築事務所の得意とする木を材料とした建物です。一見すると氷の上に設置されたオブジェのように見える6個のシェルターが、慎重な計算の上で出入口が内側に向くようになっていて、風に背を向けるように配置されています。厚さ約5㎜の板を2枚張り合わせた特別な合板をいくつかの型に切って、それを様々な形に組み合わせたり、大きな部分は板を曲げて組み立てられています。形を決定するまでは、厚紙などで何度も組み立てのテストを行っていて、いくつかの形が決められました。床の部分も木材の板で、長いボルトで氷に固定されています。組み立てられたシェルターは、同じ木材で作られた椅子が備え付けられた床の部分に連結されます。床の形は1角が緩やかなカーブになった3角形で、各辺がわずかに膨らんでいて、おにぎりのような形に見えます。風と低温を防ぎますが、明かりは取り入れられるように、上のほうには開口部が作られています。上のほうに向けて先細りになったような形や、細長い台形を変形したような形の上部が開いているので、周囲が暗きなる時間では内側からの明かりで、ランタンのような印象になります。

「ウィニペグのスケートシェルター」のまとめ

 

氷の上で寄り添い、内緒話をしている妖精達のような雰囲気のある「ウィニペグのスケートシェルター」は、暖房があるわけではないので暖かくはありません。しかし、-40℃を下回ることもある天然のスケート場で強い風が吹けば、体感温度では一段と寒さが強く感じられます。「ウィニペグのスケートシェルター」の適度な狭さは人々がおしゃべりに花を咲かせ、遊び疲れて一休みしたいときに最適な場所を提供しています。

 

 

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