マカオ科学館(Macau Science Center)

「マカオ科学館」のご紹介

 

博物館は、歴史や自然、文学、企業の宣伝を兼ねた物など様々なテーマで作られていて、どのような内容の博物館でもワクワクする場所ではないでしょうか。「マカオ科学館」は、何度でも訪問したくなるような場所として開館した、ワクワクするような外観をした博物館です。

「マカオ科学館」の設計者

 

生まれ故郷の近くに建設された「マカオ科学館」を手掛けたのは、当時の中華民国、広東省広州市で生まれたイオ・ミン・ペイ(貝 聿銘)です。代々大地主だった家系で、銀行員だった父親の元に生まれたのが1917年でした。幼い頃は、上海の租界で西欧の文化に触れ、西欧風の教育を受けて育ちました。また、家族から中国の文化や儒教や道教などの教えも受け、洋の東西を問わず様々な思想や文化に親しんで子供時代を過ごしました。その頃に、蘇州にある親族所有の庭園で、自然と人工物の融合によって素晴らしいものが作り出されていることに強い興味を持ったようです。基礎教育を終え、17歳で単身アメリカに渡り、建築の勉強を始めましたが、その頃の建築に於ける思想と人種差別に嫌悪感を抱きすぐにその大学を退学しました。編入したマサチューセッツ工科大学では建築から離れていましたが、彼を教えていた教授が彼の才能に気づき再び建築の道に進むようになりました。幼い頃の様々な影響もあって、彼の作品は伝統的な建築方法も取り入れながら、シャープで簡素ではあるけれど、品格も持ち合わせている建築物を生み出しています。37歳の時にアメリカの市民権を取得し、中国で生まれた彼はアメリカ人として102歳と言う長寿で人生の幕を下ろしています。

「マカオ科学館」の所在地

 

中華人民共和国の2つある特別行政区の1つマカオは、中国本土から延びる半島部分と2つの島から成り立っています。「マカオ科学館」は半島部分の南端の海沿いに建てられています。中国南部を流れる珠江(パールリバー)の河口に当たる地域で、元々2つの島だったタイパ島とコロアネ島の間は埋め立てられて、現在は1つの島のようになっています。1999年まではポルトガルの領土でしたが、その年の終わりに中国へと主権が返還され、同じくイギリスの領土であった香港と共に現在は特別行政区となっています。マカオの半島部分は元々商業が盛んだった所で、「マカオ科学館」がある大堂区は証券会社や銀行などの金融業が集まる金融センターとしての地位を築いています。また、マカオの中でも学校の多い地域で、2つの大学と初等、中等教育の複数の学校があります。他にも公共の図書館や美術館、博物館も多く、教育や文化の中心となっています。2005年には複数の建造物や広場などが「マカオ歴史地区」として、ユネスコの世界遺産に登録されています。ポルトガルの植民地時代の西洋と古い中国の文化が融合した、東洋でも西洋でもないエキゾチックな街並みが多くの観光客を引き寄せています。

 

「マカオ科学館」の特徴

 

2009年に開館した科学技術や自然科学を学べる5階建の博物館が「マカオ科学館」です。広い敷地には本館とプラネタリウムと会議センターの3つの建物が点在していて、設計者のイオ・ミン・ペイは「円錐形とドームと菱形の遊び心のある建物」と言っています。本館とプラネタリウムは、ガラスとアルミメッキの外壁がメタリックな印象を与えています。本館は東に少し傾斜した円錐形で、上部に取り付けられた庇のような構造物がある為に巨大なロボットの頭部のように見えます。本館の最上部には巨大な短い煙突のように見える天窓が作られています。ツヤを抑えたような白っぽい金属とその形は無機質な印象を与えていますが、科学と言う分野を考えれば最適な組み合わせと言えるのではないでしょうか。内部は大きな螺旋を描きながら最上階まで上がれるスロープがあり、中心部は大きな空洞になっています。中心部の空洞には、中国の「神舟7号」と言う宇宙開発に使われたロケットの模型や、それより小さいサイズのロケットなどが展示されています。本館のそばには展望台が作られていて、渡り廊下で繋がっています。展望台は、外からも上がれるようになっていて、マカオの360度の景色を見ることが出来ます。プラネタリウムのドームは本館と1階部分で繋がっていますが、ドームを取り巻くような螺旋の通路を通って内部に入るようになっています。

「マカオ科学館」のまとめ

 

「マカオ科学館」は、子供たちの科学への興味を引き出すことを念頭に作られた博物館で、様々な展示だけでなく、体験を通して遊びながら科学を知ることのできるワークショップも行われています。何度も繰り返し訪れたくなるように工夫を凝らしたプログラムが組まれていますが、何より「マカオ科学館」の外観に惹かれるのではないでしょうか。半島の突端に建設された「マカオ科学館」は、海からもよく見える為、マカオの新しいランドマークとしての役割も果たしています。本館入り口にはハート型に育っているガジュマルの木が植えられていて、子供たちだけでなく、若いカップルにも人気のスポットとなっているようです。

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