トーレ・アグバール(Torre Agbar)

「トーレ・アグバール」のご紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面から生えてきたようなビルが、スペインの街に建っています。碁盤の目の様な四角く区切られた町並みの中に、そそり立つような円筒形のビルです。吹き上げる水をイメージした「トーレ・アグバール」をご紹介します。

 

「トーレ・アグバール」の設計者

1945年にフランスの南西部にある街で生まれた、ジャン・ヌーヴェルが「トーレ・アグバール」の設計を手掛けました。十代の頃に学校の先生に勧められて絵を描くようになってからは、将来は画家になりたいと思っていたようです。美術の学校に通っていた時に、建築事務所で働く機会があって、建築の才能があることもわかりました。美術学校を卒業してからは、建築家としての活動を開始しましたが、教師をしていた彼の両親の力添えもあったようで、順調なスタートとなったようです。彼の作品の特徴はガラスを用いたものが多く作られています。近年の高層ビルは外壁にガラスを使う事が多いですが、彼の作る建物はそれだけにとどまりません。様々な加工のガラスを使って、採光や反射を利用した光の空間を作り出しています。反射の角度を調整して、屋内の奥深くに自然の光を取りこむ方法も取られています。また、見る角度によっては、背後の景色に溶け込んで透明になってしまうような建物も作ってしまいます。逆に透明であるはずのガラスを使って、一風変わった存在感を引き出す建造物も生み出しています。

「トーレ・アグバール」の所在地

スペイン王国の北東部、地中海の沿岸にあるバルセロナに「トーレ・アグバール」は建っています。首都のマドリードに次ぐ国内第二の都市です。ヨーロッパにあるほとんどの大都市と同じく、街の起こりは紀元前まで遡ることができます。中世において、街の成長と共に人口も増え、過密になった街を何とかする為に取り入れられた方法で、碁盤の目の様な正方形で区切られた町並みをしています。百数十年以上の歳月をかけても未だに完成していないサグラダファミリアをはじめとする、美しい教会など、中世の建物が多く残されています。また、スペインが生んだ素晴らしい芸術家である、ジョアン・ミロやパブロ・ピカソの美術館や、海洋学、考古学など多岐にわたる博物館があり、長い歴史を持つ文化都市としての役割も果たしています。世界遺産に登録されている建造物もたくさんありますが、中でも珍しいのは病院だった建物が登録されていることです。穏やかな気候も手伝って、一年を通して多くの観光客が訪れています。


 

「トーレ・アグバール」の特徴

トーレとは塔を表すスペイン語です。アグは同じくスペイン語の水を表すアグアスで、バールはバルセロナの事です。「トーレ・アグバール」は、バルセロナの水道会社が作らせた高層ビルで、円筒形をしていて、天頂部は丸くなっています。近くで見るとよくわかりますが、このビルはいわゆる二重構造のようになっています。外側は、全面開閉可能な4,500枚のガラスがブラインドになっていて、温度センサーと連動して気温の変動で開閉するようになっています。内側のビル本体の壁の色は、複数の色がランダムに取り付けられ、下の方は赤い色が多く、上部に行くに従って青い色が増えています。その色合いは、まるで炎と水の共演の様です。ブラインドのガラスに対応して4,500個のLED照明が取り付けられているので、暗くなって照明が付くと、とても綺麗な色に見えます。このLED照明は、1,500以上の色を作り出せるようになっていて、季節や催し物によっては、様々な色や模様も描き出すことができるようになっています。また、コンピュータ制御によって、様々な動きを出せるようようになっていて、音楽に合わせて動きのあるイルミネーションも作り出しています。

 

 

 

 

 

 

 

「トーレ・アグバール」のまとめ

水道会社の建物なので、高く吹き上げる水をイメージしたと言われますが、もうひとつ設計者が参考にしたものがあります。バルセロナ近郊にある山の奇岩によく似た形状をしているのです。モンセラートと言う山にある山肌の岩に似ています。このように、自然の形を近代的な高層ビルに映し出すことは、一つの挑戦と言えるのではないでしょうか。2005年、スペイン国王の誕生日に落成したこのビルは、現在は不動産会社の所有になっていて、正式名称も「トーレ・グロリアス」と変わっていますが、地元の人たちは今でも「トーレ・アグバール」と呼んでいるようです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。