モントリオール・バイオスフィア(Montreal Biosphere)

「モントリオール・バイオスフィア」のご紹介

スフィアは球形や天体を表す単語ですが、バイオスフィアとは一言で言うと「生物圏」です。生物が生きるための条件が整っている場所を指します。生物の種類によっては条件も様々に違ってきますが、現在の地球はほとんどが生物圏と言えるでしょう。この場合の条件とは環境のことですが、「モントリオール・バイオスフィア」は環境学習の為に使われている建造物です。

「モントリオール・バイオスフィア」の設計者

リチャード・バックミンスター・フラー(Richard Buckminster Fuller, 1895年7月12日 – 1983年7月1日)

「モントリオール・バイオスフィア」を設計したのは、1985年マサチューセッツ州で生まれたリチャード・バックミンスター・フラーです。彼は、建築家と言うよりは「自らの考えを具現化するために建築物も作った」のではないでしょうか。反対に自分の考える建築物を作るために、構造の方法や素材までも発案してきたとも言えます。その考えとは、「人類がいつまでも存続するにはどうすればいいのか」と言う事柄で、その方法を様々な方向から探っていました。その過程で、「宇宙船地球号」などの本を書いています。この本には、地球には限りのある資源しかなく、末永く幸せに生活するためにはすべての人々が協力し、効率の良い資源の活用法や再生可能な方法を考えることを書き記しています。また、簡単に言うと複数の三角形で展開した世界地図である、ダイマクション地図の考案や、ユニットバスも彼の発明です。自らの概念を具現化するために様々な発明品を作り、事業を起こしましたが、残念ながら実業家としての才能は無かったようです。それでも彼の発明、考案したものは現在でも色々な場面で使われています。その中でも、「モントリオール・バイオスフィア」に見られるようなジオデシック・ドーム(測地線ドーム)の概念は、今日の建築物には欠かせない、強度を上げる為の構造の基本の一つとなっています。

「モントリオール・バイオスフィア」の所在地

モントリオールはカナダの南東部に位置し、アメリカと国境を接しています。人口、経済共に国内第二の都市となっています。この都市は大きな二つの川が合流する場所にあり、川の中に浮かぶ島「モントリオール島」の大部分を占めます。川の幅が5kmに達する場所もあり、モントリオール市内には大小70以上の島があります。その中の、セント・ローレンス川に浮かぶ「セント・ヘレン島」に「モントリオール・バイオスフィア」が建っています。セント・ローレンス川は北大西洋と北米五大湖の一つ、オンタリオ湖を繋ぐ川です。モントリオール島のほぼ中央に、「モン・ロワイヤル(フランス語で山の王)」と言う名の山があり、市名の由来となっています。気候は大陸性で寒暖の差がとても大きくなっています。夏は30℃を超えることがあり、冬季には-30℃を下回ることもあります。年間の降水量も多く、このような気候に左右されないように作られた地下街は世界一の規模を誇っています。

「モントリオール・バイオスフィア」の特徴

「モントリオール・バイオスフィア」の外観は、巨大なシャボン玉、または大きな泡のような構造物です。1967年に開催されたモントリオール万国博覧会のアメリカ館として建てられました。当初は鉄のパイプ組にアクリル板がはめ込まれ、外の景色や空も見えていましたが、完全に屋内でした。1976年に改修工事が行われている時に溶接の火花が原因で火災が起き、アクリル板は焼け落ちてしまいました。その為、現在はパイプの枠組みだけが残っています。内側から見上げるバイオスフィアが作り上げる空の模様は、日本に古くからある文様の「麻の葉」の柄によく似ています。リチャード・バックミンスター・フラーが考案した、「ジオデシック・ドーム」と言う三角形を基本とした、複数の多面体を用いて球体に近づけたもので、20世紀末まで活用されていた富士山レーダーもこの形をとっています。この構造は、サイズに対して大きな荷重にとても強く、軽量に作れると言う長所があります。これは、三角トラスと呼ばれる強度の高い構造の基本となって、現在も様々な素材や場所で利用されています。

 

 

 

 

 

 

「モントリオール・バイオスフィア」のまとめ

「モントリオール・バイオスフィア」の内部にある建物は、北米でも珍しい「水の博物館」であり、環境学習の為の施設でもあります。年齢の低い子供から大人まで、体験を通して水を基本とした環境の大切さを学ぶことができます。50年以上も前に考案され、作られたジオデシック・ドームの「モントリオール・バイオスフィア」は、今でも未来的な様相を見せてくれます。

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