マリポサ エコハウス(MARIPOSA Eco-House)

「マリポサ エコハウス」のご紹介

 

近年、「エコ」と言う単語が含まれている言葉を頻繁に聞きます。「エコ」とは和製英語で、「エコロジー」の略語です。「エコロジー」には2つの意味がありますが、一般的には自然環境に負担を掛けない様々な事柄に使われている場合がほとんどです。建築の場合に使われる時も生態系や周囲の環境に負荷をかけない建物の事を指しています。南米の都市に建設された「マリポサ エコハウス」は、究極のエコロジーを追求した結果、美しい外観となりました。

「マリポサ エコハウス」の設計者

 

「マリポサ エコハウス」を手掛けたのは、1967年にスペインで生を受けたルイス・デ・ガリド(ルイス・デ・ガリド・タラベラ)です。彼を一番特徴付けているのは、常に究極の持続可能な社会を目指している建築家であることです。アメリカやスペインの大学で建築や都市計画を学び、1987年にスペインのバレンシアに自らの建築事務所を開設しました。彼の信条はその時から変わらず、自らに課した持続可能なための40近い項目を現在も忠実に実行しています。彼は多くの住宅を手掛けていますが、建築に対する基本的な理念がいくつかあります。住んでいる人の健康と幸福を提供できる建物であることや、住む人と自然を繋ぐ事などが挙げられます。また、環境に配慮した建物であることは一番の重要点で、建てる時も建てた後も消費エネルギーの外部供給が限りなくゼロに近くなるように、エネルギーの自給自足を目指しています。建築資材に関してもリサイクル材を使用する事や、当該の建物を取り壊した後にも資材として利用できるように考えられています。このような建築を彼は、「人工自然建築」と呼んでいて、自然と人工の生態が並行して存続出来るような彼の構築した概念は、現代に於ける持続可能な建築物の模範と捉えられています。

「マリポサ エコハウス」の所在地

 

南米大陸の玄関口とも言える国がコロンビア共和国です。この国の西側にあるバジュ・デル・カウカ県の県都であるカリの街に「マリポサ エコハウス」が建てられています。この街は、国で2番目に広く、3番目に人口が多い街で、1番太平洋に近い都市となっています。南米の多くの街と同じく、この地域はスペインからやってきた探検隊によって開拓されました。16世紀の中頃に建設されたこの街は、先住民族のカリマ族に由来する地名となり、正式名称は「サンティアゴ・デ・カリ」と言います。サンティアゴはこの地域の聖人を称えた名前です。カリの街は、カリブ海に注ぐ国で1番長いマグダレナ川の支流、カウカ川の西側に建設されました。19世紀の初めにこの地域で独立の為の蜂起が起こり、国内で最初に独立を宣言しました。気候は赤道に近い事から熱帯域に属していて乾燥した気候となっています。四季の変化はほどんどなく、地元の人は乾季を夏、雨季を冬と呼んでいます。この街はラテン音楽の1つサルサの人気が高く、「サルサの都」とも呼ばれています。街には多くのサルサを聞かせてくれる店があり、毎年7月には1週間の間サルサフェスティバルが盛大に行われています。この期間はコンサートやダンスを披露するサルサショー、演奏のコンテストなどが催され、多くの観光客を引き寄せています。

 

「マリポサ エコハウス」の特徴

 

「マリポサ エコハウス」は2006年に完成した個人の住宅で、この家の説明で欠かせないのが、エネルギーの自給自足が出来る家だという事です。基本はコンクリート製で、外壁は2重構造になっていて、壁の間に断熱材が挟まれています。1番目を引く白い湾曲した壁は、直射日光による室内の気温が上がらないようにする為と、空気の通り道を作っています。この家には空調設備と呼べるものはありませんが、屋内は常に21度から24度を保っています。その為に使われる電力はわずかなもので、小さなファンを廻すためにしか使用されていません。家の周囲で1番気温が低い北側から空気を取り入れ、地下にあるシリカゲルによって湿気が取り除かれて、室内に送られます。温まった空気は各部屋の上部にある小さな換気窓から逃がすようになっていて、常に新鮮で湿度の低い適度な温度の空気が家の中を循環しています。各部屋の窓や扉は木製で、シリケート塗料と言う人にも自然にも無害な塗料が使用されています。この塗料は、不燃性であると言う利点もあります。家の中央には屋根のある中庭が作られています。この庭の屋根には太陽光パネルが取り付けられていて、家で使用される電力はそれだけで賄われています。また、日常的に使用する温水は太陽熱で暖められています。他の部屋の屋根も平らになっていて、それぞれ植物が植えられています。それも真上からの直射熱を防いでいます。また、太陽熱は遮っても自然光はどの部屋でも入るように計算されています。その為、日中は人工照明は必要ありません。夜間はLED照明が使われています。

「マリポサ エコハウス」のまとめ

 

「マリポサ エコハウス」のマリポサとはスペイン語で蝶の事で、英語で「バタフライ エコハウス」とも呼ばれています。初めからこのような美しい形にしたのではありませんが、色々な課題を解決していった結果、羽を広げた白い蝶のような見た目になりました。しかし、設計者は家を持続可能にするだけでなく、見た目にもこだわっていることは事実です。加えて、極力低価格で作りたいとも言っています。このような条件を自らに課している設計者の作品である「マリポサ エコハウス」は、これからの時代の理想的な住宅と言っても過言ではないでしょう。

 

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