パレ ビュル(泡の宮殿)(Palais Bulles)

「パレ ビュル(泡の宮殿)」のご紹介

 

泡のような形の建物は世界中に建てられていますが、その先駆けとも言える建物が地中海沿岸の風光明媚な町にあります。フランスの実業家が友人や顧客をもてなすために依頼して、設計者と共に作り上げたのが「パレ ビュル(泡の宮殿)」です。

「パレ ブルズ(泡の宮殿)」の設計者

 

「パレ ビュル(泡の宮殿)」を手掛けたのは、自らを「居住学者または、生活学者」と名乗るハンガリーの建築家アンティ・ロヴァグ(ハンガリーでは、ロヴァグ・アンティ)です。1920年にハンガリーの首都ブダペストで、フィンランド人の母とロシア人の父の元に生まれました。スウェーデンの首都ストックホルムで造船技術を学び、27歳の時にフランスに渡り、パリにある国立の美術学校で建築を学びました。その頃に、フランスの著名な建築家達が師と仰ぐ、建築家で家具デザイナーのジャン・プルーヴェと知り合い、親交を深めました。彼は、通常の住宅には人の体と居住空間の形状に整合性が無い事を憂えていて、人体の形と動き方を考え曲線を多用する、いわゆる有機建築と呼ばれる建物を作り出しています。その過程で、人は手でも足でも、様々な円を描くように動いていることに着目したことが「住居学者」と名乗る元となりました。彼は、家具も作っていましたが、それらも人の体を考えて様々な曲線が使用された椅子などが作成されています。高齢の域に達しても人体の形状や動きを研究し続け、デザインや新しい建築技術を考案していましたが、2014年に南フランスの町に作っていた試作の住宅で94年の人生を終えています。

「パレ ブルズ(泡の宮殿)」の所在地

 

「パレ ブルズ(泡の宮殿)」は、フランス共和国の有名な保養地であるコート・ダジュール地域にあるテウル・シュル・メールと言う町に建てられています。この町は、80年の歴史がある、世界でもトップクラスの映画祭が毎年5月に開催されるカンヌの南西に位置しています。定住者は1,300人ほどの小さな町ですが、南フランスの地中海に面したとても美しい景色が見られるところで、海沿いに多くの別荘やゲストハウスが点在しています。

地形は、フランス南西部に横たわる、火山山脈のエステレル山塊の南東側に町が広がっています。標高は500mに満たないですが、斜面となっている為、山の方には住宅はありません。海岸線に沿うように幹線道路が走り、その周辺に民家があります。海岸線は砂浜の部分と火成岩の1つである斑岩(はんがん)が作り出す赤い岩の崖の連なりが見られます。町の名前の「テウル」にはいくつかの説がありますが、地中海の1部であるリグリア海に面していることから、この海の女神「テロ」が由来とされる説が有力なようです。19世紀までは小さな漁村でしたが、19世紀の終わり頃に鉄道が敷かれ、20世紀に入ってリゾートホテルが建設されたことから、リゾート地として開発されてきました。現在は、フランスの沿岸法と言う法律で、過剰な不動産開発から海岸線が守られています。

 

「パレ ビュル(泡の宮殿)」の特徴

 

「パレ ビュル(泡の宮殿)」は、この地に点在する赤い岩の崖と同じ色をした海の泡が固まった印象のある建造物です。約1,200㎡の敷地に様々な大きさの球体や楕円が連なり、弧を描く2つのプールや500人を収容できる屋外の円形劇場が作られています。1975年に計画が持ち上がり、1979年から5年もの時間をかけて1989年に完成した「パレ ビュル(泡の宮殿)」は、建築家と依頼主が共同で作り上げた建築物です。軽い網状の球体を組み合わせた後にコンクリートで覆う方法で作られていて、漆喰仕上げの上に海岸の崖に見られる赤い岩と同系色で着色されています。完成までに時間がかかった理由は、依頼者と建築家で相談しながら、正に球体を転がして位置を決めていたためで、窓の位置などもその都度決めながら建設されました。大小様々な球体の組み合わせで、たくさんの部屋が作られていますが、廊下や階段などもすべて曲線なので、屋内は迷路のような空間になっています。窓や出入口などの開口部もすべて円形や楕円で、屋根に当たる部分には船のハッチのような天窓がたくさん取り付けられています。この建物で唯一と言ってよい平坦な場所は床だけで、壁や部屋の仕切りなどもすべて曲線を描いています。2つある円形プールの大きい方から下にある小さいプールに水が流れ落ちる滝も形成されています。2016年にはフランスの建築家の手によって改装が施され、内装はとてもカラフルになっています。改装には「パレ ビュル(泡の宮殿)」の建設に携わった職人の手も借りて行われてたという事です。

「パレ ビュル(泡の宮殿)」のまとめ

 

「パレ ビュル(泡の宮殿)」は、正に宮殿と言う名にふさわしい建造物です。建築家のアンティ・ロヴァグは、建築とは喜びや驚きに満ちた遊びと表現しています。「パレ ビュル(泡の宮殿)」は、その言葉通りの建築物と言えるでしょう。この建物はフランスの実業家が依頼して建設されましたが、世界的なファッションデザイナーのピエール・カルダンが所有していた時期もありました。ピエール・カルダンの死後この建物は、元の依頼主の家族が管理する財団によって貸し出しも行われています。この建物は世界的にも有名で、英語圏では「バブル ハウス」や「バブル パレス」とも呼ばれています。

 

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