セルフリッジ ビル(Selfridges Building)

「セルフリッジ ビル」のご紹介

 

アンバランスなものには不思議な美しさや面白さがあります。左右や上下が非対称的なアンシンメトリーと言われるデザインもその一つでしょう。また、外観の形と素材の相違は、見る人を驚かせる効果があるかもしれません。歴史ある都市に建つ、古い威厳のある教会のそばに建設された「セルフリッジ ビル」は、訪れる人をまずはその外観で強く印象付けるショッピングセンターです。

「セルフリッジ ビル」の設計者

 

「セルフリッジ ビル」はチェコ出身の建築家、ヤン・カプリッキーが率いていたフューチャー・システムズが設計を担当しました。ヤン・カプリッキーは、1937年に当時はチェコスロバキアと呼ばれていた国の首都、プラハで生まれました。彼の両親は彫刻家と植物を主な題材にしていたイラストレーターでした。プラハの大学で建築を学んだ後に、しばらくは特定の会社に勤めない、現在で言うフリーターとして働いていました。1968年に国内情勢が不安定になった為、イギリスに移住しました。イギリスに渡ってからは、イギリスやイタリアの著名な建築家の元で働き、多くの高名な建築家が関わって完成した、フランスのポンピドゥーセンターの企画に参加しています。建築事務所で働く傍ら、1979年にフューチャー・システムズをパートナーと共同設立しました。当初は建築に関する研究機関として活動する事務所でしたが、最初の配偶者となった建築家のアマンダ・レベッテが加わってから、様々な建築競技会に参加するようになりました。彼の創り出す建物は、生物的な形で最新の技術を使った素材を多用するアンバランスなイメージがあります。2008年に会社は分割されて現在はチェコ共和国となった祖国に事務所を移しました。しかし、2009年に2番目の配偶者が彼の娘を出産した日に、プラハの街角で倒れ71歳で帰らぬ人となっています。

「セルフリッジ ビル」の所在地

 

イギリスの正式名称は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国と言う長い名前です。その名称にある、グレートブリテン島のほぼ中央に位置する、バーミンガムの街の古くからある商業地に「セルフリッジ ビル」が建設されました。バーミンガムは国内の重要な都市の1つで、首都のロンドンともう一つの大都市であるマンチェスターとの中間点になっています。この二つの都市は大変古い歴史もあり、バーミンガムは二つの都市を繋ぐ交通の要所として発展してきました。また、近隣に鉄鉱石の鉱床があり、炭田もあったことから工業地としても発達してきました。鉄鉱石の鉱脈があったことで、金属加工から製品の流通も行われるようになり、鉄の商人と呼ばれる商業の中心地にもなりました。「セルフリッジ ビル」が建つブルリング(闘牛場)と言う名の地区は、中世初期に公式の市場として始まりました。当初は繊維の取引が主でしたが、次第に取り扱う品が増えて市場も大きくなりました。バーミンガムは工業と商業の都市ですが、500以上の公園があって、ヨーロッパで一番緑地の多い都市と言われています。ヨーロッパ最大の都市公園もあり、市内には数百万本の樹木が植えられ多くの野生動物も生息しているので、保護区に指定されている公園もあります。

 

「セルフリッジ ビル」の特徴

 

「セルフリッジ ビル」の一番の特徴は、何と言ってもその形状に似つかわしくない外皮ではないでしょうか。ブルリングとだけの呼称になっている大規模ショッピングセンターの一角が「セルフリッジ ビル」です。20世紀の半ばにブルリング地区に最初の大規模ショッピングセンターが建設され、21世紀に入る直前に再開発される事になりました。その目玉企画とも言えるのがこの建物です。生物のようにも見える形ですが、外側を覆っているのが直径660mmの丸いアルミパネルなので、まるで異世界か別次元の巨大な原生生物のような印象があります。アルミパネルは、酸化処理が施され被膜を作ってある、アルマイトと呼ばれるものが使われています。アルミニウムの腐食性を抑え、摩擦にも強くなるような特徴を持たせ、ツヤ消しのような見た目になるので、日光の反射も抑えることが出来ます。この処理方法は20世紀の初め頃に日本で発明され、特許を取得しています。15,000枚の丸い金属が建物全体を覆っていることに加えて、3階部分から延びだしている歩行者用の通路が、更に生物的なイメージを強くしています。この通路は、最寄りの駐車場に繋がっていて、上部が湾曲したガラス張りで悪天候でも歩行者が安全に通行できるようになっています。

「セルフリッジ ビル」のまとめ

 

セルフリッジは20世紀の初頭に開業した百貨店です。イギリス国内に4つの店舗がありますが、どの店も見る価値のある建物になっていて、最新の店舗であるバーミンガム店の「セルフリッジ ビル」も同様に革新的であり、他に類を見ない建物に仕上がっています。このような未来的な建物のすぐそばには、19世紀に建てられた尖塔を持つゴシック建築の教会が建っています。中世の面影を残す建物と、SF的な建物が並んで建っているのはアンバランスではありますが、奇妙な面白さが人々を惹きつけるのではないでしょうか。

 

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