モーフィアスホテル(Morpheus Hotel)

「モーフィアス」のご紹介

 

 中華人民共和国の特別行政区には、世界でも最高レベルのリゾート地となっている場所があり、リゾート地には欠かせない高級ホテルも建ち並んでいます。2018年に開業した「モーフィアス」は、複合型リゾート施設内に建設された高級ホテルで、他では見ることのできない有機的な外観の建物です。

「モーフィアス」の設計者

 

「モーフィアス」のデザイン、設計を担当したのはイラク生まれのザハ・ハディッドです。彼女には伝説的なエピソードがたくさんありますが、強い個性とゆるぎない信念を持っていたことが、当時男性社会であった建築業界で成功した要因ではないでしょうか。事務所を開設した当初は実現した建物はありませんでしたが、彼女のデザインに魅了された人は多くいたようです。彼女のデザインする建築物は斬新で美しく、近未来的なものが多く、当時の技術では実現することが難しいようでした。加えて費用もかさむことから、実際に建設が依頼される事がありませんでした。20世紀も終わりに差し掛かる頃に転機が訪れ、彼女の作品は世に出される事も増えました。それ以降、徐々に彼女の作品は高い評価が与えられるようになって、数々の賞を受賞するようになりました。そして、当然と言えるようですが、建築界のノーベル賞と言われるプリッカー賞やヨーロッパや日本での受賞など「女性で初めての受賞」が彼女の履歴に加えられました。そして、イギリスの建築界で最高の賞は彼女が亡くなる直前に授与されています。加えて、2002年と2012年にイギリス女王から勲章が授けられ、男性のサーに値するデイムの称号が与えられています。ヨーロッパや生まれ故郷の中東、アジアを中心に彼女の手掛けたプロジェクトが残されていて、現在も多くのスタッフが彼女の意志を継いで活動しています。

「モーフィアス」の所在地

 

南シナ海に面した香港とマカオは、中華人民共和国で制定されている特別行政区です。高級ホテルの「モーフィアス」が建っているのは、その内の一つマカオにあるコタイ地区です。マカオは大陸に繋がる半島部分とコロアネ島、タイパ島の二つの島で成り立っています。二つの島の間は1から2kmほどの海峡を挟んでいましたが、1960年代に浅瀬を選んで埋め立てられ道路が作られました。埋め立てた事で浅瀬が広くなり、道の片方にはマングローブが繁殖するようになって林が形成されました。道路のもう片方では、カキの養殖が行われていました。その頃のマカオは、人口増加によって世界でも最高度の人口密集地となっていました。それを解消するために、二つの島の間に建設された道路を中心として更に埋め立てが行われました。埋立地の当初の目的は住宅地を確保する為でしたが、中国本土は元より世界中で経済の成長速度が減速するようになって、埋め立ての工事も長期間に渡るようになってしました。20世紀も終わりに差し掛かる頃に埋め立て工事が終わり、コタイ地区が作られました。コタイとは二つの島の名前を繋げた名称となっています。当初の予定は変更されて、大規模なリゾート地として開発されるようになりました。リゾート以外では、マカオ科学技術大学やマカオエッグと呼ばれる屋内競技場が建設されています。

 

「モーフィアス」の特徴

 

陶器や布地の模様に使われている網目をまとったような外観のホテルが「モーフィアス」です。一つの建物に見えますが、40階建ての二つのビルで形成されているので、ツインタワーとも言えます。塔の間は巨大な吹き抜けになっていて、二つの塔を繋ぐ連絡通路のような広いスペースが数か所設けられています。そこにはレストランやバーなどが入っています。全体的には緩やかな箱型の建物のように見え、中央部分には楕円を不規則な形に潰したような大小の開口部が3カ所あります。外壁は特殊な鉄骨で囲まれ、世界で初めて建設された建物そのものに柱の無い構造となっています。総ガラス張りの建物を白く塗られた鉄骨構造で支える、言うなれば建物の柱を外に取り付けた形状です。しかし、普通の柱では無く、優美なデザインがそこには組み込まれています。設計者のザハ・ハディッドの作品らしいと言われる所以の、曲線と細やかな模様が建物全体を取り巻いています。屋内にも同じことが言えます。広大とも言える中央の部分には、様々な形状の網目模様がまるで万華鏡のように繰り広げられています。12機ある総ガラス張りのエレベーターでは、それぞれの棟から屋内の網目模様が織りなす無数の三角や菱形の模様を望むことが出来ます。リゾート地なので夜でも煌びやかな街で、多くの建物が光を帯びていますが、「モーフィアス」の夜間の姿は一味違う雰囲気を持っています。

「モーフィアス」のまとめ

 

モーフィアスとは、ギリシャ神話の眠りの神ヒュプノスの息子で夢の神の名前です。リゾートホテルの役割には様々な要素が必要となります。その中のソフト部分は人が提供しますが、建物そのものも訪れる人に心地よさや快適さを提供しています。「モーフィアス」は、その外観は元より絢爛とも言える屋内の雰囲気で、娯楽とゆったりした時間を提供できる、真のアメニティスペースと言っても過言ではないホテルではないでしょうか。

 

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