メディアライブラリー セントポール(Media Library St Paul)

「メディアライブラリー セントポール」のご紹介

 

人類は文字を発明した時から様々な情報を残してきました。およそ5,000年前に現在の中東で発達していたシュメール文明の文字が最古と言われています。現在になっても情報の取得は、目で見るものと耳で聞くものの2種類だけです。しかし、その媒体(メディア)は大きく進歩して、様々な方法で保管することができるようになってきました。「メディアライブラリー セントポール」は、古くから記録媒体として使われてきた紙(本)を意識した外観の図書館です。

「メディアライブラリー セントポール」の設計者

 

「メディアライブラリー セントポール」を手掛けたのは、フランスのパリに拠点を置くマリン+トロッティン ペリフェリックス アーキテクツです。1967年に生まれたエマニュエル・マリンと1965年生まれのデヴィット・トロッテンは共にパリの大学で建築を学びました。学校を卒業して間もなく、大きな建築設計競技会で優勝したことがきっかけとなり、もう1人の建築家が運営する建築事務所と連携してペリフェリックス アーキテクツを創設したのが1996年の事です。彼らが手掛けているのは教育分野の建物が多く、公共の施設や大学などの大規模な企画に携わっています。ペリフェリックス(Peripheriques)とはフランス語で「周辺」を表す単語で、彼らは建築の本質に到達するために、まずその周辺に沿って様々な事柄を考える事を大事にしています。また、多様な企画を進めるために、事務所外の建築家や様々な専門家の手を借りることもあり、同じ目的に向かって情報や考え方などを共有したいと願っています。そうすることで、幅広い分野の知識や見解を持って、問題が起きた時には速やかに解決策を見いだせると考えています。このような柔軟な考え方や、蓄積した知識を後進に伝えるために、デヴィット・トロッテンはいくつかの学校で教鞭をとっています。

「メディアライブラリー セントポール」の所在地

 

アフリカ大陸の東側にはインド洋が広がっています。その広い洋上で1番目立つのはマダガスカル島ですが、東に向かっておよそ750kmの南インド洋に浮かぶレユニオン島に「メディアライブラリー セントポール」が建設されています。この島はフランス共和国の海外県であり、フランスの法律で定められている海外地域の1つです。この島は海底からそびえる火山の頂上部と考えられていて、現在も活発な火山のピトン・ド・ラ・フルネーズがあり、地球上で最も活発な火山に数えられています。インド洋の最高峰と謳われるピトン・デ・ネージュ山は、火山活動はありませんが標高は3,000mを越える山です。火山島であることから起伏の激しい地形で、強い低気圧や火山活動などによって厳しい自然環境になっています。しかし、このような環境下であったことで、サンゴ礁や固有の動植物が生息する豊かな自然も育まれています。島の歴史としては、10世紀には発見されていたようですが、16世紀にポルトガルの船がインドに向かう途中で無人島だったこの島に立ち寄った記録が残されています。17世紀にフランス人が上陸して領有を宣言して、当時の王朝の名称である「ブルボン島」と名付けられました。その後、フランス革命によって王政が廃止され、その当時の2つの革命軍の会合に敬意を表して、会議や再会と言う意味の「レユニオン島」と改名されました。

 

「メディアライブラリー セントポール」の特徴

 

後で読もうと積み重ねている本のような、もしくは何度も読み返した本のような外観をしている建物が「メディアライブラリー セントポール」です。1辺が34mで高さが32mのほぼサイコロ型の建物ですが、とても目を引く、もしくは、見られているような印象があります。積み重ねた本のページと見開いた目を想起するデザインは、この建物を如実に表しているのではないでしょうか。本のページのように見える部分は、酸化被膜を施した穴の開いているアルミニウムの板が鋼鉄の骨組みに取り付けられています。これは、デザイン性の良さだけでなく、熱帯の強い日差しを防ぐ事と、自然の換気を促す効果も狙っています。見開いた「目」は大きさが2種類あって、西側に4か所、東に6個所と北に9個所の全部で19個所あります。そこからは、街の向こうに広がる南インド洋や街の家並み、緑の山々など、各方面の素晴らしい風景を眺めることが出来ます。開いた「目」の部分以外も完全な平行ではなく、わずかに波打つようになっていて、何度も読み返した本のような感じがします。アルミの日よけの内側には、ルーバー窓と呼ばれるブラインドのように開閉可能のガラス窓が取り付けられている場所もあります。7階建ての建物ですが、1階分の高さの場所と2階分の高さが混じりあって作られています。床は明るさを強調するために、近年様々なものに使われているエポキシ樹脂が使われています。

「メディアライブラリー セントポール」のまとめ

 

「メディアライブラリー セントポール」は、天井にも見る価値のある物があります。見るというよりは読み取ると言ったほうが良いかもしれませんが、島を表す事柄から、最新の技術に関することまでが頭上にまで記されています。近年では電子媒体が大きく普及してきましたが、紙の本は根強い人気があります。ページをめくり、後戻りもしながらの読書は電子書籍では味わえない醍醐味もあります。「メディアライブラリー セントポール」は、多様な情報媒体も紹介しながら古来よりの紙の本も大事にしている事の現れでもあるのではないでしょうか。

 

余談ですが、酸化被膜を施したアルミニウムを「アルマイト」と言い、アルミニウムの腐食性や摩耗性を防ぐ効果があります。この方法は20世紀の初頭に日本人が発明していて、「アルマイト」の名前は当初、商標でしたが、現在は陽極酸化被膜アルミニウムの一般的な名称となっています。

 

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