MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家(Casa de la Música MUCA)

「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」のご紹介

 

自分たちの住む地方の小さな町を活性化したいと思う住民は世界中にいるようです。スペインの小さな町も例外ではなく、地域の活性化と住民の人々が自慢できる施設を望んでいました。しかし、小さな町には豊かな資金力はありません。「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」は少ない資金を知恵を出すことで克服して、予想以上の結果を導き出した施設です。

「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」の設計者

 

「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」を手掛けたのは、二人の建築家が運営するスペインにある建築事務所です。1981年にスペインで生まれたジーザス・オリバーレル・カサドと1980年に同じくスペイン人のミゲル・ロデナス・ムッソンズは、共にスペインのバレンシア州アリカンテ県にあるアリカンテ大学で建築を学びました。彼らは大学を卒業後すぐに自分たちの建築事務所COR&アソシアドス・アルキテクトスを開設しました。彼らの建築理念は、人間中心と言う糸口から人々やそれに関わる様々な組織の成長と革新を手助け出来る建築物の設計やデザインをすることです。彼らが一番大事にしていることは、様々な事柄に対する危機の軽減と、それに伴う品質の管理です。加えて、近年の傾向である、環境に配慮した持続可能な建物を作る為の解決策を考え出すことです。彼らは、事務所を開設した後も様々な事柄を学び、建築だけでなく、都市計画や建設企画などの博士号を取得しています。現在彼らの建築事務所は、スペインのアリカンテに本社を置き、国内に複数の事務所を構えて建築家は元より、構造技術者やデザイナーが働き、そして建築を学ぶ学生も巻き込んで建築に対する新しい事柄にも取り組んでいます。

「MUCAハウスオブミュージック」の所在地

 

ヨーロッパの西の端にあるイベリア半島の大部分を占めるスペイン王国は、北大西洋と地中海に挟まれています。「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」が建設されたのは、地中海側のバレンシア州アリカンテ県にあるアルゲーニャと言う町です。人口が2,000人に満たない小さな町ですが、古くから人々が暮らしていました。町の名前は15世紀に歴史に登場しています。地名の由来は、近年日本でも注目を浴びてきた自然由来の髪染め用染料の植物、ヘンナ(ヘナ)がこの地域に多く生育していて、スペイン語で「アルヘーニャ」と呼ばれていることからこの地名になったと言われています。町として確立される前にも人々が暮らしていて、その痕跡が残されています。「洞窟の家」と呼ばれている住居の跡が町の近くに残されています。山のくぼみを利用した住居で、横に掘り進んでいくつかの部屋を作り、広場のような広い空間も作られています。そこでは複数の家族が共同生活を営んでいたようです。町には伝承されている手工芸があります。その一つは、イネ科の植物を使って壁に飾る動物の頭部のオブジェや、籠などを編み上げるアスパルドグラスクラフトです。もう一つは、ボビン・レースと言う美しく繊細なレース編みで、日本の組紐に似た行程で作られています。


 

「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」の特徴

 

真珠のような輝きを持つ町の施設として作られたのが「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」です。町の西の端に元々あった建物を利用した部分と、ホールとしても使える建物を新たに建設して連結し、住民の様々な集まりに使える施設が作られました。1960年代に作られた町の警備隊が駐在する建物の壁は白く塗られました。窓や出入口の扉は少しくぼんだ所に取り付けられているので、窓枠の横の部分は多くの色を使って様々な模様が描かれています。入り口の扉の上に掲げられている「MUCA」の文字も同様にカラフルな色使いがされています。この建物の一番の見どころと言っても良い多目的ホールの外壁は、タイルで覆われています。「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」の建設のために特別に焼かれたタイルで、3回の焼き入れが行われています。1回目は普通の陶器のように焼かれ、2回目に釉薬をかけてツヤを出します。3回目は反射効果を得るために焼かれ、白い色ではありますが、オパールなどに見られるような遊色効果(ゆうしょくこうか)が得られています。その為、見る位置によって様々な色に見え、見る人が移動すれば色も変化していきます。230の席が用意できるホール内に使用されている照明は、間接照明になっていて、柔らかい雰囲気と光が作り出す幾何学模様がスタイリッシュな空間を作り出しています。

「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」のまとめ

 

「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」が建つアルゲーニャの北側には世界的にも有名な大理石の採石場があります。「クレマ・マーフィル」と言う優しいベージュの大理石です。町の2倍以上もある広い採石場は「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」の正面にも見えます。真珠色のホールは風景に溶け込むように見える時もあり、白く見える採石場と美しいとも言える対比を見せています。住民参加で建設された「MUCA アルゲーニャの音楽と講堂の家」は、大理石の採石と共にこの町の活性化に一役買える施設になっているのではないでしょうか。

 

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