レゴハウス(Lego House)

「レゴハウス」のご紹介

 

子どもの頃にカラフルで小さい樹脂製のブロックを積み重ねて、色々な物を作った経験のある人は多いのではないでしょうか。「LEGO」は操業から間もなく100年を迎えるデンマークのおもちゃメーカーです。創業地であり本社もある町に建設された「レゴハウス」は、不思議な言い方ですが実物大のレゴブロックで出来ているような建物です。

 

「レゴハウス」の設計者

 

「レゴハウス」のデザイン、設計を担当したのはデンマーク人のビャルケ・インゲルスです。彼は、1975年にデンマークの首都コペンハーゲンで生まれました。世界でも著名な建築家は多くいますが、20世紀までは年齢が高くなって初めて名前が知れ渡るようになっていました。最近では以前は若手と呼ばれていた建築家でも大きなプロジェクトをこなすようになっています。ビャルケ・インゲルスもその様な若い建築家ですが、近年の世情を反映するような所もあって、とても個性的な人物です。前世紀に活躍していた高名な建築家が残した名言は多くありますが、彼も劣らず自分の思いを短い言葉で語っています。例えば「Yes Is More」は、簡単に訳せば「ハイをもっと」ですが、何事もやって見なければ分からない、最初から無理とは絶対に言わない、と言う意味を持っています。「どこで行われるプロジェクトでもどこにでも行きます。例えば火星でも」と言っている事が「Yes Is More」を如実に表しています。建築に於いて禁忌と言われるような事にも疑問を持ち、一般的には当たり前と言われているような事柄を覆すような事もやってのけています。一つのプロジェクトに様々な分野の意見を聞いていて、建築にはまるで関係ないような事でも彼にとっては意味を持っているようです。何物にも囚われない自由な発想が彼の持ち味の一つとなっています。

「レゴハウス」の所在地

 

デンマーク王国は、ユーラシア大陸から北海に向けて突き出しているユトランド半島と、バルト海に浮かぶいくつかの島で構成されています。「レゴハウス」が建っているのは、ユトランド半島の中央付近にある小さな町ビルンです。ヴァイレフィヨルドの最奥の街、バイレから西へおよそ25㎞に位置する田園風景の広がる場所です。ビルンは、いわゆる企業城下町と言われるような町で、LEGOの本社と工場があります。20世紀の初め頃までは、バイレから北海側の街へ向かう街道沿いの小さな村で、人口も数百人程度でした。20世紀の初め頃、1人の大工がビルンに小さな木工所を開いたことが、現在のLEGOの始まりでした。第二次世界大戦が起こる数年前にLEGOの工場が稼働を始めましたが、大戦中に焼失してしまいました。しかし、すぐに工場は再建され、大戦後には現在も遊ばれているプラスチック製のLEGOブロックが生産されるようになりました。最初にLEGOブロックが工場から出荷されて10年ほどで、LEGOランドの前身とも言える大きな遊び場が作られました。1960年代に入ってLEGOは町の郊外にちいさな空港を作りましたが、数年後には拡張されて現在は公共のビルン空港です。1968年にLEGOランドがオープンしてからは、世界中から観光客が訪れるようになり、国内でも人気の高い観光地の一つとなっています。

 

「レゴハウス」の特徴

 

「レゴハウス」は町の古い庁舎の跡地に建設された、LEGOの体験型博物館であり、美術館でもある建物で2017年に完成しました。LEGOブロックで作った建物をそのまま実物にしたような外観で、21個のブロックを組み合わせた形になっています。それぞれのブロックはもちろん、壁に貼り付けられているタイルや階段なども、LEGOブロックの基本的な形と同じ対比で作られています。赤、青、黄色、緑に色分けされた屋根部分と対照的に壁は白いので、地上から見ると普通の白い建物のように見えます。地上高23mで通常のビルに換算すると5~6階建てくらいの高さです。しかし、単純な形のブロックは組み合わせ方でとても複雑にもなるように、屋内の移動は普通の階段もありますが、ゆるやかなスロープの所もあって2階や3階もあるけれど中2階も中3階もある少し複雑な構造です。屋内も基本の4色で分けられていて、それぞれのテーマで体験や見学が出来るようになっています。最上階の白いブロックには、8個のスタッドと呼ばれるブロックを繋ぎ合わせる為の、少し飛び出した部分に似せた天窓が取り付けられています。色分けされた屋上も遊具などが設置されています。青と黄色のゾーンは屋外からも屋上に登れるように、ブロックを積み重ねた形の大きな階段があり、屋外イベントの時には観客席にも利用できます。

「レゴハウス」のまとめ

 

「レゴハウス」を手掛けたビャルケ・インゲルスは、「BIGがもし一つの建物しか作れないとしたらLEGOしかありえない」とあるインタビューで言っています。また、「LEGOブロックは無限の可能性がある」とも言っています。「レゴハウス」のデザイン、設計はLEGOブロックを組み立てながら行ったようで、仕事ではありますが、彼らは楽しい時間を過ごしたのではないかと思われます。LEGOは創業者の造語ですが、デンマーク語の「よく遊べ」と言う言葉が語源となっていて、ラテン語の「組み立てる」と言う意味もあります。おもちゃで出来たような建物があるように、いくつになっても遊び心は必要なのではないでしょうか。

 

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