マハナコン(Mahanakhon)

「マハナコン」のご紹介

 

現地の言葉で「大都市」と言う意味のある名前が付けられている高層ビルが、東南アジアの大都会にそびえています。その建築物は、目の錯覚かと思える、だまし絵にも見えるビルで、遠くから見た姿は建設途中ではないかとも言われている外観をしています。世界でも有数の都市バンコクの中心に立つ「マハナコン」は予想外の建物です。

「マハナコン」の設計者

 

「マハナコン」を手掛けたのは、ドイツ南西部のフランス国境に近い都市カールスルーエで1971年に生まれたオーレ・シェーレンです。彼の父親ディータ・シェーレンも建築家で、ドイツ西部にあるヴィースバーデンの大学で建築と土木を教えていました。小さいころから父親の事務所で過ごすことが多かった彼は、10代の中頃には家具のデザインなども行っていました。地元とスイスの大学で建築を学びましたが、在学中にはすでに彼にとって初めての建築計画を完成しています。また、学業を終える前に3か月ほど中国の各地、特に田舎を旅してまわっています。このことは後の彼の建築家としての理念と成功に大きく貢献しているようです。建築家として働くようになった最初は、ヨーロッパやアメリカの建築地事務所で経験を積み、オランダの世界的にも有名な「OMA(メトロポリタン アーキテクチャー オフィス)」に入社しました。数年後には「OMA」のアジア全域の担当責任者になり、2010年に自らのオフィスを構えるまで更に経験を積みました。中国を旅してまわった経験は彼に様々な影響を与え、将来を見据えた上で最初の事務所は北京に開きました。現在は北京と香港、バンコク、ドイツのベルリンに事務所を置き、100人ほどの建築家やデザイナー、構造エンジニアなど建築に関わる様々な分野の優秀なスタッフが彼と共に働いています。

「マハナコン」の所在地

 

東南アジアにあるタイ王国の首都、バンコクの中心部に「マハナコン」が建っています。国内を流れる大きな川の1つ、チャオプラヤー川がタイランド湾に注ぐチャオプラヤーデルタに街が作られています。このような地形なので元々この地域は湿地帯でした。16世紀以降に運河が作られるようになって、排水と水運を賄うようになり、小さな村が点在していた地域は次第に大きな町になっていきました。しかし、大きな川の河口付近であることに変わりはなく、海抜の平均が1mを少し上回る程度で、度々大規模な水害の被害にあっています。バンコクと言う名称はタイ国外だけで使われる名前で、国内ではこの街を「クルンテープ・マハナコン(または、単にクルンテープ)」と言っています。この街の正式名称は非常に長く、タイ語で168文字(カタカナ表記で123文字)あり、世界最長の地名としてギネスブックに記載されています。長い名前の最初の語句が、天使の街と言う意味の「クルンテープ・マハナコン」なので、タイの人々は首都をこのように呼んでいます。あまりに長い名前なので、タイの人々もなかなか覚えられないようですが、同国のロックバンドがこの名称に曲をつけて披露したことで名前を覚えられた人も多かったようです。バンコクと言う名称については、「小川の小さな村」と言う意味の名詞とか、この地域に植生していた樹木の名前など諸説ありますが、はっきりとした謂れはわからないようです。


 

「マハナコン」の特徴

 

2016年に完成した77階建のガラス張り高層ビルが「マハナコン」で、完成時にはタイで1番高い建築物になりました。200戸の住宅とホテル、レストラン、店舗などが入る複合ビルです。一番の特徴は、モニター画素の不具合かドット抜けのような目の錯覚とも思えるような外観です。基本は、少しほっそりとした角柱の建物です。その建物を無造作にかじり取ったような、螺旋を描いて取り巻く不規則な凸凹した部分があります。この凸凹した部分があることで、建物が崩れてしまいそうな感覚にもなります。このようなデザインになったのは、古くからある山の無作為な形を意識しているとの事で、建物の側面を掘り起こした印象を持たせています。段違いになっている所はバルコニーやテラスを作り、空中に浮きあがったような印象のある部屋にするためにこのような形になっています。また、熱帯のこの都市でも地上高が高くなると多少は気温が下がるようで、外気の涼しさを感じられるようになっています。もう一つこのビルには大きな特徴があります。最上階に、スカイトレイと呼ばれる広いガラス張りの床が張り出しています。地上高314mの高さから真下を眺めることが出来、バンコクの360度の景観を堪能できます。また、74階から使われる3階分の螺旋階段と中央部分にはエレベーターが取り付けられているガラスの円柱があります。

「マハナコン」のまとめ

 

「マハナコン」は、現在の持ち主である企業の名前を付けて「キングパワー マハナコン」とも呼ばれています。上層階は、間取りなどがある程度自由にできる高級住宅になっていますが、下層階のレストランや店舗は誰でも利用できます。また、最上階のスカイトレイも一般に開放されているので、誰でも訪れることが出来ます。スリル満点の透明な床と大都市の中で一番高い場所からの眺めは、多くの人を魅了し、バンコクの新しい観光名所となっています。

 

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