スワン ベルズ タワー(Swan Bells Tower)

「スワン ベルズ タワー」のご紹介

 

世界には数多くの宗教があります。その中には、祈りを捧げる時や大事な言葉を述べる時に、打楽器のような音の出るものを使う宗教があります。世界で1番信者が多いと言われるキリスト教では、教会の尖塔に取り付けられた鐘が様々な場面で鳴らされています。オーストラリアの南部にある街に建設された「スワン ベルズ タワー」は、18の大切な意味を持つ鐘が納められている美しい姿をした建造物です。

「スワン ベルズ タワー」の設計者

 

「スワン ベルズ タワー」のデザインや設計を担当したのは、「スワン ベルズ タワー」が建つ地元の建築事務所であるハメズ・シャーリーです。この会社は、オーストラリア南部のアデレード出身のウィリアム・ハメズが、1971年に開設した建築事務所が発端となっています。彼は初等教育を終えた頃に、将来は整備士になりたいと考え、地元の工業系の学校に進学しました。そこで、美術教師が開いていたクラブに加わったことが彼の将来を大きく変えました。彼のスケッチを見てその教師は彼に建築家になることを勧めたようです。建築家が何をするのか知らなかった彼は、建築家について色々調べ、最終的に建築家になる道を選びました。事務所を開設した1年後に、彼が都市計画などを学ぶためにアメリカへ渡ることを決めた時、デイヴィット・シャーリーが彼の事務所を引き継ぎ、彼の帰国を待つことにしました。ハーバード大学で3年間学んだウィリアム・ハメズが帰国して、デイヴィット・シャーリーが支えてきた事務所を2人の共同運営とすることになり、1976年に建築設計や都市計画などを手掛ける建築事務所のハメズ・シャーリーが創設されました。彼らの事務所は、地元を中心に様々な企画を手掛け、着実に実績を重ねていきました。しかし、事務所開設から10年余りが過ぎた1987年に、デイヴィット・シャーリーが亡くなってしまいました。彼らの事務所だったハメズ・シャーリーは、ウィリアム・ハメズが1人で率いることになりましたが、デイヴィット・シャーリーが亡くなった後に、彼の息子が社名に彼の名を残してほしいと願い出て、今もこの事務所にはシャーリーの名が入っています。

「スワン ベルズ タワー」の所在地

 

「スワン ベルズ タワー」は、オーストラリア連邦の南西に位置するパースと言う街に建っています。この街は、オーストラリア大陸の約三分の一に広がる西オーストラリア州の州都を勤めていて、街とその周辺に州の人口のほとんどが居住しています。この地は、17世紀末にオランダ人の探検家によって初めて記録に残されました。自治体として成立したのは19世紀に入ってからで、地名のパースは、当時、この地域を治めていたスコットランド人の故郷と同じ地名が付けられました。この街の中心には大きな川が流れていて、黒鳥がたくさん生息していて、その風景から、川の名前がスワン川と名付けられました。上流で2つの川が合流してパースまで流れ、河口付近でもう1つの川が合流して最終的にはインド洋に注いでいます。上流には2つのダムが建設されていて、街に必要な水を供給しています。河口の直前は非常に川幅が広くなり、まるで湖のような風景を作り出しています。広くなった部分は複雑な形状になっていて、湾になっているところや、多くの岸辺もあります。また、都市機能として大小の港や船着き場も整備されていて、ウォータスポーツが盛んになっています。自然も豊かな川で、名称の元となった黒鳥を始め、多くの鳥類や水生哺乳類も生息しています。

 

「スワン ベルズ タワー」の特徴

 

「白鳥の鐘楼」と訳されることもある「スワン ベルズ タワー」は、オーストラリア建国200年を祝ってイギリスから送られた鐘を納めるために建設され、1999年に完成しました。コンクリート製の建物と、その上に鋼の骨組みに取り付けられたガラスの尖塔が伸びています。高さが82.5mあって、釣鐘が納められている建物は6階分の高さがあり、最上階は展望台になっています。鐘楼を取り囲むように螺旋階段が取り付けられ、その外側は尖塔と同じようにガラスが覆っています。外観はほっそりした見た目なので、実際の高さより低く見えるようです。鐘の総重量はおよそ9tもあり、それを鳴らすとかなりの負荷がかかるため、頑丈な鉄筋コンクリートが使用されました。建物とガラスの尖塔は八角形になっています。これは車輪の最初期の形である8本のスポークの形から取り入れられました。建物は細い樽のようで、ガラスの尖塔は、八角形を保ったまま上に行くにしたがって細くなっています。鐘楼の外には、16.5mの高さがある外側を銅で覆われた船の帆のような形の4つの構造物が取り囲むように立っています。この構造物の形は、造船と航海を表し、銅が使われているのは、西オーストラリア州が国内だけでなく、世界的に見ても多様な鉱物を産出していることを大事にしているからです。

「スワン ベルズ タワー」のまとめ

 

「スワン ベルズ タワー」には全部で18個の鐘が納められていて、その数は世界で2番目のものとなっています。12個はイングランドの由緒ある鐘の複製で、イングランド以外ではたった1組の鐘です。その他の鐘はいくつかの自治体や大学、企業からの寄付で、追加の6個は西オーストラリア州で産出する金属で鋳造されました。「スワン ベルズ タワー」は完成した時から、この街のランドマークとなっていましたが、翼をたたんで休んでいる黒鳥のような美しい形状は観光名所の1つにもなっています。

 

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