トーレス・ポルタ・フィラ(Torres-porta-fira)

「トーレス・ポルタ・フィラ」のご紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

ツインタワーと呼ばれる、よく似た二つの高層ビルが世界中に複数建造されていますが、「トーレス・ポルタ・フィラ」はツインと言うよりはコンビタワーまたは、ペアタワーと呼んだ方が良いかもしれません。目を引く色をしたホテルとオフィスビルが隣り合って立っています。

「トーレス・ポルタ・フィラ」の設計者

伊東 豊雄(いとう とよお)は、父親が事業の為に日本と当時の朝鮮を行き来していたことから、1941年に現在のソウルで生まれました。小さな子供のころから中学までは父親の故郷である長野県の諏訪湖湖畔にある下諏訪町で成長してきました。高等学校に進学する頃には、東京に移り住み、東京大学で建築を学びました。その後、日本の近代建築をリードしてきた建築家、菊竹 清訓(きくたけ きよのり)の元で経験を積み、1971年に独立して自分の事務所を開設しました。しかし、その頃は戦後の高度成長期の終わりにさしかかり、経済が滞ってきた時期でした。その為、独立した当初は個人の住宅など、比較的小規模な建物を扱っていましたが、自宅が日本の建築界で注目されたことから、次第に大規模なプロジェクトを手掛けるようになりました。彼の作品は、空間の使い方に特徴があり、従来の建物にあった壁や柱、天井などの区別をつけないような、建築に於いて今までに無かった概念を打ち立てて、注目を浴びるようになりました。今ではヨーロッパや南米をはじめ世界中で活躍するようになり、その業績が認められ、日本や世界の権威ある賞も数多く受賞しています。

 

「トーレス・ポルタ・フィラ」の所在地

バルセロナはスペイン王国のカタルーニャ州の州都です。カタルーニャ自治州の旗は、黄色に4本の赤い線が入っています。伝説によると、ある戦いで傷ついた貴族の血を王が指にすくい上げ、その貴族の黄金の盾に筋を記して旗印にしたと伝えられています。バルセロナの市旗は、州旗にカタルーニャの聖人とされているセント・ジョージの赤いクロスが組み合わされています。この地方は、スペイン国内でも独特の歴史と地理条件のある地域です。そのため、文化も他の地域とは違う歩みをしてきました。建造物も古い物でも新しい物でも、他では見かけない建物が多く作られてきました。また、食文化も様々な国や地域のものを融合させ、ここでしか味わえない料理の数々を生み出しています。地中海は大きな海ですが、大陸に挟まれた内海になるので塩分濃度が高く、魚介類の数はあまり多くありません。それでも、海に面しているこの地域は魚介類の水揚げがかなりの量になります。山の幸も豊富で、古くから良質のワイン産地でもあります。特に白と発泡ワインが有名で、この地方の料理と共に人々の舌を満足させています。

 

「トーレス・ポルタ・フィラ」の特徴

「トーレス・ポルタ・フィラ」は、2010年に完成した赤が印象的な二つのビルです。。二つのビルは、1階の屋根部分に作られた庭のような緑地帯で繋がっているので、それぞれ独立している建物とは少し意味合いが違います。日本では、鳥居の赤や紅葉した葉の色、少しくすんだ赤鉄鉱から採れる顔料の弁柄など、赤にも様々な色がありますが、「トーレス・ポルタ・フィラ」の赤は、カタルーニャやバルセロナの旗印に見られる鮮やかな色です。全体が赤く有機的な異世界の植物のような形のビルがホテルで、無機質な直方体に赤がポイントとして使われている建物がオフィスビルです。ホテルは焼き物の細長い花瓶のようで、少しねじれた形です。上階に行くに従って、少し広がりを持たせてあり、窓がランダムに付けられているように見えます。赤いアルミのパイプを使って全面を覆っていますが、ゆがんだ形を強調するために斜めに取り付けられています。上から見た形は、三角のおにぎりの様な丸みを帯びた形です。もう一つのオフィスビルの方は、各階に白い庇のような部分が張り出していて積み重ねた箱の様です。正面の中央にある赤を使ったアクセント的な部分は少し曲線を描いていて、エレベータなどの導線が入っています。

 

 

 

 

 

 

「トーレス・ポルタ・フィラ」のまとめ

くつろぎのホテルと緊張のオフィスビルは、対極に位置するような建物です。その二つの建物をセットにしたイメージの「トーレス・ポルタ・フィラ」は、お互いの建物を引き立てているように見えます。ホテルの内部は、外観と同じ赤い色を随所に使い、レストランの内部壁面も赤いアルミパイプで彩られています。スペインのイメージの一つである情熱の国を表している赤い色の建物は、バルセロナの街にお似合いの建造物ではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。