ファイナル ウッドゥン ハウス

「Final Wooden House」のご紹介

木造建築の最終形態と言われている建物が九州の山間部に建っています。球磨川沿いのキャンプ場に作られた「Final Wooden House」(ファイナル ウッドゥン ハウス)は、熊本県が30年以上前から推進している「くまもとアートポリス」で入選した作品です。

「Final Wooden House」の設計者

1971年北海道で生まれた藤本壮介(ふじもと そうすけ)が、「Final Wooden House」で2008年度の「くまもとアートポリス」プロジェクトを勝ち取りました。彼が生まれ育った所は旭川市に近い町で、自然の豊かな場所でした。彼の経歴を紹介する時に一番特徴的な事は、大学を卒業した後の6年間ではないでしょうか。その年月があったことで現在の彼の理念が生まれたと言っても過言ではないでしょう。世間的には、働くでもなく、学校で学ぶでもなく、ただ毎日を無為に過ごしているように見えていたと思われます。彼自身もその様に言及していて、両親の援助があったからだと感謝しています。その当時に住んでいた東京の片隅の町と、彼の生まれ育った小さな町には、都会と田舎の違いがあるのに妙に共通する心象があって、見かけの違う事柄の中につながりを見つけることができました。自然と人工物、静と動など対極にあるものでも、何らかの共通点を見出す事が出来るようになったのは、その年月があったお陰ではないでしょうか。自分の道を見つけたと感じた彼は、6年の歳月の後に事務所を立ち上げています。

「Final Wooden House」の所在地

「Final Wooden House」は、熊本県葦北郡芦北町にある球泉洞休暇村に建っています。日本三大急流と謳われる球磨川沿いの東側が球磨郡球磨村で、球泉洞は球磨村にあります。川の西側が芦北町で休暇村があり、近くの河原には、およそ2億年前に生息していた二枚貝の一種であるメガロドンの化石が大量に見つかっています。球泉洞は九州最大の鍾乳洞で、古くからコウモリの巣として近隣住民に知られていましたが、1973年に愛媛大学の探検によって大規模な鍾乳洞が存在していることが発見されました。球泉洞は国内ではあまり聞かない珍しいサービスをしています。洞内は年間を通して気温16℃を保っているので、お酒を貯蔵するのに適しています。その為、洞窟を公開する時に希望者のワインを貯蔵、熟成することが提案されましたが、九州の名産である焼酎を貯蔵することになりました。3年から最長20年まで希望する期間預けることが出来ます。芦北町は熊本南部に位置し、有明海に面しています。温暖な気候は柑橘類の栽培に適していて、古くから町の特産となっています。また、有明海の漁業も歴史が古く、特徴的な漁法が行われていました。明治の初期に瀬戸内から伝わった4本柱の帆船「うたせ船」で行う底引き網漁法の一種です。海に浮かぶ白い帆の美しい船は、今では観光船として活躍しています。

「Final Wooden House」の特徴

「Final Wooden House」を直訳すると、「最終的な若しくは、決定的な木造の家」となります。激しく流れる球磨川のそばに建つ「Final Wooden House」は、設計者が言う通りの究極の木造建築と言える建物です。大きなサイコロ状のバンガローで、木で出来た立体パズルのようです。2008年に完成した「Final Wooden House」は、熊本県産の杉材を使って作られています。木材に浸透して防腐効果のある、ステインと言う種類の塗料で保護されている35cmの角材が使用されています。杉は成長が比較的早い樹木ですが、35cmの角材を作る為には樹齢が50年以上の原木でないと取れません。1辺が4.2mの「Final Wooden House」は単純計算で1辺に12本の木材が使われています。設計者の藤本壮介は、木材は柱になり、壁にも天井にも床にもなる万能の素材と言っています。であれば、木材はどこに使ってもかまわないと言うことで、「Final Wooden House」は全て同じ35cmの角材で作られています。長さに多少の違いはありますが、全て同じ太さの角材が使われ、パズルのように組まれています。外観は正立方体ですが、屋内は角材が思い思いの方向に突き出ているように見えます。天井のように頭の上にあった部分が、立ち位置が変わると椅子のように腰掛けることのできる場所になったり、机のようになったりしています。リビングや寝室などと明確に分けられていないので、使う人の思いや気分で座ったり、横になったりできます。窓のように開口部も作られていて、長方形のガラスを2点で止めて斜めに開くようになっているシンプルな作りになっています。

「Final Wooden House」のまとめ

熊本県はおよそ30年前から「くまもとアートポリス」と言うプロジェクトを遂行しています。新しい街を作るためのプロジェクトで、環境デザインに重点を置いた建築物や構造物などを、事業主からの依頼で建築競技を開いたり、各方面との橋渡しをしたりしています。大規模な公共施設からこじんまりした公衆トイレなど、大小様々なその成果は県内のあらゆる場所で見ることが出来ます。「Final Wooden House」はモクバンR1(木造バンガロー ラウンド1)と言って森林組合の以来で作られています。モクバンR2も近くに建設されています。

通常でしたら「Final Wooden House」は内部も見学できるのですが、2020年7月の熊本豪雨災害によって被災した球泉洞及び休暇村は現在営業していません。復旧に向けて尽力されているので、再開された時には見学も可能になります。また、モクバンR2は宿泊することもできるようになるようです。