アウトドアパーク レウゼルの展望台(Outdoor Park Reusel)

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」のご紹介

 

田園地帯に新しいものを作る時には都市に何かを作る時とは違った様々な事を考慮しなくてはなりません。1番に考えられるのは、環境を壊さない事ではないでしょうか。また、周りの風景にも配慮しなければなりません。オランダの田園地帯に建設された「アウトドアパーク レウゼルの展望台」は森に溶け込みながら、目印にもなる建物です。

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」の設計者

 

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」を手掛けたのは、オランダの建築家、モード・ニエラエス=ヴァン・バニングとブラム・ハーケンズが共同開設したアトリエリーン アーキテクテンです。彼女はオランダ南部の都市アイントホーフェンにある工科大学で建築を学びましたが、在学中に建築事務所で実践を経験していました。大学を卒業後にアトリエリーン アーキテクテンを開き、並行して講師や起業を考える学生に助言をしたり、自治体の福祉関係に意見を述べる顧問をしていました。ブラム・ハーケンズはアイントホーフェン工科大学とスペイン南部の都市セビリアにある大学で建築を学びました。彼は、事務所の運営と共にグラフィックデザイナーとしても活動していました。アトリエリーン アーキテクテンが得意とする企画は、田園地帯で人々が余暇を過ごすための施設が多く、様々な形の展望台のデザインと設計を行っています。そして、空間のデザインに対して刺激的で驚きに満ちた解決策を考え、その結果遊び心満載で魅力的な建築物を作りたいと心掛けているようです。2022年にはブラム・ハーケンズが独立して、現在はモード・ニエラエス=ヴァン・バニングが事務所の運営を担っています。

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」の所在地

 

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」はオランダ王国の南部にあるレウゼル デ ミールデンと言う町に建設されました。この町は20世紀の終わりに3つの村が合併して1つの自治体になっていて、アウトドアパークは中心的な村だったレウゼルに作られています。ベルギーと国境を接する所で、道や畑の隅などに国境を示す三角錐の形をした標識がいくつも立っています。元来この地域は農業を営む田園地帯でしたが、19世紀の終わり頃に葉巻を作る工場が建設され、最盛期には大小合わせて30の工場が操業していました。この地域はオランダ南部にある2つの中規模の都市からそれぞれ20kmほどの距離なので、近年では自然の中で余暇を過ごす人々の為の施設が整備されるようになってきました。特に、レウゼルの南に広がるレウゼルセ・モーレンと言う自然保護区は、希少な蝶やトンボなどの昆虫が生息している所もあり、それらの保護と共に遊歩道などの整備も整えられています。この保護区は、元々湿地だった場所を農地に使用するために埋め立てられましたが、湿原の特徴が残っている場所があり、国で最大の森林管理をする会社が所有して、管理と保護をするようになりました。特有の植物や昆虫、鳥類が生息する人気の場所となっています。

 

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」の特徴

 

2009年にレウゼルの自治体が建設したアウトドアの為の施設の入り口に作られたのが、高さが25mある「アウトドアパーク レウゼルの展望台」です。亜鉛メッキの鉄骨製の骨組みを近隣で伐採された木材が覆っている塔です。1番の特徴は、塔の作りが不規則で非対称に積まれた6つの箱で出来上がっていることです。なんとも不思議な感じのする塔で、上の箱が落ちてこないか心配になる見た目をしています。訪れる人を惹きつけるように目立つことを要求されましたが、設計者は周りの自然の風景を壊すようなことはしたくないとの考えから、この形と素材を使用しました。最上段は周囲が見渡せる、正に展望台となっていますが、そこからロープを使って垂直に降りるアブセイリング(懸垂降下)が出来るようになっています。また、南側には13mの高さがある3つ目の箱まで、クライミング(壁登り)が出来るように、たくさんの突起が取り付けられています。木材は丸太を縦半分にして建物の内側は平坦で、外から見ると丸太小屋のような見かけになっています。木材の取り付け方も、骨組みに対して水平になっている所と、垂直にされている所があって変化が付けられています。この変化が、階段を上がってくる訪問者に驚きを与える効果を果たしています。6つの箱も大きさがまちまちで、開口部も違う方法が採られています。最下層の箱の東西側は、まるで丸太を積み上げたような見た目の壁になっています。

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」のまとめ

 

「アウトドアパーク レウゼルの展望台」は、「火の見やぐら」や「見張り台」とも紹介されています。このアウトドアパークにあるレジャー用施設は展望台のみで、周辺の自然そのものが公園となっています。依頼者は、公園の入り口を指し示すような建物を希望していました。設計者は周囲の景観を壊さずに、訪れる人に驚きを与えるようにとの思いを込めて、シンプルではあっても斬新な形にたどり着きました。「アウトドアパーク レウゼルの展望台」は依頼者と設計者の思いがそのまま形になっていると言える塔ではないでしょうか。

 

 

 

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