シアトル中央図書館(Seattle public library)

「シアトル中央図書館」のご紹介

図書館の館内は独特の雰囲気があります。小さな図書館でしたら、ただ静かなだけですが、大きな図書館になると静かなざわめきとでも言うような雰囲気があります。「シアトル中央図書館」は広大とも言える空間と、ガラス張りの明るい館内で落ち着いた時間が流れています。

 

「シアトル中央図書館」の設計者

レム・コールハース(Rem Koolhaas、1944年11月17日 – )

この図書館を設計したのは、オランダの建築家レム・コールハース(レムメント・ルーカス・コールハース)です。1944年にオランダのロッテルダムに生まれ、子供のころから色々な国で暮らした経験があります。とても多才な人で、ジャーナリストであり、脚本家でもあります。このような才能があって、花開かせることが出来たのは、近親者の影響があったようです。父親は、世界でも有名な映画の賞を受賞したこともある脚本家でした。また、母方の祖父はモダニズムと呼ばれる建築家で、少なからず彼に影響を与えたようです。彼は、いわゆる物書きとしてしばらく活動していましたが、ロンドンの建築専門の学校で建築を学び、卒業後に建築家としての活動を始めました。自らの考えを建築に反映する為に建築事務所「OMA」を開設し、さらに建築理論を研究する為の「AMO」も運営しています。「OMA」からは多数の才能ある建築家が輩出されています。数々の建造物を手掛けていますが、多くの本を出版していることでも有名です。

【OMA出身の建築家】
ザハ・ハディッド
ヴィニー・マース(MVRDV)
ヤコブ・ファン・ライス(MVRDV)
マイク・ゴヤー(ギゴン&ゴヤー)
イヴ・ブリュニエ
ファシッド・ムサヴィ(エフ・オー・アーキテクツ)
アレハンドロ・ザエラ・ポロ(エフ・オー・アーキテクツ)
ビャルケ・インゲルス(BIG)
ジュリアン・デ・スメド(JDS)

 

「シアトル中央図書館」の所在地

アメリカ合衆国の西海岸最大の都市が、ワシントン州シアトル市です。自然に恵まれた地域で、入り組んだ海岸線が天然の良い港になり、市の建設当初から貿易港としての役割を果たしています。背後にはカスケード山脈があり、森林資源が豊富で木材や製紙業で発展してきました。気候にも恵まれ、夏は日中を除けば涼しく、冬も雪が降ることは少ないようです。数千年前からこの地域に居住していた人々がいましたが、19世紀にヨーロッパからの植民によって彼らは保留地へと移住させられました。その時の酋長の名前に因んで、この街はシアトルと名づけられました。多くの世界的規模の大企業が生まれた地で、特に近年はIT関連の企業進出が顕著です。誰もが知っているようなIT企業がシアトル市内や近郊に本拠地を構えています。このことから、同じ西海岸にあるカルフォルニアの「シリコン・バレー」に対し、「シリコン・フォレスト」と呼ばれています。

 

「シアトル中央図書館」の特徴

「シアトル中央図書館」は、ガラスの建物を網で囲ったような外見をしています。設計したレム・コールハースによると、積み重ねた本をイメージしているそうです。いわゆる「つんどく」(後で読もうと、無造作に積んである本のこと)みたいな形と言えるのでしょうか。元々ここには図書館が建っていたのですが、手狭になったことから建て替えることになりました。しかし、建設用地は元のままなので、狭い土地にいかにたくさんの蔵書や他の様々な機器などを納めることのできる建物が作れるかと言う事が課題でした。この難題を見事クリアして出来上がった中央図書館は、以前よりも多くの蔵書とそれ以外の情報媒体、数百台のPCを納めることができました。

通常の図書館は、図書のジャンル別にフロアや部屋が分けられていることが多いのですが、新しい「シアトル中央図書館」は蔵書の収納が一味違います。ジャンル分けは他の図書館と同じですが、蔵書を納めた棚がわずかな傾斜を持たせた床に設置されています。極端な見方をすれば螺旋階段のような構造になっているので、1フロアに全ての本が並べられているようになっています。また、来館者がゆったりとしたスペースでゆっくり本を楽しめるように、読書スペースはとても広いフロアになっています。加えて、網目のフレームとガラスの外観は外からの見た目の美しさだけでなく、館内を明るく保つことが出来、自然光の中で落ち着いた読書が楽しめるようになっています。坂の多いシアトルなので、1階とちょっと離れて3階に出入り口が作られているのも、その土地の特徴をとらえた方法と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「シアトル中央図書館」のまとめ

まるでサンルームのような天井の高い空間がたくさんあり、館内のどこでも明るい図書館です。シアトル市内には多くの図書館がありますが、さすがに中央(セントラル)なだけあってスケールが違います。市立図書館なので、通常は市民が利用するのですが、奇抜なデザインと言うこともあって、観光客には予約すれば館内ツアーも取り行っているようです。デジタル化が進んでいるとは言え、まだまだ紙の本の需要はあるようで、蔵書が百万冊以上有る上に、こんな素敵な図書館なら何時間でも本を読んで過ごせそうです。

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