VIA 57 ウエスト(Via 57 West)

「VIA 57 west」のご紹介

 

古来より人々が暮らす家には様々な形態があります。その中でも多くの人が同じ場所で暮らす家が集合住宅です。太古の時代には、洞窟に複数の部屋を作っていたような遺跡も発見されています。中世になると、多くの部屋がある大型の建築物や、日本などでは長屋と呼ばれる家々が連なった建築物もありました。現代でも世界中で集合住宅が作られていますが、大都市に建つ「VIA 57 west」は洗練された形をしている一風変わった集合住宅です。

「VIA 57 west」の設計者

 

1975年にデンマーク王国の首都コペンハーゲンでエンジニアと歯科医の両親の元に生まれたビャルケ・インゲルスが「VIA 57 west」を手掛けました。彼は幼いころから絵を書くことが好きで、10代の頃には漫画家になりたいと思っていました。当時人気のあった漫画を使ったコンクールに応募したことがあり、残念ながら入選はしませんでしたが、彼にとって以後の人生に影響を与えたであろうことがありました。その漫画の作者で、彼にとっては漫画の神様のように思っていた人物から作品の批評が送られてきました。そこに記されていたのは、漫画の事だけでなく全てに通ずる事でした。王立の美術学校で絵を学んでいましたが、途中で建築に方向転換してスペインの大学で建築を学びました。しかし、彼は美術学校で絵を学んだことは建築家として役に立っていると言っています。2005年にビャルケ・インゲルス・グループの頭文字を取った、自らの建築事務所「BIG」を開設しました。事務所の運営の傍ら、後進を育てる為にアメリカやヨーロッパの大学で教鞭もとっています。また、2009年には自社を含めたデンマークのデザイナー2人と共にデザイングループを創設して、家具やインテリアなどを創作しています。ヨーロッパの建築界では彼を賞賛を込めて型破りな建築家と評価していますが、アメリカでも有名な雑誌のタイム誌は2016年に世界で最も影響力のある100人に彼を選んでいます。

 

「VIA 57 west」の所在地

 

アメリカ合衆国にはいくつかの大都市があります。その中でも、ニューヨークのマンハッタンは世界経済の中心と言っても過言ではない街です。マンハッタンはハドソン川の河口にある中州のマンハッタン島が大部分を占めています。マンハッタン島の南部でハドソン川の西岸に位置する、ヘルズキッチンと言う地区に「VIA 57 west」が建てられています。ヘルズキッチンとはその名の通り「地獄の台所」と解釈され、以前は貧困層の住人が多く暮らす、治安のとても悪い地区でした。しかし、北側はブロードウェイ地区と接していたことから、役者を志す人も多く暮らしていて、有名な俳優養成所が20世紀半ばに作られ、世界的な名俳優を何人も輩出しています。この地区は地理的条件が良かったことから、20世紀中頃に数か所に散らばっていたバスターミナルをまとめた大きなバスターミナルが建設されました。現在では世界で一番大きく、路線の数も多いバスターミナルとなっていて、全米各地にここからバスが出発しています。今世紀に入る直前の頃から、西に隣接する世界経済の中心点と言われるミッドタウンの成長と共に、ヘルズキッチンへのビジネスマンの流入が起こるようになって、高級な住宅が建設されるようになりました。

 

「VIA 57 west」の特徴

 

あたかも立体的なトリックアートのような建物が「VIA 57 west」です。2016年に完成した複合的な集合住宅で、幹線道路を挟んでハドソン川を望む場所に建っています。実際には四角い32階建ての建物ですが、様々な方向から三角の建物のように見える事が一番の特徴ではないでしょうか。長方形を対角線で切り取ったような形なので、少しゆがんでねじれたピラミッドのような印象があります。また、東側から見ると宗教建築に見られる尖塔のようです。切り取られているのは南西側なので、陽の光が良く入りどの部屋も明るい空間を提供されています。加えて、太陽熱はあまり通さないような特殊なガラスが窓に使われています。この部分はステンレス製のパネルで覆われていて、雨どいの役割を果たすような溝が付けられています。雨が降っても雨水が所かまわず流れるのではなく、きちんと排水溝に流れるように導かれるようになっています。また、北側はジグザグな形を垂直に立ち上げたような形で、魚の骨模様と表現される事もあります。それぞれに角部屋のような窓が取り付けられて、プライバシーも保てるようになっています。もう一つの特徴は、「VIA 57 west」の中心部が空洞になっていて、中庭が作られていることです。カタカナの「ロ」のような構造になっていて、中庭の広さは約2000㎡あり、ニューヨークの有名なセントラルパークと同じ比率で作られています。中庭の上には何も作られていないので、どの部屋からも四季折々の庭を見下ろすことが出来ます。

「VIA 57 west」のまとめ

 

「VIA 57 west」をハドソン川の対岸から見ると、ミッドタウンの高層ビルを従えた少し細いピラミッド型をしています。709戸の住宅が作られていることを考慮すると、とても大きな建物と言えます。しかし、その形状から意外と小さく見えるのも不思議です。このような形になった理由の一つに、ハドソン川から見ると「VIA 57 west」の後ろにある建物からの景観を損なわない事がありました。結果的に非常に美しく見える建物となり、南方向から俯瞰で見る「VIA 57 west」は、多くの高層ビルが建ち並ぶ大都会の中でも異彩を放つ建物となっています。

 

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