カクシラウッタネン アークティック リゾート ガラスのイグルー(Kakslauttanen Arctic Resort glass igloos)

「カクシラウッタネン アークティック リゾート ガラスのイグルー」のご紹介

 

様々な良い思い付きがあっても、それを形にすることは中々難しい面もあります。1973年に開業した北欧にあるリゾートホテルの所有者は、その地ならではの自然現象を居ながらにして楽しめる素晴らしい施設を思いつきました。設計者が、その思いを最大限に盛り込んで作り上げたのが、カクシラウッタネン アークティック リゾートにある「ガラスのイグルー」です。

「カクシラウッタネン アークティック リゾート ガラスのイグルー」の設計者

 

カクシラウッタネン アークティック リゾートの「ガラスのイグルー」を手掛けたのはフィンランドの建築家、リスト・エラポーヤです。フィンランド南部のトゥルクに住み、2017年に彼の息子が代表を務めるエラポーヤ・アーキテクツで息子と共に活動しています。息子のラミ・エラポーヤは、父親が建築家として働く姿を小さい頃から見ていて、机に向かって何時間もスケッチをすることが建築家の仕事と思っていたようです。その姿はとても楽しそうだったと受け止めています。リスト・エラポーヤは何十年もの間、フィンランド国内で多くの建築事務所で働いてきました。その間に積み重ねた知識は彼の強みで、息子の新しい事に挑戦したいと言うこととぶつかり合う事があり、親子で議論する姿がよく見られるようです。しかし、彼らは反発するのではなく、お互いに協力し合うために論争を繰り返しています。リスト・エラポーヤは「親子で一緒にゴルフをする人がいれば、一緒に家を設計する親子もいる」と誇らしげに語っています。

「カクシラウッタネン アークティック リゾート ガラスのイグルー」の所在地

 

カクシラウッタネン アークティック リゾートは、フィンランド共和国の北部に位置するラップランドのサーリセルカと言う小さな村にあります。ラップランドはスカンジナビア半島の北部とそれに続くロシアのコラ半島北部一帯を指す地名です。北極圏に含まれ、冬季には1日を通して氷点下を上回ることのない非常に寒冷な地域です。比較的平坦な地形で、この地域で1番高い場所でも標高700mを少し上回るくらいです。やせた土壌ですが森林が広がり、近くには自然豊かなウルホ・ケッコネン国立公園があります。19世紀の半ばに村の近くにある丘陵地帯で金が発見され、国で最大の金塊も見つかっています。20世紀に入って本格的に金の鉱脈が探されましたが、大規模なものは見つかりませんでした。しかし、今でも砂金が採れる場所もあり、観光資源の1つになっています。1930年代に北極海沿岸に繋がる、ラップランドを横断する道路が整備されたことからこの地域にも観光客が訪れるようになりました。穏やかな丘陵地帯が広がる場所なので、初心者でもハイキングを楽しむことが出来ます。冬季にはウィンタースポーツを目的とした観光客が訪れます。通常のスキー場もありますが、国内で最大規模のソリ用のコースも作られています。また、クロスカントリースキーが盛んで、大きな大会も開催されています。

 

「カクシラウッタネン アークティック リゾート ガラスのイグルー」の特徴

 

カクシラウッタネン アークティック リゾートに作られた「ガラスのイグルー」は1999年に完成しました。2人用の小型のイグルーが53戸、4人用の大型が12戸あり、一つの集落のように複数のガラスで覆われた半球状の建物が建てられています。イグルーとは、アラスカやカナダ北部で暮らすイヌイットの人々が作る、狩猟用の仮小屋のような構造物で、主に雪を圧縮して半球状に積み重ねて作られます。「ガラスのイグルー」はその名の通り、金属の骨組みと四角形や三角形の部品でドーム型に組まれたガラスで作られています。1番の特徴であるガラスのドームは、極寒の地でも常に透明を保っていることです。ガラスの部分が特別な方法で2重あるいは3重の構造にされています。通常の窓ガラスの5倍の強度を持つ、強化ガラスに熱を遮断するコーティングが施され、電気抵抗を利用してゆるやかな熱を持たせる仕組みもあります。冬季には-30℃にもなることもありますが、このガラスが外気を遮断して、熱が逃げることを防ぎ、室内を快適な温度に保ちます。また、夏季には透明なドームにそそぐ太陽熱を遮断して、屋内の空気を涼しく保持します。「ガラスのイグルー」の1番の売りは、ベッドに横になったまま夜空を眺められる事ですが、緩やかな熱を発することで、ドームの上に降る雪を溶かして常に透明な状態を保ち、ベッドの上で横になったまま夜空に閃くオーロラを心ゆくまで堪能できます。

「カクシラウッタネン アークティック リゾート ガラスのイグルー」のまとめ

 

現在、「ガラスのイグルー」のような宿泊施設は世界中にたくさん建設されています。しかし、最初に思い付き、それを実現させたのはカクシラウッタネン アークティック リゾートの「ガラスのイグルー」です。設計者の息子のラミ・エラポーヤは、父親が設計した「ガラスのイグルー」の写真を世界中で多くの人が見ていて、似た施設が作られても父の作品が1番だと得意げに語っています。様々な工夫が凝らされ、北極圏の伝統も取り入れたことで、夢のようなひと時を実現できたのではないでしょうか。

 

 

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