中国中央電視台本部ビル(CCTV Headquarters)

「中国中央電視台 本部ビル」のご紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

数千年の歴史を誇る古都にも近代化の波は押し寄せています。中国の首都であり第二の都市でもある北京に、新たなランドマークとも言えるビルが建っています。近代的なビルが林立している北京でも、ひと際目を引く「中国中央電視台 本部ビル」をご紹介します

 

「中国中央電視台 本部ビル」の設計者

中国中央電視台(中国中央TV、CCTV)は本部ビルの建設にあたって、コンペと呼ばれる、建設に関わるあらゆる計画の企画を争う国際規模の競技を開催しました。これを見事に勝ち抜いたのは、オランダの建築事務所「OMA」でした。「OMA」には多くの建築家が在籍していますが、主に代表のレム・コールハースと所属するドイツ人のオーレ・シェーレンが「中国中央電視台 本部ビル」の建築に携わりました。

レム・コールハースは自らの理論を形にするために、建築における「当たり前」や「タブー」を気にせずに建築物を作り出します。それにより難解な建物や、奇抜と言うより、誰も見たことのないような建築物を生み出しています。既成の形にとらわれず、自由な発想をそのまま作品に表しているということです。オーレ・シェーレンは、ヨーロッパやアメリカの建築事務所で経験を積み、「OMA」で働くこととなりました。特にアジアでの活躍が多く、近未来的なテクノ調の高層建築物を作り出しています。彼は、「中国中央電視台 本部ビル」の完成後に「OMA」を退職して、自らの事務所を構えました。現在は、ドイツとアジアの数か所にオフィスを置いています。

 

レム・コールハース

レム・コールハース

オーレ・シェーレン

「中国中央電視台 本部ビル」の所在地

中華人民共和国の北京は「原人」がいたことで知られています。約五十万年前の火を使った痕跡が見つかり、太古からここに人が住んでいたことがわかりました。数千年の歴史は遺跡の発掘などにより、少しずつ解明されています。現存している最古の建造物は千七百年前に建てられたお寺があります。その他にも紫禁城(故宮博物館)や天安門など、歴史を物語ってくれる建物が多く残されています。近年においては、高層ビルも増え、北京オリンピックを機に国立の体育館やプール、劇場などは近未来的な建物になっています。

特に「中国中央電視台 本部ビル」の建つ北京商務中心区と言う地区は、商業やビジネス街としての役割がある所で、北京市内で最も近代化が進められています。この地区の約5km西には紫禁城や天安門などの古い建物があります。この街は、歴史を重んじながらも、国際競争の中での首都としての役割を果たしている都市です。

「中国中央電視台 本部ビル」の特徴

「中国中央電視台 本部ビル」は、2008年に完成した51階建ての高層建築物で、一番の印象は、アンバランスで、ちょっと突いたら倒れてしまいそうな形状です。角ばったメビウスの輪を思い浮かべるような形で、上下が変わっても似た形になるシンメトリー的な見方もできます。ツインになっているビルは少し傾いていて、高さも若干違います。このような形は、レム・コールハースらしいと言って良いのではないでしょうか。

この建物を作る時の一番の難関は上部の接続でした。下から伸びあがってきた二つのビルを地上約160mで結合させるために様々な要因を考慮して、最も寒い時期の夜間に工事が行われました。また、二つのビルも少し傾斜した形になっているので、外観に見える斜めの網目はランダムに取り付けられているのではなく、構造上で強度を上げたい場所に多く、比較的安定している所は少なく入っているようになっています。このような事から、建物の形と斜めに入る多くの線が相まってビルの見た目を向上させています。結合された上部層の一番下の階には複数のガラスの床があって、160mの高さから真下を見ることが出来ます。北京市内の各地に散在していて老朽化も激しくなっていた中央電視台の各部署を一つにまとめ、さらに最新のテクノロジーを使えるようにするために、このビルが作られました。それにより、CCTVのチャンネル数も大幅に増えることになりました。

 

 

 

「中国中央電視台 本部ビル」のまとめ

中央電視台の開局五十周年にこの本部ビルは完成しました。このビルが建っている所は北京の新都心として更に開発される予定で、本部ビルの周辺はメディア・パークとしてホテルや劇場、スタジオ等が作られる計画があります。また、緑地には野外での催し物や撮影もできるように整備されています。「中国中央電視台 本部ビル」は、新都心を構築していくスタートを切った建造物です。

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