ブラザー・クラウス野外礼拝堂(Bruder Klaus Kapelle)

「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」のご紹介

 

 

 

 

 

 

 古くから神様に祈りを捧げる場所は神聖な所とされています。「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」は、地元の農家の人が神様に感謝するために設計を依頼して、近隣の住民達が手作りした畑の中の礼拝堂です。

 

「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」の設計者

 1943年スイスで生まれたピーター・ズントーが「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」を設計しました。家具職人の父親の元で幼少期を過ごし、大工の手ほどきを受けながら育ちました。建築やデザインを学んだ後に、歴史のある古い建造物の修復をする仕事に就いていました。

建築家としての活動を始めてからは、用途や場所をしっかり調べてから仕事に取り掛かるやり方をしてきました。そのことから「誠実な建築家」と呼ばれるようになったようです。また、「建物は使うもの」と言う彼の建築物に対する考えが作品にも表れ、その結果が当該の建物の内外に見ることが出来ます。

彼の作品は教会が多く、自然に溶け込むような穏やかな建物になっています。スイスを中心にヨーロッパで活躍していますが、美しい物を作りたいと言う彼の作品は、自然と共存できる山奥や田舎に多く建っています。オーストリアにある現代美術を紹介するブレゲンツ美術館には、彼の作品のモデルが300点以上所蔵されています。実際に建てられたものだけでなく、参考作品として作られたものもあり、随時コレクションの追加も行われています。もちろん、この美術館も彼が手掛けました。

「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」の所在地

ドイツ連邦共和国にあるヴァッヘンドルフと言う小さな村のはずれに「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」が建っています。ドイツの西部中央に位置し、隣国ベルギーとの国境から40km足らずの所です。

ヴァッヘンドルフは小さな村ですが、「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」の他にも千年以上前に建てられた礼拝堂があり、18世紀頃に元々荘園があったところに建てられたヴァッヘンドルフ城も建っています。村の南に建つこのお城は、今は「禅寺」としての役割も担っています。この村は、分断時代の西ドイツ首都であったボンの近くで、第四の都市ケルンの郊外でもあります。

ボンはベートーヴェンが生まれた地で、生家である「ベートーヴェン・ハウス」があります。また、同じ音楽家のシューマンの終焉の地でもあり、最後を過ごした施設が記念館として残されています。ケルンには、4世紀に建立された堂々として美しい大聖堂があり、世界遺産にも登録されています。幾度かの改装を重ね、第二次世界大戦の時に市街地は激しい空爆を受けましたが、ケルン大聖堂は完全崩壊を免れました。当時の市民の希望の光がそこに見出されていたようです。

「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」の特徴

 畑以外は何もない、未舗装のまるで「あぜ道」のような道をたどって行く先に、四角いコンクリートのブロックがポツンと建っています。それが「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」です。近くに寄って初めて小さな十字架が付いているのが見えるので、教会関係の建物とわかる建造物です。直方体のむき出しのコンクリートに、金属の三角形をした扉が付いています。内部は円錐形で、天井には穴が開いているので雨が降ると小さな水たまりができます。近隣に多く生息しているマツ科のトウヒを円錐形のテント状に組んで、外側にコンクリートを流し込んで作られました。コンクリートが完全に固まった後に、3週間ほど燻煙され、トウヒが完全に乾燥された後に取り除かれ礼拝堂の空間がつくられました。

このような作り方をした為に天井部分に穴が開いていて、木材の不規則な木肌の跡が残り、洞窟のような雰囲気があります。コンクリートの壁には、トウヒを束ねた時に使われたロープの跡に残された小さな穴がたくさん開いています。350個の小さな穴には、ガラス玉が封じ込められていて、外部の光が入るようになっています。ろうそく以外には照明が無く、小さな穴から差し込むわずかな光が星のようでもあります。

 

 

 

 

 

「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」のまとめ

2007年に完成した「ブラザー・クラウス野外礼拝堂」は小さな建造物ですが、完成までに1年かかりました。住人主導で作られた礼拝堂は、コンクリートを50cmずつ流し込んでは乾かし、また流し込む事を繰り返して作られました。農作業の途中でも「神様に感謝の祈りを捧げることができるように」との思いを込めて出来上がった野外礼拝堂です。

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