ロスキレの焼却場(Incineration Line Roskilde)

「ロスキレの焼却場」のご紹介

 

人々が暮らしていく上で、必要不可欠なものはたくさんありますが、反面、不要なものも出てきます。その代表的なものは様々な廃棄物ではないでしょうか。近年では、極力ゴミを出さないようにと尽力している個人や企業がありますが、0にすることは不可能でしょう。出された廃棄物の量を減らすためには、焼却している所がほとんどです。北欧の街に新しく建設された焼却場は、ゴミの処理場とは思えない、厳かとも言える美しい外観で、街のランドマークとなっています。

「ロスキレの焼却場」の設計者

 

「ロスキレの焼却場」を建設するにあたり、世界中から提案を受けるデザインの競技会が開かれ、満場一致で選ばれたデザインを提出したのは、オランダ人建築家のエリック・ヴァン・エゲラート(エリック・レオナルダス・ヨハネス・マリア・ヴァン・エゲラート)です。1956年にオランダの首都アムステルダムで生まれ、北部にあるフローニンゲンと言う街で育ちました。デルフトの大学で建築を学び、在学中に住宅建築の設計競技会で同級生と共に提出した企画で優勝し、1984年に同級生4人で「メカヌー」と名付けられた建築事務所を設立しました。約10年後に彼はもっと自由に広く仕事がしたいと考え、メカヌーを退職して自らの事務所「エリック・ヴァン・エゲラート・アソシエイト・アーキテクツ(EEA)」を開設しました。メカヌーを退職する時に十数人のスタッフが彼の事務所に移籍して、ロッテルダムを始め、ヨーロッパの5つの都市に事務所を開いたのが1995年の事でした。彼は、メカヌーを開設した頃から人と違う事がしたいと考えていましたが、単に違うと言うだけでは満足しなかったようです。人を感動させるような美しいものを作り出したいと言う思いを持っていました。金融危機などの影響を受け、彼の事務所は2度倒産しましたが、その都度再生して、現在の彼の事務所は、「デザイン・エリック・ヴァン・エゲラート」となって活動を続けています。

「ロスキレの焼却場」の所在地

 

「ロスキレの焼却場」はデンマーク王国最大の島で、首都コペンハーゲンを擁するシェラン島(ジーランド)にある、ロスキレフィヨルドの奥に広がる街に建設されています。ロスキレは国内で4番目に大きな街で、東に30kmの所にコペンハーゲンがあります。フィヨルドの奥と言う位置にあることから、太古より交易の拠点となっていて、国内でも最古の街の1つとなっています。近代から現在においても、大都市のコペンハーゲンが近い事から、近隣の農村地帯から集められた農産物や畜産物の集積場としての役割を果たしています。畜産物は食用だけでなく皮革製品の製造も盛んになり、バッグや財布などを作る企業の本社があります。中世の頃には国王の宮殿も建てられ、一時は首都としての地位もありました。12世紀に建てられた大聖堂には歴代の王や王妃が眠る墓所があり、20世紀まではシェラン島で1番大きな大聖堂で、1995年にはユネスコの世界遺産に登録されました。また、20世紀の中ごろに、ロスキレフィヨルドの海底に5隻の保存状態の良いヴァイキング船が沈んでいることが発見され、それらを展示するために1969年にヴァイキング博物館が作られました。博物館では展示だけでなく、多くのヴァイキング船を再現して、実際に航海も行っています。

 

「ロスキレの焼却場」の特徴

 

2014年に操業を開始した「ロスキレの焼却場」は、夜になると街の灯台にも見える美しい姿の建物です。ロスキレ市や周辺の自治体から出る廃棄物を焼却し、その時に排出される熱を利用して電気や温熱を生み出して、電力については地域全体を賄っています。遠目に見ると海底から引き揚げられたヴァイキング船のようにも見えますが、巨大な建造物です。1番外側の外壁は建物を包んでいる印象がある、丸い穴の開いたパネルで覆われています。パネルはアルミニウム製で、レンガのような色に着色されています。この色は、街の歴史的な遺産とも言える、ロスキレ大聖堂の色と呼応するように着けられています。大小の丸い穴が不規則に開けられていて、高い場所に行くほど多くの穴が開いています。巨大なパンチングメタルのようで、暗くなると様々な色に彩られます。基本的には、1時間に1度、炎が燃え上がるようなイメージの光が、97mある煙突を囲む外壁を駆け上ります。その後、しばらくは燃えさしがチラチラと光る様子になります。他にも電子制御によって様々に彩ることが出来ます。光で彩られる建物はたくさんありますが、「ロスキレの焼却炉」の場合は設計者のこだわりが込められています。光源が直接見えるのではなく、光そのものが丸い穴から見えるようにしたかったようです。光源から発した光は、一旦、建物本体の外壁に反射させて外側の外壁から光が漏れるように計算されています。加えて、明るくなりすぎないようになど、光が周囲に影響を与えないように配慮されています。

「ロスキレの焼却場」のまとめ

 

「ロスキレの焼却場」は、この街の新たなランドマークとなっています。街には、およそ1,000年前に作られたロスキレ大聖堂があり、その当時から街の目印となっていました。「ロスキレの焼却場」の形は周辺にある工場の屋根を模しているとも言われ、大聖堂の色合いと共に、街に溶け込みながら、未来に向けたシンボルともなっているのではないでしょうか。

 

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