BMWワールド(BMW Welt)

「BMWワールド」のご紹介

 

最初の産業革命がヨーロッパで起こった頃に、世界で初めての自動車が発明されました。その時に使われたエンジンは蒸気機関でしたが、その後およそ100年後に今のような内燃機関のガソリンエンジンが開発されました。それから間もなくドイツで設立された自動車メーカーが、BMW社(バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルゲ、直訳すると、バイエルンのエンジン工場)です。新しい技術を披露したり、様々なイベントを開催するために建設されたのが、近未来的な外観の「BMWワールド」です。

「BMWワールド」の設計者

 

「BMWワールド」の設計とデザインを建築競技会(コンペティション)で勝ち取ったのは、オーストリアの建築事務所「コープ・ヒンメルブラウ」です。1968年にいずれもオーストリアで生まれた、ミヒャエル・ホルツァーとヘルムート・スヴィチンスキー、ウルフ・ディーター・プリックスの3人の建築家によってウィーンに開設されました。この事務所は建物の建築だけでなく都市計画やインテリア、エクステリアのデザインなど、様々な分野で活動しています。建築は、複雑で有意義であり、時代に見合う社会全体を目に見える形にするものと考えています。社名の「ヒンメルブラウ」がHimmelb(l)auと記されて、lが括弧の中に入っている事には意味があります。事務所を設立した当初の理念として、雲のように浮かんで風によって変化するような、幻想的な印象のある建物を作りたいと考えていました。その為、ヒンメルブラウは「スカイブルー」を表しす単語ですが、現在の社長であり、創設者の1人でもあるウルフ・D・プリックスはヒンメルブラウを「スカイ建築」とも言い表しています。1971年にミヒャエル・ホルツァーが、2006年にヘルムート・スヴィチンスキーがそれぞれ事務所を去り、現在はウィーンを拠点としてドバイと北京にオフィスを構え、多くのスタッフと共に世界中で活動しています。

「BMWワールド」の所在地

 

「BMWワールド」は、ドイツ連邦共和国の南部に位置するミュンヘンにあるBMW社の本社敷地内に建設されています。1972年に開催されたオリンピックの跡地に作られた記念公園に隣接する所です。ミュンヘンは国内で3番目に大きな都市で、アルプス山脈の北の端の麓に広がっています。氷河の動きと浸食によって肥沃な土地となり、ヨーロッパで2番目に長いドナウ川の支流イーザル川を中心として、街が大きくなってきました。太古よりヨーロッパで暮らしていたケルト人の集落が作られていましたが、最初に街として歴史に登場したのは12世紀の頃に開かれた市場としてでした。それ以来、様々な権力者に支配されてきた歴史があります。気候は比較的冷涼ですが、冬季でも氷点下を大きく下回ることは少ないようです。この街には多くの緑地や森林があり、周辺には4つの国が定めた自然保護区があります。加えて、隣国のオーストリアを含む南チロル地方の景観保護地域に指定されている20の地域が市の内外にあります。景観保護地域に指定された場所に生えている幹の周りが80cm以上の樹木と、自然保護区の樹木全ては条例によって保護されていて、許可なく伐採することなどは禁止されています。また、20世紀の終わりに発見されたカタツムリの1種は、この地域でしか生息が確認されていません。

 

「BMWワールド」の特徴

 

約3年の時間をかけて2007年に完成した「BMWワールド」は、車両の納車や会議、集会、コンサートなど様々な催しが行え、レストランも入っている多目的な建物です。基本的には5つのテーマに沿ったスペースに区切られていますが、仕切りなどはほとんどなく、1つの巨大なホールのような屋内になっています。サッカーコート3.5個分もの広さがあるにも関わらず、建物を支えているのは、わずか11本の柱とエレベーターのシャフトだけです。5つのテーマの内、1カ所は納車の為のスペースで、車のエンジンを始動することが前提となっています。それに伴い排気ガスが屋内空間に排出される事は当然と言えます。その排気ガスを屋外に排出することはもちろん、換気の為にも完全な空調が必要です。新鮮な空気を取り入れる場所は、それぞれのテーマにふさわしい箇所が考えられています。例えば、納車スペースで天井の形状によって自然に排気され、レストランスペースでは床に近い部分から吸気されています。「BMWワールド」の外観で1番目を引くのが、「ダブルコーン」と呼ばれるイベントや集会に使用できる、円錐を上下につなぎ合わせたような砂時計に似た形のスペースです。本館と屋根で繋がり、外壁は全てガラスで覆われています。ダブルコーンの壁を作っているガラスは、900種類の形があり、2重になっています。このガラスは耐火性が高く、万が一火災が起こった場合にも透明性を損なわないようになっていて、日中であれば館内が暗くなることはありません。

「BMWワールド」のまとめ

 

「BMWワールド」は本社の敷地内に建設されていますが、本社の社屋も目を引く形をしています。4本の円筒を繋ぎ合わせたような形で、エンジンの4気筒を表しています。また、社屋の高層階や上空からしか見えない、BMWの巨大なエンブレムが屋上に作られているBMW博物館もあります。「BMWワールド」を含むこれらの建物は、大通りに沿って建設されていて、まるで1つのテーマパークのようになっていると言えるでしょう。

 

 

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