高雄ポップミュージックセンター(Kaohsiung Pop Music Center)

「高雄ポップミュージックセンター」のご紹介

 

音楽が地球上に現れたのがいつごろかご存じでしょうか。一説では、およそ4万年前の物であろうと思われる動物の骨で出来た笛が最古の楽器と言われています。また、3400年前のシュメール文明の遺跡から楔文字で刻まれた楽譜と思われるものが発見され、最古の音楽と言われています。このように太古より人々は音楽に親しんできました。「高雄ポップミュージックセンター」は、台湾の南部にある都市に建設された音楽の為の広場で、最新の音楽を聞かせてくれる最新の技術で建設された施設です。

「高雄ポップミュージックセンター」の設計者

 

「高雄ポップミュージックセンター」の企画を手掛けたのは、スペイン人のマヌエル・モンテセリン(正式名 マヌエル・アルバロス・モンテセリン・ラホス)です。彼は、スペイン南部の繊維産業で栄えていたベジャールと言う町で生まれ、首都マドリッドにある工科大学で建築を学びました。大学を卒業してすぐに6人の仲間と共に「レオン11」と言う建築事務所を開設し、建築家としての活動を始めました。2005年には設計図を視覚化する会社を立ち上げ、多くの建築事務所から依頼されていくつもの画像を作成しています。その後、3人で立ち上げた建築事務所を経て、2015年に独立して自らのオフィスを開設しています。彼の現在までの活動で特筆できる企画があります。2018年に8人の学生たちと共にアメリカ航空宇宙局(NASA)が企画したコンテストで入賞したことです。近年問題視されている海洋汚染源の1つ、海底や海上に浮かぶプラスチックを利用して火星に都市を建設する構想で、彼は学生たちの指導者として参加していました。現在彼は、マドリッドにオフィスを構えていますが、イタリアや台湾での活動も盛んに行い、中南米にも活躍の場を広げたいと考えています。

「高雄ポップミュージックセンター」の所在地

 

「高雄ポップミュージックセンター」は、台湾島の南西に位置する都市、高雄(たかお、ガオシィオン)市の港に注ぐ愛河(あいが)を跨ぐように建設されています。高雄市は台湾で最大の港を要する都市で、南部の中心的な街です。17世紀にオランダの植民地となった頃には、先住民のマカタオ族の人々が暮らしていたことから、「タカオ」と呼ばれるようになったと言われています。天然の良い港に恵まれていたことから、漁港として発展してきました。近年になると大規模な港に発展し、漁港も大きくなりましたが、20世紀後半には臨海工業地帯となっています。製鉄や造船、石油のコンビナートとそれに伴う化学工場など、多くの企業が操業しています。また、大きな都市でありながら農業も盛んで、グァバやライチ、バナナなど熱帯地方の果物の栽培が盛んです。他にも、砂糖の原料となるサトウキビや稲作も行われています。「高雄ポップミュージックセンター」のそばにある愛河は、市内の中心部を流れていますが、以前は川幅は広かったのですが浅い河でした。都市化する以前は農業の灌漑用水と利用されていました。高雄の都市化と共に河は浚渫されて船が航行できるようになり、近年では観光にも利用されています。

 

「高雄ポップミュージックセンター」の特徴

 

「高雄ポップミュージックセンター」は愛河の河口にある、主に音楽に関した様々なイベントや博物館などがある総合的な公園地帯です。自治体が主体となって、港湾地帯を産業だけでなく文化も振興させるために企画されました。公式のサッカー場12面分以上もある広い敷地に様々な施設が建設されています。それらの建物は、全て海を題材にしたデザインになっています。ハチの巣のような6角形が基本となり、白を基調とした色使いがされています。これは海の泡を想定したもので、2つあるグレート・ウェーブと呼ばれるビルや商業施設などが入る珊瑚礁をイメージした2階建ての建物の屋根に使われています。珊瑚礁の屋根は、枝分かれした木のような形の柱の上に6角形の白いパーツが乗っていて、大小の同じく6角形の穴が開けられている部分もあり、自然界に存在するもののように無作為に並べてあります。2つのビルはお互いにぶつかり合った波のようで、低い方の外には野外ステージがあり、高い方の横には3500人を収容できるホールがあります。ホールの天井も6角形を並べた形になっています。グレート・ウェーブの対岸にはクジラと名付けられている大、中、小の6つのライブハウスがあります。ライブハウスは岸壁から少し奥に建てられ、建物の海側は遊歩道になっています。また、斜めになっている屋根は植物が植えられ、地上からそのまま上がれるようになっていて周囲の風景を堪能できます。外周に沿って建てられている5つのレストランはイルカと言われていて、高床式のような建物になっています。

「高雄ポップミュージックセンター」のまとめ

 

「高雄ポップミュージックセンター」は台湾の漢字表記で「高雄流行音楽中心」と書いて、「高流」と省略して呼ばれています。台湾の歴史と地域の環境を織り込んで作られた「高雄ポップミュージックセンター」には、音楽だけでなく海洋関係の博物館もあります。海の波の流れと、新しい音楽の流行をうまく組み合わせて素晴らしい形となって表現できた建物群と言えるのではないでしょうか。

 

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