ペトロナスツインタワー(Petronas Twin Towers)

「ペトロナス・ツインタワー」のご紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

南国の大都市に聳え立つ、美しく優雅とも言える二つの塔のような高層ビルがあります。世界にツインタワーと言える高層ビルはいくつかありますが、「ペトロナス・ツインタワー」は高さと美しさでは、ひときわ際立つ建造物です。 

「ペトロナス・ツインタワー」の設計者

1926年にアルゼンチンの北部の都市、サン・ミゲル・デ・トゥクマン(一般的にトゥクマンと称されています)で生まれたシーザー・ペリが「ペトロナス・ツインタワー」の設計者です。アルゼンチンの大学で建築を学び、卒業と同時にアメリカに移住しました。アメリカでも建築を学び、著名な建築家の元で働きました。38歳の時に市民権を得てから、本格的に建築家としての活動を始めました。彼の作品は超高層ビルが多く、アメリカは元より日本を始め世界中にランドマークとなるようなビルを設計しています。ポストモダン建築と言われる外観も美しい高層ビルは、見応えがあります。しかし彼は、自らの作品であることを強調するような建物ではなく、当該の建築物が建てられる場所や地域性、民族性などを考慮して設計及びデザインをしています。高層ビルだけでなく、大阪にある国立国際美術館のように、芸術品とも言えるような建物も手掛けています。建築家として活躍する傍ら、若手の育成のために大学で教鞭をとり、建築に於ける様々な理論などの著書も記しています。1991年にはアメリカ建築家協会で最も影響力のある建築家10人の内の1人に選ばれていた彼は、20197月に92歳で生涯を閉じています。 

「ペトロナス・ツインタワー」の所在地

 東南アジア有数の大都市が、マレーシア連邦首都クアラ・ルンプールです。街の名前は、マレーシアの言葉で「泥の川が合流する所」と言う意味です。クアラが「河口」を、ルンプールが「泥」を意味しています。あまり大きくはない二つの川が合流した地点に19世紀中頃中国人によって錫の採鉱と集積地として開発されました。後にイギリスによって支配されましたが、錫とゴムの輸出は続けられていました。アジアを中心とした多様な民族の人々が暮らすこの街は、世界でもあまり類を見ない独特の雰囲気を持つ街です。熱帯雨林の気候で一年を通して気温が高く、降水量も多い地域です。植物の育成には良い条件が整っているので、高層ビルが立ち並ぶ合間に多くの緑地帯があります。多種多様な人や物が平和裏に共存している街です。 

「ペトロナス・ツインタワー」の特徴

「ペトロナス・ツインタワー」はペンシル型ロケットの様な形をしていますが、夜景の姿は巨大な水晶のようです。1998年に完成したこのビルは、地上452mで88階建ての二本のビルで成り立っています。地上高のほぼ中間点に当たる41階と42階には、お互いのビルをスカイブリッジと言う名の2構造になっている連絡橋が繋いでいます。ビルの最上部は、この国の主な宗教であるイスラム教のモスク(礼拝堂)を意識したと言われる尖塔の形になっていて、ある意味、中世ヨーロッパの建築物に見られるゴシック様式のような美しさがあります。このビルの基本的な平面図は、二つの正方形を90度ずらして重ねた形になっています。この形はイスラム教の八芒星からの発想だそうです。ビル全体の形もこの地域の寺院を彷彿とさせる形状になっていて、設計者の信条が伺えます。また、屋内も地元で産出する木材をふんだんに使用した壁や、当地の工芸品の図案を取り入れた大理石の床も地域性を重視したデザインになっています。この地域は、海の方から強い風が吹くので高層ビルは風を受けて振動することがありますが、特別な工法でこれを回避しています。20世紀に建てられた一番高いビルで、ツインタワーとしては現在も最高の高さを誇っています。

 

 

 

 

 

「ペトロナス・ツインタワー」のまとめ

 国立の石油会社が所有している「ペトロナス・ツインタワー」は、上層はオフィスビルとなっています。最上階近くの86階には、有料で定員制ですが展望フロアも用意されています。下層部分は大規模なショッピングセンターがあり、日本の百貨店や書店も入っています。また、この地の交響楽団が本拠地を置くコンサートホールもあります。映画館などのアミューズメント施設も整い、多くの人で賑わっています。ビルの建設にあたっては2つのアジアの建設会社とヨーロッパの企業が携わり、この街を象徴するような多国籍のビルとなっています。 

余談ですが、このような特徴的な外観の超高層ビルは様々な話題を提供します。例えばフランス人の冒険家は安全装置なしでこのビルの登頂に成功しています。2度は3分の2ほど登ったところで逮捕されて断念していますが、3度目の挑戦でアンテナ塔まで上り詰めています。もちろん、登頂後に再び当局に逮捕されています。また、いくつかのSF映画に登場していて、ゲームのシーンにも使用されています。 

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