目次しらべ
アフリカンライラック(African Lilac)のしらべ
ライラックは、フランス語で「リラ」、和名は「紫丁香花(むらさきはしどい)」と言う紫色の小さな花が咲く樹木です。その名が付いた華やかな御影石がアフリカ大陸の南端から切り出されています。「アフリカン・ライラック」は、ちょっと珍しい紫色の御影石です。
「アフリカンライラック」の原産地
御影石の「アフリカン・ライラック」の採石場は、南アフリカ共和国の北東部に位置します。ムプマランガ州のネルスプロイドは、お隣の国モザンビークの国境のすぐ近くです。ネルスプロイドの地名は以前この街の名でしたが、現在はムボンベラと改名され、ネルスプロイドの名称はこの地域一帯の呼び名となっています。アフリカ大陸の大自然がたっぷりある地域で、モザンビーク、ジンバブエと三か国に渡る自然保護区の中にあるクルーガー国立公園への入り口にあたる街です。クルーガー国立公園は単体でもアフリカ有数の広さを誇り、四国をわずかに上回る面積を擁しています。象やキリンなどの大型動物を始めとする150種近い哺乳類と、500種以上の鳥類が生息し、爬虫類や両生類など、多種多様な野生動物の保護区となっています。動物園でしか見たことのない様な動物たちが、ありのままの生活を送っている場所です。また、最古の人類と呼ばれる「サン人(ブッシュマンとも呼ばれています)」が暮らすのもこの地域です。
「アフリカンライラック」の特徴
御影石の「アフリカン・ライラック」は、地色とも呼べるピンクから紫、または赤紫の中に、白と黒の粒子が混ざり小さめの柄を作っています。その名の通り、ライラックの花が舞い散ったようなイメージを持っている華やかな雰囲気の石材です。基本的に御影石の紹介に於いて、紫色と分類する事は稀です。その為、比較的濃い目の色で中間色の「アフリカン・ライラック」の場合は、赤御影やブラウンなど複数の色で紹介される事があります。採石場では長い期間採石していると、切り出す場所が本来の地表から深くなってきます。採石される位置が深くなると、御影石の色合いが変わってくることもあるのですが、現在のところ「アフリカン・ライラック」の色は安定していて良質のものが採石されています。表面加工の方法で色が薄く見えるような場合もありますが、屋外に使用した時には、雨などで濡れると鏡面加工のように独特の色や柄の特徴がはっきりと見えるようになります。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「アフリカンライラック」を取り扱う時の留意点
中間色の弱点
先に紹介した通り、「アフリカン・ライラック」は基本的に紫色の御影石です。しかし、紫色は人工的には青と赤を混ぜた時に出来る色なので、色の雰囲気が変わる事があります。赤味の強くなると茶色に見える事もあります。また、色の濃さによっても見た目の感じが変わってきます。色が薄くなるとピンクに見えるような感じにもなります。「アフリカン・ライラック」の色合いはある程度安定しているようですが、このように、中間色の石は微妙に色が変わる事もあるので、この事を念頭に入れて利用してください。
名称について
「アフリカン・ライラック」の名は世界的にも通用する名称ですが、あくまでも商業上の名前なので、違う名前で流通する事もあります。石材の名称は採石場で付けられることがよくありますが、基本的には見た目のイメージで付けられる場合がほとんどです。従って「アフリカン・ライラック」の場合には紫色を重視した、「バイオレット」や「パープル」の名称が付けられている事もあります。産地も確認したうえで購入する事をお勧めします。
「アフリカンライラック」に適した製品
特徴的な色合いを楽しめる使い方
ガーデニング
庭に設置される御影石製のベンチやテーブルがあります。「アフリカン・ライラック」は、華やかな色合いなので、花が咲く時期は彩りを添えて、花の無い季節ではお庭のアクセントになります。以前は庭に置くテーブルなどは大型のものが主流でしたが、最近ではコンパクトでスタイリッシュな物が作られています。お天気の良い日にはお庭でティータイムなど、ゆったりした時間を過ごすための良いアイテムとなるのではないでしょうか。
インテリア
傘立てや植木鉢カバー、プランターなど実用的な小物が作られています。御影石は、劣化や風化にも比較的強いので長く使える利点があります。ピンクから紫という華やかな色合いの「アフリカン・ライラック」で作られた調度品は、室内の雰囲気を明るくしてくれるでしょう。
「アフリカンライラック」のまとめ
ライラックは日本では晩春から初夏にかけて紫または、白の小粒の花が鈴なりに咲く良い香りのする樹木です。原産はヨーロッパで、ライラック色と呼ばれるのは簡単に言うと薄紫色です。御影石の「アフリカン・ライラック」は天然の石ですので全てライラック色をしているわけではありませんが、紫系の華のある石材なので、空間をエレガントに演出できる良い素材と言えるのではないでしょうか。
2022年12月のしらべ
コメントを残す