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ナジュランブラウン(Najran Brown)のしらべ
アースカラーと言われる色があります。地球色、または大地の色という表現です。御影石のナジュランブラウンは、まさに地球の大地の色をした御影石です。アラビア半島にある広大な砂漠の近くで採石されています。
原産地
サウジアラビア王国の南の端にナジュラーン州と言う地域があります。イエメンとの国境を接しています。アラビア半島の大部分を占めているアラビア砂漠の中にある世界最大級の砂だけの砂漠、ルブアルハリ砂漠の西の端に位置します。砂漠特有の寒暖の激しい気候の土地です。夜は氷点下になり、日中は五十度を超えることもあります。砂漠のオアシスとして栄えてきたナジュラーンは、肥沃な土地を持っています。特産品のナツメヤシをはじめ、穀物などの栽培が盛んです。また、多くの家畜も飼育されています。そのナジュラーン州のビルアスカーが産地となります。
特徴
茶色系の御影石です。こげ茶色の地色に黒雲母による柄が入っています。濃い茶色と黒の入り混じった様な色と柄になっています。模様は割と均一です。濃い色の御影石でよく見かけられるのが、色が違ってくると言う点です。切り出された深さや、丁場の違いで色見に変化が出ます。特に鏡面加工にした場合には、この現象が顕著に現れます。濃い茶色から黄色に近い色まで、色の幅があります。吸水率は低めで品質は良いようです。風化や劣化には強いので、外壁などにも使う事ができる石材となっています。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
留意点
濃い目の特徴的な色をしていることで注意する点があります。
こげ茶から薄い茶色、また黄色に近い色の違いが出てきます。ナジュランブラウンを茶系御影石と紹介する所と、黄色系御影石と紹介する所があるくらいです。タイル状の石材を使って、床面など広い範囲に使用する場合は仮置きをしてバランスを見ることをお勧めします。バーナー加工などのツヤ消しの加工でしたらあまり気になりませんが、ツヤのある表面ですと色の違いと濃淡が目立ちます。使う場所や、周りの雰囲気に合わせることも大事です。
適した製品
アースカラーは、どこにでもなじみます。
天板やカウンター
キッチンや洗面台カウンターなどで使用すると重厚感が増してインテリアとしても美しく映えます。
壁や床
茶系の色なので、和風住宅にも違和感なく使えます。玄関のあがり框や床に使えば、しっとりとしたお落ち着いた雰囲気になるでしょう。床面は、濡れた時に滑らない為に全てツヤ消しのザラザラ面にしなくても一部を鏡面にすることで、デザイン性も生まれます。また、濃い目の色を利用して、薄い色の御影石と組み合わせてモザイク模様を作り出している例もあります。
外部で使う
屋外でも十分使える石材です。家屋の門柱に鏡面加工のナジュランブラウンが使われている施工例があります。また、お庭を彩るためのプランターやベンチなども作られています。大地の色をした御影石は、お庭の木々や花々とよく似合うのではないでしょうか。
まとめ
ナジュランブラウンは「ナジュラムブラウン」とも表記されることがあります。砂漠のそばで産出される御影石は、砂漠の砂の色に似ています。悠久の時間をかけて地球が作り出した御影石のナジュランブラウンは、まさに大地の子供のような色をしています。荒々しい自然が育んだ御影石を、これからも有効活用できたらいいですね。