ナジュランブラウン サウジアラビア産茶系の御影石のご紹介

ナジュランブラウン(Najran Brown)のしらべ

 

アースカラーと言われる色があります。地球色、または大地の色という表現です。御影石のナジュランブラウンは、まさに地球の大地の色をした御影石です。アラビア半島にある広大な砂漠の近くで採石されています。

 

ナジュランブラウンの原産地

サウジアラビア王国の南の端にナジュラーン州と言う地域があります。イエメンとの国境を接している所で、州都ナジュラーンの近郊にあるビルアスカルと言う町に複数の「ナジュラブラウン」採石場があります。アラビア半島の大部分を占めているアラビア砂漠の中にある世界最大級の砂だけの砂漠、ルブアルハリ砂漠の西の端に位置します。砂漠特有の気候で、寒暖の差が激しく、年間降水量は日本の10分の1にも満たない量です。しかし、ナジュラーンは太古より農業が営めるほどの水をたたえたオアシスであった為に、古くから人々が定住して街となりました。香料や香辛料、絹織物など様々な品物を携えて行き交っていた、香の道と呼ばれる交易道の重要な拠点として栄えてきました。このように重要な場所だったので、様々な権力者に支配されてきた歴史もあります。また、隣国イエメンと近い為に文化などに影響が残っていて、エキゾチックな雰囲気を醸し出しています。

 

 

ナジュランブラウンの特徴

 

本磨き

 

ジェットバーナー仕上げ

ナジュランブラウンは、シックな茶色系の御影石です。こげ茶色の地色に黒雲母による柄が入っていて、濃い茶色と黒の入り混じった様な色と柄になっています。模様は割合的に見て均一となっているので、スラブ材と呼ばれる大きいサイズの石材や、タイル状の小さい石板でも柄の見た目に大きな違いはありません。御影石の中でも石目の大きい種類なので、それぞれの色の結晶をはっきりと見る事が出来ます。このような模様がある事から大胆な使い方もできる御影石と言えます。しかし、濃い色の御影石でよく見かけられるのが、色の雰囲気が違ってくるとイメージが変わってしまうと言う点です。基本的には黄色味を帯びた暖色系の茶色ですが、濃い茶色から黄色に近い色まで、色に幅があります。切り出された深さや、採石場の違いで色味に変化が出ます。特に鏡面加工にした場合には、この現象が顕著に現れます。石目は比較的大きい方ですが、吸水率は低めで品質は良いようです。風化や劣化には強いので、外壁などにも使う事ができる石材となっています。

 

表面の仕上げについて

 

基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。

 

本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。

 

この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。

 

ナジュランブラウンを取り扱う時の留意点

 

濃い目の特徴的な色をしていることで注意する点があります。

ナジュランブラウンには、複数の採石場があります。その為、こげ茶から薄い茶色、また黄色に近い色の違いが出てきます。ナジュランブラウンを茶系御影石と紹介する所と、黄色系御影石と紹介する所があるくらいです。タイル状の石材を使って、床面など広い範囲に使用する場合は仮置きをしてバランスを見ることをお勧めします。バーナー加工などのツヤ消しの加工でしたらあまり気になりませんが、ツヤのある表面ですと色の違いと濃淡が目立ちます。使う場所や、周りの雰囲気に合わせることも大事です。

名称について

ナジュランブラウンだけでなく、ほとんどの御影石は石材として様々な名前が付けられています。特に外国産で、採石場が複数ある場合にはこのような事がよくあります。ナジュランブラウンの場合も同じですが、採石されている場所の地名を取って「アスカーブラウン」と名付けられたり、見た目の雰囲気から「トロピカルブラウン」と呼ばれたりします。他にもいくつかの名称がありますが、複数の名前が併記されている事もあるので、産地と共に確認されるとよいでしょう。

ナジュランブラウンに適した製品

アースカラーは、どこにでもなじみます。

天板やカウンター

キッチンや洗面台カウンターなどで使用すると重厚感が増してインテリアとしても美しく映えます。

壁や床

ナジュランブラウンは茶系の色なので、和風住宅にも違和感なく使えます。玄関のあがり框(かまち)や床に使えば、しっとりとした落ち着いた雰囲気になるでしょう。床面は、濡れた時に滑らない為に全てツヤ消しのザラザラ面にしなくても一部を鏡面にすることで、デザイン性も生まれます。また、濃い目の色を利用して、薄い色の御影石と組み合わせてモザイク模様を作り出している例もあります。

外部で使う

屋外でも十分使える石材です。家屋の門柱に鏡面加工のナジュランブラウンが使われている施工例があります。また、お庭を彩るためのプランターやベンチなども作られています。大地の色をした御影石は、お庭の木々や花々とよく似合うのではないでしょうか。

 

ナジュランブラウンのまとめ

砂漠のそばで産出される御影石は、砂漠の砂の色に似ています。悠久の時間をかけて地球が作り出した御影石のナジュランブラウンは、まさに大地の一部のような色をしています。荒々しい自然が育んだ御影石が安らぎを連想させる色をしているのは、自然の懐が大きい事の証かもしれません。安心感のある色で特徴的な柄のナジュランブラウンは、独創的な使い方もできる石材ではないでしょうか

2022年12月のしらべ

 

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