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ジュパラナコロンボ(Juparana Colombo)のしらべ
「ジュパラナコロンボ」と言う名前の砂漠に波打つ砂紋のような模様の御影石があります。やさしい色合いのマルチカラーと言われる、いくつかの色が入り混じっている「ジュパラナコロンボ」は、インドの南部から切り出されている御影石です。
「ジュパラナコロンボ」の原産地
タミル・ナードゥ州は、インド共和国の南東部に位置しています。その、ほぼ中央部にあるカルール地区に複数の「ジュパラナコロンボ」の採石場があります。インド亜大陸の中央部はデカン高原によって構成されていますが、そこには様々な鉱物が眠っています。「ジュパラナコロンボ」を採石しているのもデカン高原の一部です。カルール地区には比較的大きなカーヴィリと言う川が流れていて、肥沃なデルタ地帯を形成しています。主な産業としては、サトウキビやバナナ、ひよこ豆などの栽培による農業があります。サトウキビを精製する工場には、工業機械の排熱を利用した発電も行われています。また、宝石の原石となるアメジストやムーンストーンなど、多彩な鉱物が採掘されています。製造業では、繊維業が盛んで、特にホームテキスタイルと言われる、カーテンやベッドカバーなど家具に付帯する生地を製造しています。これらの繊維製品は世界中の大規模な家具メーカーにも輸出されています。
「ジュパラナコロンボ」の特徴
「ジュパラナコロンボ」は、ミグマタイト(混成岩)と呼ばれる岩石です。ミグマタイトはマグマがゆっくり冷えて出来上がる深成岩と、様々な作用によってできる変成岩が混じっている岩石です。一番の特徴は流れ模様を描き出す岩石である事です。「ジュパラナコロンボ」には、ピンクからオレンジ色の広い範囲の地色があります。その中に黒い砂粒のような細かい粒子が、流れるような模様を描き出している、マルチカラーと呼ばれる御影石です。地の色は均一ではなく、グラデーションを形作るように色が変わっている物もあります。採石場の上層では、オレンジから黄色に近い色に変わってきます。構成鉱物の長石がカリウムを多く含むと赤に近い色になり、柄を作り出している黒雲母と角閃岩の黒い粒子もランダムに入っています。基本的には薄い色合いの御影石ですが、黒い粒子が多く入っている所は多少黒っぽく見え、石全体がグレーに近くなってきます。いずれも、点描画のような独特の模様を作り出している美しい御影石です。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凹凸があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色味が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「ジュパラナコロンボ」を取り扱う時の留意点
模様のある石について
「ジュパラナコロンボ」は、大理石によく見られるような流れ模様があります。このような模様のある御影石は種類が少なく、珍しい石材とも言えます。しかし、数種類の色が混じり、模様に向きがある「ジュパラナコロンボ」は使用する時に注意する事があります。複数の色がある中で、無彩色の色については問題ありませんが、赤系の色の濃さや色味が変わると全体の雰囲気がずいぶんと変わってきます。また、流れ模様の向きや、中には渦を巻くように見える模様もあるので、複数の石板を利用する場合には柄合わせや色合わせが必須となってきます。後で追加する時や修理の時なども同様の注意が必要です。
汚れについて
どのような素材でも薄い色は汚れが目立ちます。「ジュパラナコロンボ」も薄めの色なので、汚れが付着した時には速やかにふき取ってください。加えて、多彩な色があると言う事は含有する鉱物も多いと言う事です。その中には、水分によってサビが出る物も含まれています。サビが染み出してくると、少しふき取ったくらいではなかなか落ちません。水気には注意してください。
「ジュパラナコロンボ」に適した製品
優しい色合いを生かせる使い方
内装の床や壁に
やはりオシャレなインテリアにはピッタリのようです。
ペットのクールマット
夏の暑い時期にペットのクールマットとして使われています。動物たちも熱中症になる可能性がありますが、クーラーなどはあまりよくありません。天然石のひんやり感がちょうど良いくらいです。しかも、布製などと違ってノミやダニの寄生虫の繁殖が防げます。ただし、動かす時に床などに傷が付くことがありますので、御影石の下にフェルトやタオル等を敷くことをお勧めします。「ジュパラナコロンボ」はマルチカラーなので、どんな色のペットにも似合うのではないでしょうか。
テーブルの天板
「ジュパラナコロンボ」は柔らかい色合いなので、ダイニングやショップの雰囲気が優しい感じになります。鏡面に磨かれた「ジュパラナコロンボ」のテーブルトップでしたら、高級感とゴージャスな雰囲気も得ることができます。「ジュパラナコロンボ」は明るく、温かい空間にぴったりな御影石と言えるでしょう。
「ジュパラナコロンボ」のまとめ
御影石の「ジュパラナコロンボ」は墨流しのような、砂絵の様な独特の紋様を作り出しています。ソフトな色も相まって、和風な空間でも似合う石材はないでしょうか。「ジュパラナコロンボ」は、多様なシーンと様々な場で活躍する事の出来る素材と言えるのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き
400角…13701円
2022年12月のしらべ
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