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グリジオカルニコ(Grigio Carnico)のしらべ
一般にモノトーンと言えば白や黒を思い浮かべますが、灰色も無彩色の色です。イタリア語でグレーを意味する言葉をグリジオと言い、その名の通り灰色をした大理石の「グリジオ カルニコ」をご紹介します。いかにも岩石と言った色合いの大理石です。
「グリジオ カルニコ」の原産地
イタリア共和国の北東部、オーストリア、スロベニアと国境を接する所に「グリジオ カルニコ」の採石場があります。特別自治州のフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州にあるフリウリ地方(旧ウーディネ県)の中心的都市、ウーディネ市から北上したいくつかの村で大理石の「グリジオ カルニコ」は採石されています。
この地域は、ヨーロッパの屋根とも言われるアルプス山脈の東の端にあたります。フリウリ地方にはドロミテ山脈がそびえ、フリウリドロミテ自然公園として指定されています。その中にある、いくつかの奇岩や山は世界遺産の自然遺産として登録されています。
古代ローマ帝国の時代から、様々な民族に統治されたことのある地域で、現在もいろいろな民族出身の人々が暮らしています。そのため、イタリア語以外の言語も日常で使われています。また、各時代、各民族の残した神殿や大聖堂などの建築物が世界遺産に指定されているものもあり、観光客誘致にも一役買っています。
「グリジオ カルニコ」の特徴
「グリジオ カルニコ」は、名前の通り灰色の大理石です。地の色は、濃い目のグレーから黒に近い色をしています。派手さはありませんが、色の具合から重量感と、落ち着いた佇まいを見せてくれる大理石です。濃い灰色の中に白いスジ模様がランダムに入っています。糸のように細いものから、帯状になっているものまで、不均一な柄になっています。
色が違うと言うことは、その部分を構成している鉱物に違いがあるので、目には見えませんがわずかな隙間が生じる事が多々あります。その為、色の違いがみられる部分は、割れたり、欠けたりする可能性があります。特に、柄の多い場所はこのような事が顕著なので、やさしく取り扱って下さい。採石されている場所が複数あるので、若干の色の違いも現れます。
基本的には無彩色の灰色ですが、色の濃さに違いが出る事があります。また、同じところで採石されても、切り出される深さなどで見た目の感じが変わる事があります。このような違いが現れるのは、天然石の宿命とも言えます。
「グリジオ カルニコ」を取り扱う時の留意点
屋外に使う場合の準備
表面が普通の岩肌のような製品があります。割肌と呼ばれているもので、外壁や玄関外のアクセントに使われることがあります。この際、雨にさらされるので、撥水処理を施したものを使用してください。これをしないと、月日が経つうちに苔やカビが生えてくることがあります。また、研磨して鏡面加工を施された物を使用する時は、コーティングをしっかりして下さい。比較的吸水性が高い石種なので、シミや汚れの元となり、お手入れも大変になってきます。
見た目の違いについて
「グリジオ カルニコ」は無彩色の石なので、色味の違いが現れることはほとんどありません。しかし、無彩色と言っても色の濃さには違いがあります。地色が黒に近い物から非常に薄い灰色のものまで色の濃さに幅があります。基本的には濃いグレーの地に白いスジ模様ですが、地色が薄い石には濃いグレーと白いスジ模様が現れるものがあります。切り出される場所や期間で違いが出てくることを考慮して使用してください。
「グリジオ カルニコ」に適した製品
外壁にも使えます
割肌と呼ばれる、表面を切り出したままの様な状態にしたものがあります。これを外壁の一部分に使う例があり、いかにも石造りの建物と言った雰囲気が引き出され、ナチュラルなイメージを持たせることができます。玄関サイドや門柱にも「グリジオ カルニコ」が使われます。濃い目のグレーはアクセントにもなり、派手さはありませんが、鏡面に磨かれた「グリジオ カルニコ」は、シックで高級なイメージを出すことができます。
表札
重みのある色なので、表札によく使われます。個人宅の表札だけでなく、ショップの看板代わりに、高級感あるプレートとしても好まれています。また、大きな建築物の入り口付近に置かれている、館銘板と呼ばれる建物の名称を記したものがありますが、これにも「グリジオ カルニコ」が使われる例があります。建築物の顏とも言える銘板に、品格と貫禄のある色の「グリジオ カルニコ」は相応しい素材と言えるでしょう。
天板
洗面台やキッチンシンク、カウンターにも使えて用途が広いです。
床材
ホテルのロビーや、公共施設の床にもよく見ることがあるでしょう。メンテナンスが良ければいつまでも美しいままに保つこともできそうですね。
バスルームに
海外ではバスルームにも大理石を使います。
「グリジオ カルニコ」のまとめ
「グリジオ カルニコ」は、グレーと紹介していますが、光の当たり具合によっては、青みを帯びた色にも見えます。柄の入り方もいろいろあり、やはり長い時間をかけて出来上がった天然の大理石は、奥深いものを持っています。このように様々な表情を見せてくれる大理石の「グリジオ カルニコ」は、どっしりとした安定感をもたらしてくれる石材と言えます。黒に近い無彩色の大理石ですが、周囲を暗くするのでは無く、ハイセンスで落ち着いた空間を作り出せる素材ではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
300角…21573円
400角…23150円
2022年11月のしらべ
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