G306　中国山東省で採掘される紫色御影石のご紹介

Ｇ306のしらべ

美しい色を持つ御影石は元々希少なものが多いです。綺麗な色が出るのは自然の偶然に任すしかありません。大地の恩恵を受けた、艶やかな紫色の御影石が中国大陸から産出していました。Ｇ306と言う御影石です。

「Ｇ306」の原産地

広大な面積を持つ中華人民共和国は様々な気候の地域があります。山東省は四季があり、日本と似た気候の地域です。二大大河である黄河の下流域にあたり、肥沃な土地が多く、農業が盛んに行われています。この地域は、特に果樹の育成に力を入れ、リンゴやナツメ、モモなどの果物が豊富に生産されています。山東省の農業に従事する人の割合は、総人口の約三分の二となっています。近年では広い畑を管理する為にIT化が進められていて、少人数で広大な畑を簡単に管理でき、生産量も増やすことが可能となってきています。また、青果だけでなく、乾燥フルーツなどの加工品もいろいろな物が作られています。中でも、山査子（さんざし）のドライフルーツは、ビタミンCやポリフェノールなども多く含み、楊貴妃も好んだと伝えられていて、特産品の一つとなっています。また、牛や豚、鶏などの畜産も盛んで、中国国内の特に沿岸部地域の台所を賄っています。

「Ｇ306」の特徴

本磨き

ジェットバーナー仕上げ

「Ｇ306」は中国産の紫系御影石の代表格と言われている御影石です。濃い目の紫と白が混在していて、粒子と表すには少し大きい黒い粒が入っています。紫の色がはっきりとしていますが、天然の石ですので、青味の強いものから赤味のあるものまで多少の色の幅があります。比較的目の細かい石なので、ツヤのある鏡面加工の場合には、色の付いた粒が偏って色が濃く見える場所と薄く感じる場所があります。ジェットバーナー仕上げの場合には、全体が薄い紫か青味のある薄いピンク色に見えます。全体的にきめ細かく、小から中くらいの石目です。御影石としては吸水率が若干高いようですが、撥水処理などのコーティングを施された製品もありますので、屋外使用でも問題ありません。現在は「Ｇ306」の鉱山は閉山していて、石材は在庫限りとなっています。従って価格も高騰し、入手は困難となっています。代わりに「Ｇ664」等、何種類かの紫御影石が中国国内で産出していて代替え品として使われています。

「Ｇ306」を取り扱う時の留意点

お手入れについて

御影石はいろいろな色があります。使われ方も様々で劣化や風化にも比較的強い建材です。しかし、天然の産物ですので適正なお手入れ方法があり、こまめにお手入れすることで美しさを長く保つことができます。そして、やってはいけないこともあります。酸やアルカリなどの化学作用に比較的強いとは言え、酸性の漂白剤などは使用しない方が賢明です。間違ったお掃除方法で、美しい表面を台無しにしてしまうこともあります。石材は硬く丈夫なイメージでその通りの素材ではありますが、優しく扱うことが大事です。

名称について

御影石の「Ｇ306」は「チャイナ・パープル」や「チャイナ・ヴァイオレット」など色々な別名もありますが、同じ名前を別の産地の御影石でも使う事もあります。中国産の多くの御影石は、花崗岩を表す英語のGranite（グラニット）のGと産地を表す数字で区別しています。ナンバーの場合でしたら産地の違う石ではないので、名称だけでなく、ナンバーも確認してから購入した方がよいでしょう。

表面の仕上げについて

基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB（ジェットバーナー）仕上げ」があります。

本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。

この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。

「Ｇ306」に適した製品

艶やかとも言える色合いは良いアクセントになります。

モザイクや飾りに

御影石の「Ｇ306」は、床や柱などの一部に模様として使われます。白や薄い色の御影石と組み合わせてモザイク模様を描き出します。一般的に御影石を床に使う場合は、ツヤを抑えたザラつきのある表面加工のものを使いますが、モザイクの一部などは鏡面加工の物を使う事があります。これは色が濃く見え、デザイン的にインパクトがあるからです。歩行する人の安全のためには、滑りにくい表面加工にしますが、広い部分でなければ問題ありません。壁や柱など垂直部分に使用する場合は、ツヤのある表面の方が華やかさも増して、その場の雰囲気も一段とアップするでしょう。

天板として

御影石は水回りにもよく使われます。しかし、御影石は吸水率が低いとは言え、キッチンや洗面台のトップなどに使われる場合には、撥水加工などの表面コーティングを施した物を使われる事をお勧めします。「Ｇ306」は華やかな雰囲気を持つ御影石なので、カフェテーブルなどのこじんまりした使い方もよいのではないでしょうか。

「Ｇ306」のまとめ

人気の高い美しい色の石は、必然的に短期間で希少なものとなってきます。埋蔵量の違いによっても変わってきますが、花崗岩が形成される時間は一番短い物でも100万年以上かかります。自然が長い時間をかけて作り上げた岩石を様々な場面で利用できることはよい事ですが、無駄なく有効的に利用する事も大切な事ではないでしょうか。

2022年12月のしらべ