ブレッチアペルニチェ イタリア産赤い大理石のご紹介

ブレッチア・ペルニチェ(Breccia Pernice)のしらべ

自然界には色とりどりな美しさにあふれています。大理石とは商業的に付けられている石材の名称で、産地や多種多様な見た目でそれぞれに固有の名前も付けられています。「ブレッチア・ペルニチェ」は、ヨーロッパの山に生息している鳥の羽根に似た色と模様をしています。

 

 

 

「ブレッチア・ペルニチェ」の原産地

地中海に突き出したイタリア共和国の北東部に、水の都ヴェネツィアを擁するヴェネト州があります。州の第二の都市、ヴェローナの北西約20㎞の所にある、モンテ・パステッロと言う山の斜面から「ブレッチア・ペルニチェ」は切り出されています。ヴェローナは、アルプス山脈南側の麓に位置する街で、紀元前にはすでに都市としての機能を備えていました。この街は、中世においてはヴェネツィア共和国の主要都市でした。その後、18世紀にフランスの支配に入り、18年後にはオーストリアの領土となり、19世紀中頃に当時王国であったイタリアの領土となりました。数奇な運命をたどったヴェローナは、現在でも当時の建造物が多く残され、市街地が丸ごと世界文化遺産に登録されています。例えば、イタリア国内で最も保存状態の良い円形闘技場が街のほぼ中央にあり、ここで毎年オペラが上演されています。シェイクスピアがいくつかの戯曲の舞台に選んだこの街ならではの催し物となっています。

「ブレッチア・ペルニチェ」の特徴

大理石の「ブレッチア・ペルニチェ」は、赤茶色のレンガのような色をしています。ピンクに近い薄い部分もありますが、大体において濃い色の石です。「ペルニチェ」とはヨーロッパヤマウズラと言う野鳥の名前で、この石がその鳥の羽根の柄と色に似ている事から付けられた名称ではないでしょうか。

「ブレッチア」は角礫岩(かくれきがん)の事で、一般的な大理石とは石の種類が違います。大きな岩が崩れて小石状になった物の隙間が埋まり、再び大きな岩になった岩石です。地色になる部分が隙間を埋めた物質で、模様を描き出す大小の塊の部分が小石に当たります。このような性質の石なので、塊の部分が浮かび上がるように見える物もあります。角礫岩の特徴である、玉と呼ばれる角張った石がそのまま見られることが多くあり、これが模様を作り出す大きな要因となっています。地色の部分には多くのスジが入っていますが、玉との色の濃さの違いで雰囲気が大きく変わる事もあります。また、年輪の様な筋もようが見られる所もありますが、この部分はかなり濃い色になっています。

「ブレッチア・ペルニチェ」を取り扱う時の留意点

石材の特質を知って、対処することが大切です。

吸水について

「ブレッチア・ペルニチェ」は、大小の小石が寄り集まって構成されている岩石なので、目に見える大きさではありませんが、数多くの隙間があります。その隙間に水が入り込むと様々な不具合が生じます。色が変わったり、表面にザラつきが生じたり、ひどくなると苔やカビが発生することもあります。このようなことを回避するためには、特に水回りなどに使う時に、撥水処理などのコーティングを施した方がよいでしょう。お手入れは、普段は乾いた柔らかい布で拭き、汚れがひどいときは、硬く絞った布を使うことをお勧めします。

 

硬さついて

角礫岩は玉の部分と地色の部分は出来上がった年代が違います。長い時間をかけて出来上がった岩石ですが、完全に密着したものではない事を念頭に入れておいてください。特に大きな玉の部分は地色の部分から割れやすい確率が高くなっています。板状の石材を扱う時には落としたり、ぶつけたりしないよう注意を払ってください。

 

 

「ブレッチア・ペルニチェ」に適した製品

内装材に使われます。

壁や柱

「ブレッチア・ペルニチェ」は、濃い目の色なので全面に使うと少し暗い感じになることがあります。しかし、白や薄いベージュ系の石と合わせて、アクセントとしてライン使いや市松のように部分的に使うと、色が引き立って本来以上の美しさが引き出されます。赤系の色と、比較的はっきりとした模様のある「ブレッチア・ペルニチェ」は、華やかな雰囲気を作り出せるので、多くの人が集まるような場に似合う石材と言えるでしょう。

 

床や階段

床面などは全面に使われることがあります。柄が大きいところもあるので、タイル状の石板を使えば同一の石材とは思えない模様を描き出すこともできます。また、大きく色の変わっている場所もあり、うまく組み合わせることで様々な表情が表れるでしょう。「ブレッチア・ペルニチェ」は均一の色や柄のある石ではないので、床面などに使われても傷などが目立ちにくい利点もあります。

「ブレッチア・ペルニチェ」のまとめ

日本では高級石材のイメージがある大理石ですが、輸送コストが抑えられるために、ヨーロッパでは大理石を屋外に使うことも多々あります。古くから建物が石造りである事も、その要因の一つでしょう。「ブレッチア・ペルニチェ」は美しい赤い色と、大きくはっきりした柄なので、建物の外観や屋内空間をゴージャスに演出できる素材と言えるのではないでしょうか。

2022年11月のしらべ

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