バルカンホワイト ギリシャの白い大理石のご紹介

バルカンホワイト(Balkan White)のしらべ

神話の国ギリシャの国旗は、ブルーとホワイトの2色で構成されています。
青いエーゲ海に浮かぶ島では、輝くような白い大理石が産出されています。
それは正に、ギリシャの国旗を彷彿とさせるような印象があります。
「バルカン ホワイト」は古くからこの島で採石されている大理石です。

「バルカン ホワイト」の原産地

ギリシャ共和国の国土であるバルカン半島と、トルコ共和国のアナトリア半島に囲まれたエーゲ海は、多くの島々が浮かぶ多島海の一つです。
その一番奥の海域に位置するタソス島に、「バルカン ホワイト」の採石場があります。ギリシャ共和国の東マケドニア=トラキア地方のタソス県は、タソス市のみで構成されています。
面積は、長崎県の五島列島で一番大きな福江島より少し大きいほぼ円形の島です。
ヨーロッパ大陸からわずか数㎞しか離れていないことから、紀元前から人々が暮らしていましたが、その当時は金の鉱山があったとされていました。
古代の銀の鉱山はいくつか見つかっています。
古代タソスの銀貨も多数発見されていて、その多くは神話に登場する神々が彫られていました。
また、大理石の採石も大変古くから行われていて、神殿の建設や彫像の素材として利用されていました。
現在の島の経済は、オリーブやワイン醸造の為のブドウの栽培、大理石を代表とする各種の鉱物資源の産出が担っています。


 

 

「バルカン ホワイト」の特徴

本磨き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い大理石と言っても、純粋に真っ白なものはほとんどありません。
「バルカン ホワイト」の地色は純白に近い白をしていて、その中に薄墨色や青味のある灰色のかすかな模様があります。
近くで見ると点々のドット柄に見えますが、離れて見るとその点が連なって緩やかな波のようになっている場合があります。
他にも、全体に薄い模様として広がり、濃い霧のような、靄のような印象のものもあります。
また、模様を作り出しているグレーの部分がほとんど無く、真っ白に見える石もあります。
地球が長い時間をかけて作り出してきたものなので、いわゆる不純物の無い物はありません。
大理石の主な成分である方解石(ほうかいせき、またはカルサイト)は白い色をしています。
「バルカン ホワイト」は、この方解石の含有率が高い為に白い色をしています。
グレーの色を引き出している不純物である黄鉄鉱がわずかに含まれているために、淡い模様の浮き出たものがあるのです。

「バルカン ホワイト」を取り扱う時の留意点

大理石の吸水率について

大理石が水を吸うと、シミなどの見た目の劣化につながってしまいます。
白い石は特に注意が必要となってきます。
大理石は吸水率が比較的高いと言われていますが、「バルカン ホワイト」はその中に於いては吸水率が低い石です。
不純物が少ない事がその要因と思われますが、使用する場所によっては注意が必要です。「バルカン ホワイト」の色や模様から水回りに使われる事も多い石なので、撥水処理など、水に強くなる加工を施したものを利用する事をお勧めします。

名称について

「バルカン ホワイト」はいわゆる商標です。
従って同じような場所で採石された石でも様々な名前が付くことがあります。
また、違う採石場で切り出された大理石でも同じ名前が付けられる事もあるので、注意してください。

「バルカン ホワイト」に適した製品

キッチンや洗面台

「バルカン ホワイト」の白さは清潔感があり、大理石であることの高級感もあるので、キッチンの天板や洗面台のトップやシンクにも使われます。
先に述べたように何の処理もしないまま水回りに使うと、吸い込んだ水分によってシミなどが浮き出る事があるので、適切な処理を施したものを使ってください。
わずかに柄があるので、純白の冷たさは無く、明るいお部屋になるのではないでしょうか。

床や壁材として

大きな模様の無い「バルカン ホワイト」なので、表面の加工によって様々な表情を引き出すことができます。
例えば、割り出したようなデコボコの表面にして、組み合わせた壁にされます。
照明の当たり具合で影ができるので、新たな模様を作り出せます。
ツヤのある鏡面加工にされたものも、人工的には作り出せない自然の白い壁や床にして、洗練された空間を演出できるでしょう。

 

 

 

「バルカン ホワイト」のまとめ

「バルカン ホワイト」には、ギリシャ神話の女神アルテミスの名前を冠して「ビアンコ・アルテミス」や「アルテミス大理石」などの別名もあります。
アルテミスは狩猟と純潔、安産の女神です。
双子の太陽神アポロンと対をなした月の女神とも言われています。
純潔の女神と言うことから、アルテミスの彫像は白い大理石で彫られたものが多く存在しています。
この島で作られた多数のタソスコインの中には、アルテミスがレリーフされたものが複数のデザインで発見されています。
タソス島では紀元前から大理石が切り出されていました。
閉山になった採石場もありますが、現在も島の北東部に複数の採石場があり、世界中に「バルカン ホワイト」を輸出しています。
神話の登場人物の名を持つエーゲ海に浮かぶ島から産出される大理石が、美しい白い色をしているのは偶然ではないのかもしれません。

2022年11月のしらべ

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