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ネロポルトロ(Nero Portoro)のしらべ
黒と言う色は、不吉であったり禍々しさがあったりする負のイメージと、粋でシックなプラスの印象を持っているのではないでしょうか。地中海に浮かぶ島から産出している「ネロ ポルトロ」には、黒の意外な面も見られます。「ネロ ポルトロ」は、ポップな感じのある黒い大理石です。
「ネロ ポルトロ」の原産地
イタリア共和国の北西部にあるリグーリア州は、平地の少ない小さな州です。
イタリア半島の付け根部分にあたり、フランスとの国境に接しています。フランス領のコルシカ島との間に広がる海は、地中海の一部ですが、リグリア海と呼ばれています。
その海に浮かぶパルマリア島で「ネロ ポルトロ」は採石されていました。
対岸のポルトヴェーネレの町からは100mも離れていませんが、この島には多くの宝が眠っていました。
リグリア海に面している島の南部には、多くの浸食された洞窟があり、有名なカプリ島の青の洞窟に負けない素晴らしい光景が見られます。
洞窟の中には、ホモサピエンスが出現した頃の動物の化石が見つかった所もあります。
また、大陸に面した北側には近代の軍事施設や、第二次世界大戦中に建造された施設などが残されています。
このように、考古学的に価値のある場所や、近代の様々な建造物が残されていることが評価されて、近くの小島も含めて1997年にユネスコの世界遺産に登録されました。
「ネロ ポルトロ」の特徴
世界の各地で産出している多くの黒い大理石は、黒の地色に白やグレーのスジが入っている物がほとんどです。
しかし、「ネロ ポルトロ」の模様を作り出しているのは、金や金茶、オレンジに近い色など、暖色系の色です。
その為、「ネロ ポルトロ ゴールド」や「ネロ ポルトロ オロ」と言う別名があります。
イタリア語で「ネロ」は黒を、「オロ」は金色を指します。
また、その色で描かれている柄はユニークで、楽し気なイメージがあります。
波うつようなランダムに曲がる茶色の線からにじみ出るように、大きく広がる金茶の部分がそこかしこに見えます。
他にも、たくさんの稲妻が光る放電現象の様に見えるものもあります。
このような細い模様の場合は、少しずつ色が変わっていくものもあります。
線の模様は基本的には一方向に流れていて、そこから広がる色の付いた部分も同じ方向に並んでいます。
従って、無造作な模様に見えますが、向きのある柄になります。
「ネロ ポルトロ」を取り扱う時の留意点
黒い石の弱み
洋服や車などでも黒い物は汚れが目立ちます。大理石も同じく、小さな傷でも色の薄い石と比べるととても目立ちます。
特に、よく磨かれた鏡面加工を施された製品では、ちょっとした汚れでも目についてしまいます。汚れの場合でしたら、気づいた時にすぐふき取れば問題ありませんが、傷がついてしまった時には修理が必要となってきます。
また、大理石は基本的に吸水率が高く、屋外には不向きな素材となります。
黒い大理石を屋外で利用すると、比較的短期間で粉を吹いたように白っぽくなってしまいます。
大理石は使い捨てにするようなものではないので、先を見据えた使用を考慮して下さい。
お手入れについて
大理石は思いの外、デリケートな石です。日常的にお手入れや掃除をする時に、間違った方法で行ってしまうと、質の高い素材である大理石を台無しにしてしまう可能性があります。
大理石は化学物質によって変化が起きます。特に酸には弱く、果物の果汁でもツヤが失われ、ひどい時には表面が溶けたようにザラついてしまう事があります。
従って、酸性の洗剤は絶対に使わないでください。
水気も嫌うので、通常の汚れの場合は柔らかい布で拭くか、硬く絞って汚れた場所を拭いた後、乾いた布で水気をふき取って下さい。
「ネロ ポルトロ」に適した製品
家具のトップ面に
カウンターやテーブルのトップに使われます。また、洗面台やヨーロッパでは暖炉の周りにも利用されます。
黒い家具はお部屋を暗くしてしまうイメージがありますが、「ネロ ポルトロ」には面白い模様が入っているので、個性的なお部屋作りに適していると言えるのではないでしょうか。
模様の色も温かい感じのある色なので、黒だけの大理石とは違った見え方がするでしょう。
広い使い方
壁や床材としても使われます。濃い色の壁は室内を狭く感じさせますが、「ネロ ポルトロ」の色と柄はそのイメージを取り払ってくれます。
しかも、黒い色は贅沢で粋な印象を与えてくれるので、落ち着いた空間を作り出してくれるでしょう。
床材として使われる場合には、タイル状の石板の向きを変えて並べる事で、「ネロ ポルトロ」だけでもモザイク模様を作ることができます。
「ネロ ポルトロ」のまとめ
「ネロ ポルトロ」が形成されたのはジュラ紀の頃と推測されています。
およそ2億年から1億5千年前の頃で、地球にあった原初の大地が分裂して今の様な形になり始めた時代です。
その様な気の遠くなりそうなほど長い時間をかけて出来上がった「ネロ ポルトロ」が、現代の建造物を飾る石材となっています。
石が出来上がる過程に於いて、様々な鉱物が紛れ込んだおかげで面白い模様も作られました。
自然の気まぐれと根気が、このような素晴らしい大理石を生み出したと言えるのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税別、運賃別)
製品価格…200,000円以上
2022年11月のしらべ
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