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タソスホワイト(Thassos White)のしらべ
大理石は多種多様にあります。世界中で産出され、また太古の時代から重宝されてきました。磨き上げることによって、素晴らしい美しさが引き出される多彩な大理石の中から、エーゲ海の泡立つ波のように白い「タソス ホワイト」をご紹介します。
「タソス ホワイト」の原産地
「タソス ホワイト」は、神話の国ギリシャの南、エーゲ海の北部に浮かぶタソス島で切り出されています。タソス島はギリシャ本土とおよそ7㎞と近く、有名な観光地があり、輝くエメラルドの海と太陽に照らされる白い街並みが、美しいコントラストを見せてくれます。
この島は山が多く、平地の少ない地形で、多くの地下資源がありました。およそ2,500年以上前にはすでに大理石の採石が行われていて、鉄や亜鉛などの鉱物を掘り出す鉱山もありました。中でも、金鉱山があったことから、多くの権力者に占有された歴史もあります。
遺跡も数多く、神話に出てくる神々の神殿跡が小さい島の中にいくつも点在しています。銀も採掘されていて、紀元前5世紀の頃に作られた銀貨が数多く発掘されています。この「タソスコイン」には様々な神話の神々が刻印されています。現在は観光産業と大理石の産出の他、ワインやオリーブオイル、蜂蜜などの農産業と、木材の生産がこの島の経済を担っています。
「タソス ホワイト」の特徴
大理石の「タソス ホワイト」には他の色のスジや塊がほとんど無く、ほぼ真っ白な石です。その白さから上品で高級なイメージを持たれるのではないでしょうか。石材としての大理石は、学問上では「結晶質石灰岩」と言って、太古の海洋生物が残した骨格や殻などのカルシウムから出来ています。それがマグマなどの高温にさらされて一部結晶化した岩石です。
その為、基本的に大理石は白い色をしていて、その中に含まれる様々な鉱物によって色が付きます。「タソス ホワイト」には、不純物とも言える他の鉱物がほとんど含まれていないために輝くような白い色をしています。しかし、自然が作り上げた岩石なので、巣穴と呼ばれる小さな穴が開いていることが数多くあり、また多少の疵が見られることもあります。
とは言え、そうした欠点を除けば素晴らしく美しい純白と言ってよい大理石です。したがって品質の良いものは、あまり大きなサイズにはできません。そのことから、ある程度の大きさのものを組み合わせて使われることが多いようです。
「タソス ホワイト」を取り扱う時の留意点
水気に注意する
大理石は吸水性が比較的高い性質を持っています。水滴などが付いた場合でも、なるべく早く水気を取らなければ水分を吸ってシミができてしまいます。「タソス ホワイト」は、その名の通りとても美しい白い石なので、シミになると非常に目立ってしまいます。その上、長時間そのままにしていると、水分が奥深くまで浸透してしまいます。その分シミも深くできてしまい、研磨しても元通りにならない可能性もあります。
また、酸性に弱い特徴もあります。水分だけでしたら大丈夫な場合も、果汁やワインなど酸性を帯びている液体が付着すると短時間でもダメージを受ける事があります。このような性質がある事を念頭に入れておいてください。
傷がつきやすい
大理石は、比較的やわらかい部類に分類される石ですので、床に使われる場合は傷がつくことが多いでしょう。傷が付きやすい可能性のある場所に使う場合には、表面をコーティングした物をお勧めします。あまり深い傷でなければ、研磨することによって再びつややかな表面が戻ってくるでしょう。
「タソス ホワイト」に適した製品
建築物の壁面
タイル状の石板を組み合わせて壁面を飾ります。とても綺麗な白い壁になりますのでどんな照明の色にも邪魔をせず、かえって引き立たせてくれます。表面が鏡のように磨かれた鏡面加工の石材が使われた場所では、照明の色によって様々なイメージを作り出すこともできます。
また、割り肌と言って、切り出したままのような少しデコボコした表面に加工した物もあります。「タソス ホワイト」は模様の無い白い石なので、このような表面加工も自然な雰囲気を醸し出してくれるのではないでしょうか。
キッチンの天板
自然が作り上げた真っ白な「タソス ホワイト」は、エレガントで高級感のあるキッチンになります。水回りに使うので、撥水処理などの表面にコーティングを施した物を使用してください。白は清潔感がありますが、冷たいイメージもある色です。しかし、天然石の白はほのかな柔らかさもあるので、キッチンには最高の素材とも言えます。
内装の床に
「タソス ホワイト」のまとめ
石灰岩に分類される大理石ですからデリケートなところもあります。しかし、お手入れをこまめにすれば、美しいツヤと大自然の賜物としての真っ白な「タソス ホワイト」の優美さを、いつまでも保ち続けることができます。
古来より切り出され、神殿や王宮などの建造物を彩ってきた「タソス ホワイト」は、現在ではより身近な場面でも使われています。遥か地中海に浮かぶ島で切り出された「タソス ホワイト」が、太平洋の西の端に浮かぶ島国で使えることは幸せなことなのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
コマーシャルタイプ
300角…14487円
400角…15276円
600角…33097円
エクストラタイプ
300角…26297円
400角…31024円
2022年11月のしらべ
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