新北(シンボク) 韓国で採掘される御影石のご紹介

新北(Shinbuk)のしらべ

お隣の国、韓国で切り出されている御影石があります。国産の御影石に引けを取らない良質の御影石が古くから採石され、日本に輸入されてきました。その中でも特に美しい白い御影石の「新北(しんぼく)」をご紹介します。

「新北」の原産地

京畿道(キョンギド、けいぎどう)は、大韓民国(通称、韓国)の首都であるソウル特別市を擁しています。京畿道の北部に位置する抱川(ポチョン)市に御影石の「新北」の採石場があります。自然豊かな街の周辺にはそれを利用した様々な施設が作られ、首都ソウルから北におよそ60kmと近距離であることから、リゾート地としてにぎわっています。街の北部にある「山井湖(サンジョンホス)」は小さな湖ですが、夏は避暑地として、秋は周辺の山々の美しい紅葉も楽しめる、四季折々の美しい風景を織りなしている場所です。他にも、「ハーブアイランド」と言うファミリー向けのテーマパークもあります。また、初期の御影石採石場跡地を利用した観光施設の「抱川アートバレー」もあります。20世紀の終わり頃に閉山した採石場の跡地を21世紀に入ってから、市の主導によって様々な設備を整え、公園として再生させた場所です。採石した後の絶壁など素晴らしい景色は、映画やドラマのロケ地としても利用されています。

 

 

「新北」の特徴

本磨き

 

ジェットバーナー仕上げ

御影石の「新北」は、国際的には採石場のある街の名前を付けた「抱川石(ポチョン・ストーン)」とも呼ばれています。韓国産の御影石は大体において、良質な物が多く採石されています。御影石の「新北」も色や柄のムラが少なく、吸水率も低めの良い御影石です。石目は小さく緻密な石材で、風化や劣化に比較的強く、屋外の使用にも十分耐えうる石材と言えます。砂の様な柄で、白とグレーが同じくらいの割合で入っています。白御影石と紹介されていますが、よく見かける薄い灰色の御影石です。黒雲母の粒子は割と大きめになり、モノトーンの色合いが落ち着いた感じになっています。このような大人しい色柄なので、使う場所を選ばず、周りを引き立たせてくれる素材となるでしょう。建材だけでなく、石造品や小物使いもされています。最初期の「新北」採石場は、数十年前に良質の石が採れなくなったことから閉山して、テーマパークとして再生活用されています。現在の「新北」採石は近隣の複数の採石場から産出しています。

表面の仕上げについて

基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。

本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。

この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。

 

「新北」を取り扱う時の留意点

良質と言っても弱点はあります。

火や高温に弱いです。

花崗岩は様々な構成鉱物で成り立っています。その中には高温で簡単に溶けてしまう物質があり、そうなると割れたり裂け目が生じたりします。強い炎が当たる場所や、非常に高温になる所では使用しないでください。しかし、この性質を利用した表面加工の方法もあり、適度に高熱を当ててザラつかせた表面に仕上げることができます。

 

高濃度の酸やアルカリは御影石を傷つけます。

「新北」は、緻密な石なので化学作用にも強いのですが、天然の石なので高濃度の酸やアルカリ、または、低濃度でも長時間にわたってこのような薬品類が付着すれば劣化してしまいます。鏡面の場合はくもりが出たり、ざらつきが出たり、シミの原因にもなってしまいます。「新北」はかなり白い御影石なので、特にシミになると茶色い色が目立ってしまいます。このような薬剤等が付着した時には、速やかに拭き取ってください。

 

「新北」に適した製品

 

屋内、屋外と様々な所で使われています。

屋外使用の一例

お庭を彩る為の様々な使い方があります。ピンコロと呼ばれる、サイコロ状のざっくり切り落としたような石材を多数組み合わせて、花壇や家庭の駐車スペースの仕切りに使われます。「新北」は色が白っぽいので、花壇の土の色と花々の色を十分に引き立ててくれるでしょう。また、ガーデンテーブルやベンチなどの調度品も作られています。お庭でのひと時を快適にする手助けのできる品となるのではないでしょうか。他にも、柱状にした「新北」を適度に並べて立て、塀や門柱の代わりに施工されている例もあります。斬新さと高級感がありますが、天然石の温もりも感じられる外観となるでしょう。

 

屋内で使われる一例

御影石の石造品の照明と言えば、昔は灯篭などが多かったのですが、最近ではスタイリッシュでコンパクトな照明器具も作られています。玄関先や、お部屋の雰囲気を柔らかくしてくれます。照明の色も近頃はカラフルな物も多く、「新北」の無彩色モノトーンはどんな色を合わせても似合うでしょう。現在の日本庭園などに置かれている石灯籠は、装飾品としての利用がほとんどです。

「新北」のまとめ

御影石の「新北」が産出する地域は、標高が千mを超える山々が多数あります。その山々は花崗岩が多く、気の遠くなるような長い年月の風化作用で「奇岩」と呼ばれる多様な形をした岩が見られます。断崖絶壁に巨大な岩々が張り付いているような、絶景と言うにふさわしい風景の広がっています。良質の御影石が採石される理由も、このような自然のある所だからではないでしょうか。

2022年11月のしらべ

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。