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ローザベータ(Rosa Beta)のしらべ
洋の東西を問わずピンク色を表す時に花を用いる事が多いのではないでしょうか。日本では主に桜を使い、西洋では薔薇を使ってピンクを表現する事が多いようです。
「ローザベータ」は、その名が示すように、たくさんの小さな薔薇を思い浮かべる事の出来る御影石です。
「ローザベータ」の原産地
地中海で一番大きな島がシチリア島で、二番目がサルディーニャ島です。いずれもイタリア共和国に属している島で、サルディーニャ島は九州と四国の中間くらいの面積がある島です。
島全体が一つの自治州で、複数の県に分かれています。現在、県の統廃合が行われていて、北部にあるオルビア=テンピオ県はサッサリ県に編入されました。旧オルビア=テンピオ県の県都であったオルビアで、「ローザベータ」の採石が行われています。オルビアは中世にあったガッルーラと言う国の首都を務めていた街であり、この地域は現在もガッルーラ地方と呼ばれています。島の北側玄関口とも呼ばれ、ティレニア海に面した美しいビーチもあって、高級リゾート地として国内外の観光客に人気のある場所でもあります。
この地域の経済を支える産業には観光以外に、農業では羊の飼育や養鶏、ワインの醸造も盛んです。山間部では、古くからコルク製造の為のコルクガシの植林や、花崗岩の採石が行われています。
「ローザベータ」の特徴
「ローザベータ」は、ライトグレー系の御影石にピンクの花びらを散らしたようなイメージのある石です。大きいサイズの石板を離れて見ると、白っぽい色の中に黒い粒と、にじみ出るようなピンク色の部分があります。名称にあるバラの原種はいくつかの種類がありますが、基本的に一重の花で、白かピンク系の色をしています。そのバラの花びらを撒いたように、ピンクの部分が全体に散らばっています。
花崗岩の主な構成鉱物である長石は着色しやすい性質を持っていて、有色鉱物と呼ばれる様々な物質の影響で長石に色が付きます。
全体がピンクの石ではないので、逆にピンクの部分が目を引くような印象があり、石材に使うには少し違和感がありますが、かわいい感じのする御影石となっています。
「ローザベータ」は、優しい印象の見た目ですが、御影石の中でも吸水率は低く、硬度も高い為、硬い良質の石種となります。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凹凸があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。
JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色味が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「ローザベータ」を取り扱う時の留意点
床材として使う場合の注意点
御影石は様々な表面加工の方法があり、大まかに分けて二つの見かけになります。石の特徴をとらえて美しく見せる鏡面加工と、ツヤを抑えてザラザラした表面に仕上げたジェットバーナー仕上げと呼ばれるものがあります。
床材に使う場合に鏡面加工の物を使用すると、雨などで足元が濡れている場合には滑りやすくなります。見た目はツヤのある加工が良いのですが、利用する人の事を考えると、注意が必要となってきます。「ローザベータ」は薄い色合いの御影石なので、ツヤの有る無しに関わらず見た目の色が変わることは少ないようです。ツヤの無いジェットバーナー加工でしたら濡れていても滑る事は少なくなるので、足元の安全も確保できます。
有色の石です
モノトーンの石の場合でしたら色の濃さに違いが出るくらいですが、「ローザベータ」のように、色の付いた石材では色の雰囲気にも違いが出てきます。自然が長い年月をかけて作り出したものなので、全く同じものはありません。
含まれている金属などの量や範囲によって、随分と見た目の違いが出る事があります。広範囲に使用する場合には、このことを考慮してください。
類似品について
中国で採掘される白御影石でローザベータに似ている石種(G623など)があり、価格が安いため近年ではローザベータの使用量が大幅に減少しています。
「ローザベータ」に適した商品
床材
ビルのロビーや家屋の玄関など床材として使われます。表面にツヤのある鏡面加工の場合でしたら、「ローザベータ」の特徴的なピンク色の粒も見る事ができますが、雨などで水濡れしている時には滑りやすくなる欠点があります。ジェットバーナー加工でしたら滑る心配もありませんが、霞んだような色合いになってしまいます。そのような時にはツヤのあるものと無い物を交互に並べる方法もあります。花びらを散らしたような「ローザベータ」は、訪れる人を優しく出迎えてくれるのではないでしょうか。
キッチンのトップ
御影石のキッチンは憧れのアイテムです。吸水率が低く化学作用にも強いので、水仕事や、様々な食材や調味料などを使うキッチンに最適の素材です。熱を伝えにくい性質もあるので、そのまま作業台としても使えます。鏡面加工された御影石は高級感があり、「ローザベータ」に見られる薄い地色の中のピンク色は華やかさも併せ持っていると言えるでしょう。
「ローザベータ」のまとめ
イタリア近辺は火山が多く、地震も頻発する地域ですが、サルディーニャ島では強い地震がほとんどありません。「ローザベータ」の起源は、3億年前ころに起こった造山運動がきっかけで出来上がった花崗岩と言われています。サルディーニャ島には、島の至る所に古代より花崗岩が地表に現れていました。
先史時代に於いては、その石をくり抜いてお墓にしたり、中世では住居に使ったりしていました。その頃から「ローザベータ」は採石されていて、様々な建築物に使用されてきました。
中世の聖堂やお城を作ってきた石材を、現在も利用できるのは素晴らしい事なのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…14487円
400角…14487円
300×600…14500円
2022年12月のしらべ
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