目次しらべ
パラディソクラシコ(Paradiso Classico)のしらべ
楽園の名を持つ御影石があります。不思議な色と模様のある個性的な石です。名付けた人達は、この御影石の中にどんな楽園を見出したのでしょうか。御影石のパラディソクラシコをご紹介します。日本では、パラダイスやパラディソブラウンとも呼ばれていますので、ここではパラダイスとします。
「パラダイス」の原産地
インド共和国のタミル・ナードゥ州は、インド亜大陸の南端東側でベンガル湾に面しています。州の北、アーンドラプラデーシュ州との州境にあるパラダミ村で御影石の「パラダイス」が採石されています。パラダミ村は州に30ある県の中のヴェールール(ベッロール)県に属しています。雨季と乾季が分かれる熱帯の気候で、年間降水量のほとんどが8月から10月にかけてのモンスーンに頼っています。県都のヴェールールはパラー川を挟んで広がる、インド国内でも都市化の進んでいる街です。主な産業は皮革産業で、国内の3割以上がこの地域の製品で、大量に輸出も行われています。また、農業も盛んです。パピルスやトウモロコシ、サトウキビなどが栽培され、近年では、植物油を採るための落花生や菜種も栽培されています。医療の分野でも州内では中心的で、国立の医療専門大学や大規模な病院、多数の製薬会社もあります。工業化も進められていて、「セカンド・マドラス(マドラスはチェンナイの意)」とも呼ばれています。
「パラダイス」の特徴
「パラダイス」は、御影石の中でも珍しい部類に入るマルチカラーと呼ばれる石種です。様々な色が絡み合って、点描画のような流れる模様を描き出しています。複数の色が混じっているので、石の色はブラウン、ピンクまたは紫(パープル)といろいろな色で紹介されていますが、まさに、その全ての色が入り混じっている石です。ミグマタイト(混成岩)と呼ばれる岩石で、片麻岩と花崗岩の中間にあたる石です。黒っぽい色の部分は黒御影石に多い斑レイ岩と同じ鉱物で、白っぽい所は石英や長石が引き出しています。模様も様々な型があって、色が混じっているだけの物や、流れ模様、独特の渦巻きを形作っている物もあります。柄の入り方で色の感じも変わってきます。採石場がいくつかあり、それぞれに色調や模様が違うので、均一の色や柄を求めるのは少し難しくなります。小さい物や、狭い所に使う場合でしたらなんの問題もありません。また、石目が小さくて吸水性も低く化学作用にも強いので、使う場所もあまり選ばないよい石材となっています。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凹凸があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色味が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「パラダイス」を取り扱う時の留意点
独特の模様を上手に使う
「パラダイス」には、色、柄共に均一性は全くありません。模様の流れる方向も一方向だけでなく、渦を巻いたような柄もあります。そして、採石場の違いや、切り出した時期でも色調が異なることがあります。従って、床や、壁など広い場所で使用するときには注意が必要です。色や模様がちぐはぐにならないように、仮置きしながら配置を見るとよいでしょう。また、一枚ものを使う時も可能であれば、柄の向きに注意すると「パラダイス」の個性をより引き出せるでしょう。
名称について
御影石は岩石ですが、石材としての商品です。その事から分かるように「パラダイス」も商品名の一つとなっています。最初にも記していますが、「パラディソ・クラシコ」と言う名称もよく使われています。「パラディソ」とはイタリア語で天国や楽園を意味するので、「パラダイス」と同義語になります。他にも色を表す「ダーク」や「ライト」を付けたものもあるので、購入する際には産地や採石場の情報もあれば確認されるとよいでしょう。
「パラダイス」に適した製品
おもしろい色や模様を前面に引き出して使うと、楽しい空間を作り出せます。
天板
吸水性が低く、酸やアルカリ等の化学作用にも強いので、キッチンや洗面所の天板に利用されます。「パラダイス」の色や模様は様々ですが、基本的に明るい色調なので優しい雰囲気になるでしょう。キッチンのシンクや、洗面所の洗面ボウルとの継ぎ目をしっかりすれば、さほど問題になる点はありません。特徴的な模様の「パラダイス」は、オリジナリティあふれるお部屋作りの良い素材となるのではないでしょうか。
インテリア
「パラダイス」の持つ独特の色や柄を利用して、様々な石造品が作られています。模様が細かいので、小さいサイズの物でも「パラダイス」の特徴を損なうことも無いでしょう。個性的な御影石のオブジェは、お部屋の中でも、お庭でもその場のイメージアップに役立つのではないでしょうか。
「パラダイス」のまとめ
「パラダイス」が採石されている地域はサバナ(サバンナ)気候の土地です。この気候の場所では赤い色をしたラテライト(赤土)と呼ばれる土壌があり、現地では古くからレンガを作るために使われてきました。「パラダイス」に見られる赤い部分の色は、採石される場所の大地の色でもあります。御影石の「パラダイス」は、気候が生み出した色と元々の大地の色が組み合わさった石材であり、地球の奇跡の一つと言えるのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税別込、運賃別)
本磨き
300角…14172円
400角…14172円
2022年12月のしらべ
コメントを残す