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モカクリームダーク(Moca Creme Dark)のしらべ
まるでティータイムのメニューに出てくるような名前の石材があります。「モカクリーム」はヨーロッパの西の端で採石される石灰岩ですが、柔らかく、ふんわりとしたイメージのある石です。「モカクリーム」の中でも濃い目の色をした石灰岩が「モカクリーム ダーク」です。
「モカクリーム ダーク」の原産地
石灰岩の「モカクリーム ダーク」は「モカクリーム ライト」と同じ地域で採石されています。ポルトガル共和国のほぼ真ん中にサンタレン県があります。サンタレン県の西の端に位置するのがアルカネード(または、アルカネデ)と言う町で、複数ある「モカクリーム ダーク」の採石場の一つがこの町にあります。
この地域には、旧石器時代にはすでに人々が暮らしていた証があります。古代ローマ時代の頃には、大きな川が流れていたことから、交易の為の交差点として重要な役割のある地域でした。その為、その時々の様々な権力者が覇権を争った町でもあります。この町を支配した貴族などの住居となったお城や、教会など多くの建造物が現在も残されています。
それらの建物は、ゴシック様式と呼ばれる華やかでありながら厳かな雰囲気も持ち合わす建物で、今もこの町で静かに佇んでいます。また、ローマ時代に建造された、小振りですが美しい三つのアーチを持つ石の橋が残されています。
「モカクリーム ダーク」の特徴
「モカクリーム ダーク」は「モカクリーム ライト」と同じところで採石されているので、一括してライムストーンの「モカクリーム」と紹介される事が多々あります。名前の通り、ベージュ系ではありますが、少し濃い目の地色にわずかに柄の見える石です。
柄や模様の少ない石灰岩が多い中、「モカクリーム ダーク」には細い線の模様が見えるものがあります。小さな粒が並んで、まるで点描画の様に幾本もの筋を作り出し、線模様が多くあるものは、木材に見られる木目の様でもあります。
ただし、石を切る向きによってはこのような模様が現れない石もあります。その場合には、石の地色より少し濃い茶色の点が見られ、ドット柄のようでもあります。
これらの柄や模様を引き出しているのは、様々な化石によるところが多いのですが、「モカクリーム ダーク」では、はっきりとした形の分かるものは少ないようです。
「モカクリーム ダーク」を取り扱う時の留意点
お手入れについて
石材は硬くて重く、丈夫なイメージがありますが、意外と繊細な素材です。特に石灰岩は方解石(ほうかいせき、カルサイト)が主成分で、これは炭酸カルシウムで出来ています。加えてマグマなどの高熱にさらされていない、降り積もって固まった石なので、様々な要因で品質が落ちてしまう事があります。
従ってお手入れにも十分な注意が必要となってきます。まず、出来るだけ水拭きは避けてください。吸水しやすい性質があるので、水がかかって、そのままにすると比較的短期間でシミになったり、ひどい時にはカビが生えたりすることがあります。
また、汚れがひどい時に洗剤等を使われる場合もあるでしょうが、酸性の物や、カビ取り剤などは絶対に使用しないでください。表面が溶け出す可能性があります。できましたら石材専用の洗剤を使用する事をお勧めします。
劣化について
石灰岩は脆く柔らかい性質の石材です。とてもナチュラルで自己主張しすぎないので、様々な所に使いやすい素材ですが、特に屋外での使用には注意が必要です。
近年増えている酸性雨や空気の汚染にも反応してしまいます。適切なコーティングを施していないと、短い期間で表面が脆くなったり、ザラつくようになったりしてしまいます。
「モカクリーム ダーク」に適した製品
クールマット
石材は大きなサイズの物だけではありません。比較的小さなタイル状のものも売られています。サイズも様々な物があり、アイディア次第で色々な使い方ができます。
石材の特質を知れば、思いがけない使い方もできます。石は熱伝導率が低いので、夏の暑さを和らげるペット用のクールマットに利用できます。気温が高い時に冷房をかける事がありますが、動物たちには害になる事もあります。
しかし、近年の気温の高さは動物たちもダメージを受ける可能性があるので、熱中症の予防に石のクールマットは最適です。
「モカクリーム ダーク」の色合いは汚れが目立ちにくく、石材なのでダニなどの病害虫も発生しません。
デスクに
ペット用だけでなく、人が裸足の足を載せても、ヒンヤリとした感触を比較的長い時間感じる事ができますが、もう少し小さいサイズのタイルをデスクの上に置いてマウスパッドとしても利用できます。重量があるので、安定していますし、小さな粒子の柄がスムースなマウス操作に最適です。夏の暑い時には、そこに手を置いて涼感を求める事も出来ます。
「モカクリーム ダーク」のまとめ
「モカクリーム ダーク」の採石場がある地域では貴重な化石も産出しています。それらを保護するために、国立の自然保護区などが制定されています。この地域の経済を担う一旦として、古くから石灰岩の採石が行われていますが、自然保護区や自然公園が散在している事で石灰岩の採石に制約があります。経済と、かけがえのない太古の遺産を守る事の両立を叶えることは大変ですが、大事な事ではないでしょうか
参考価格(㎡単価、消費税別、運賃別)
水磨き
400角…11339円
400×600…11339円
600角…14488円
2022年11月のしらべ
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