インダスゴールド パキスタンの黄色い大理石のご紹介

インダスゴールド(Indus Gold)のしらべ

暑く乾燥した砂漠のような荒野に埋もれていたのは、豊かな森から切り出された樹木を思い起こさせる大理石でした。
古代文明を育んだインダス川の流れる地域で採石される大理石は、ぬくもりのある木材のような色をしている「インダス ゴールド」です。

「インダス ゴールド」の原産地

 

パキスタン・イスラム共和国のバルチスタン州は、国土のほぼ半分の面積を有する最大の州です。州都のクエッタから、およそ150㎞東に「インダス ゴールド」の採石地であるロラライ地区があります。
この地域はバルチスタン高原の一部で、標高の高い高原地帯の一画になっています。
州都のクエッタは四方を山に囲まれていて、「城砦」と言う意味の言葉が名前の由来となっています。
約1,600mと標高の高い場所で、冬は寒く、夏はかなり気温が高くなります。
雨季は無く、1年を通して乾燥した場所ですが、地下水を利用した灌漑設備が整っていることから農業が盛んで、「パキスタンの果樹園」と言う別名もあります。

メロンやブドウなどの果樹が栽培され、青果のままやドライフルーツに加工したものが各地に出荷されています。古来より人々が往来していた場所で、隣国のアフガニスタンやイラン、インドとの交易の拠点として重要な役割を担ってきました。
現在も交通の要所として、ヨーロッパや近隣の国々への空路を持つ国際空港や、鉄道、道路の整備も整っています。

 

「インダス ゴールド」の特徴

本磨き

「インダス ゴールド」は、木材を思わせる黄色から薄い茶色の大理石です。木材の様な木目模様はありませんが、白や黒い点が入り、黄色の地色もわずかに色が変わって、柄を作っています。

大理石は概ね石灰岩ですが、石灰岩は主に海洋生物由来の炭酸カルシウムで構成されています。その為、化石を含んでいることが多く、中でも「インダス ゴールド」は磨かれた表面に化石を見つけやすいタイプの大理石となっています。

基本的に模様と言えるような大きな柄はありませんが、地色と同色系の濃い色合いの点や、黒い粒が入ってまだら模様のようです。全体の見た目は、コルクガシの樹皮から作られるコルクボードに似た感じですが、入っている粒の色や量によって、全体の色味が濃く見えたり薄く見えたりします

「インダス ゴールド」を取り扱う時の留意点

名称について

大理石は採石場から切り出された時には大きなブロック状になっていますが、石材として使うために板状に加工します。それをスラブ材と言います。

「インダス ゴールド」はスラブ材で見た時に、色や柄の違いがほとんどありません。しかし、天然の素材なので、全てが同じような色合いとは限りません。スラブ材のレベルでは差が無くても、山全体としてはやはり違いが出てきます。黄色に見えるものや茶系のものがあり、色の濃さにもわずかですが差があります。

そのようなことから「インダス ゴールド」の様に金色と表す場合や琥珀色の「アンバー」、ラクダの色として「キャメル」を使う場合もあります。複数の名前が表記してあることもあるので、参考にしてください。また、原産地も確認するとよいでしょう。

吸水率が高めです

大理石は石材の中では水を吸いやすい部類の石です。その中でも「インダス ゴールド」は、吸水率が比較的高くなっています。キッチンや洗面台などの水回りや、床材として使われる場合には、撥水加工などの表面をコーティングした物を使われる事をお勧めします。

「インダス ゴールド」に適した製品

床や壁に

「インダス ゴールド」は、いわゆる土の色または、木材のような色をしています。日本の家屋は、古くから木と土と紙で出来ていると言われてきました。日本古来の土壁のような、温かみのある落ち着ける色合いの「インダス ゴールド」は、ぬくもりのあるホッとした室内空間を作り出せるでしょう。

また、床に使えば、板張りのなんとなく懐かしい雰囲気になり、優しい印象になるのではないでしょうか。濃い目の色の石や白い石と組み合わせてモザイク模様に出来れば、モダンなイメージを作ることもできます。

 

家具のトップに

テーブルなどのトップに使われます。メインに使われるテーブルだけでなく、サイドテーブルやカフェテーブルなども小物使いでも、大理石の高級感を引き出すことができるでしょう。

暖炉周りに設置されるマントルピースにも「インダス ゴールド」は似合います。実際に薪を使った暖房にしなくても、飾り棚として利用できます。控えめな色合いで、周りの雑貨や人物などを引き立ててくれるのではないでしょうか。

 

 

「インダス ゴールド」のまとめ

「インダス ゴールド」が採石されている場所は、年間降雨量が極端に少ない乾燥した地域で、名称にあるインダス川までは、およそ200㎞離れています。

砂漠地帯ではありませんが、ステップと呼ばれる乾燥地帯に近い土地柄です。その為に大変広い地域ですが、人口がとても少なく、経済を大きく支える産業も少ない場所です。

「インダス ゴールド」は黄色系の大理石の中でも、同じようなはっきりした色合いの石材はあまりありません。このような希少とも言える石の採石は、基幹産業の少ない地域を支える大きな役割を果たしているのかもしれません。

2022年11月のしらべ

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