ゴハレーベージュ イランで採掘されるベージュの石灰岩のご紹介

ゴハレーベージュ(Gohare Beige)のしらべ

 

 

エキゾチックな響きのある、ペルシャと呼ばれていた国で採石されている石灰岩が「ゴハレー ベージュ」です。
寒暖の差が激しく、山がちで厳しい自然条件のある地域で切り出されている「ゴハレー ベージュ」は、穏やかな優しい風合いの石です。

 

 

 

 

「ゴハレー ベージュ」の原産地

イラン・イスラム共和国の北西部にロレスターン州があります。
イラン南部に住んでいる遊牧民「ロル族」の地と言う意味の名を持つ州です。
州都のホッラマーバード近郊で「ゴハレー ベージュ」は切り出されています。
イランは基本的に乾燥した気候の国ですが、この地域にはいくつかの川が流れ、滝や渓谷を形作っています。

ホッラマーバードの名称は、瑞々しい緑あふれる地と言う意味があり、その名の通り、小さいけれど美しい湖や森林公園などがあります。
旧石器時代の遺跡もありますが、古代文明が栄えていた地域に含まれているので、太古より人々が暮らし、街が栄えていました。
栄えては衰退していった多くの王朝が残した数々の建造物が残っていて、街の中心部の小高い丘の上に建つ城砦跡は、この街のランドマークと言えます。
ササン朝と呼ばれる時代に建造され、当時の半分ほどしか残っていませんが、ほぼ当時のまま残されている部分は、古代史などの博物館として活用されています。
ここからはホッラマーバードの市街地が一望できます。

 

「ゴハレー ベージュ」の特徴

 

 

本磨き(板目)

 

本磨き(板目)

ライムストーンの「ゴハレー ベージュ」は、名前の通りベージュ系の石です。
ベージュとは一番自然な色と言われる色で、非常に薄い茶色や黄色となり、純白にわずかな色を加えているような感じです。
似ている表現として、アイボリー(象牙色)やクリーム色、生成りなどが使われます。

素材としての石灰岩の多くは生物由来の石が主ですので、化石を含んでいることがよくあります。
しかし、「ゴハレー ベージュ」には目立った化石は見かけられません。
代わりに、色にかすかな濃淡があって、日本の伝統的な紙である和紙の製法に見られる揉み和紙のような、わずかな明暗のあるにじむような感じの模様が見えるものがあります。

また、ライトグレーに見える石もあり、少し明るい雲と灰色の雲が入り混じった曇り空に似た雰囲気があります。
いずれにしても、大きな色の違いや柄の無いライムストーンなので、広範囲でも使いやすい石と言えます。
名称については、「ゴハレー ベージュ」以外に「ペルシャ ベージュ」や「ゴハラ」または、「ゴハール」と呼ばれる事があります。

「ゴハレー ベージュ」を取り扱う時の留意点

石灰岩の性質

石灰岩は半分以上が炭酸カルシウムと言う成分に占められていて、酸にとても弱い性質の物質です。
石材として使われる石灰岩が出来る過程は、太古の海に生息していた海洋生物の残した殻や骨が降り積もって固まって出来上がったものです。
マグマなどの高温にさらされていないので、結晶化などの変成もなく脆い性質もあります。これらの事から、風雨にさらされると表面が溶ける事があり、経年劣化しやすい石となります。
このような性質を知った上で使う場所を考慮し、適切なメンテナンスを行って、良い状態を保ってください。

 

 

 

 

 

お手入れ方法

広い壁や床にも使われる「ゴハレー ベージュ」ですが、身近なものにも使われています。公共の場で使用されている場合には専門の方がお手入れなどのメンテナンスを行いますが、一般家庭では日常のお手入れが必要となります。

石材は硬くて丈夫なイメージがありますが、意外と繊細な性質も持ち合わせています。
石灰岩については、水を使ったお掃除は極力避けてください。乾拭きで汚れが落ちない時には、硬く絞った布で拭き、乾いた布で水分を取ってください。
また、化学作用に弱いので、強力な洗剤やカビ取り剤、漂白剤などは絶対に使わないでください。

「ゴハレー ベージュ」に適した製品

家具や調度品のトップ

キッチンや洗面台などのトップに使われる事があります。
水回りに使われる場合には撥水加工など適切なコーティングを施すことをお勧めします。また、チェストやドレッサーのトップなどにも使われます。
優しく落ち着きのある色で、石材の持つ高級感が優雅な雰囲気を作り出してくれるでしょう。

 

オブジェやモニュメント

公共の場などに置かれている少し大きめのオブジェなども作られています。
石灰岩は柔らかい部類の石材なので、加工が容易になっています。

美術作品の素材としてもよく使われています。
「ゴハレー ベージュ」には大きな柄や模様も少ないので、作品自体の良さを大きく引き出してくれるのではないでしょうか。

 

「ゴハレー ベージュ」のまとめ

ライムとは石灰の事で、電球が発明される以前に使われていたライムライトはカルシウムライトとも呼ばれ、日本では石灰灯と言われていました。
高熱の炎を当てて白熱させた石灰が発した光を利用した照明器具で、舞台などにも使われていました。
温か味のある「ゴハレー ベージュ」は、ライムライトの現在の照明とは違う、あまり明るくはないけれど温もりのある明かりと通ずる所があるようです。

石材には高級感はありますが、冷たいイメージを持たれる事もあります。
しかし、「ゴハレー ベージュ」は高級感と共に自然の持つ優しさも醸し出してくれる石材と言えるのではないでしょうか。

2022年11月のしらべ

 

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