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ジアロベネチアーノ(Giallo Veneziano)のしらべ
南米のブラジルは、地球儀で見るとよくわかるように日本の反対に位置する遠い国です。そこには様々な種類の黄色系御影石を産出する山々があり、その中の一つが「ジアロ・ベネチアーノ」です。広い大洋を二つも越えて、遥々やってくる御影石の「ジアロ・ベネチアーノ」をご紹介します。
「ジアロ・ベネチアーノ」の原産地
ブラジル連邦共和国のエスピリトサント州は大西洋に面した南東部に位置する小さな自治州です。州の北部にあるノヴァ・ヴェネチアと言う街の近くに、御影石の「ジアロ・ベネチアーノ」の採石場があるがあります。ポルトガルからの移民が多いブラジルですが、この地域は街の名前からも分かるようにイタリアからの移住者が多い所です。街の名前の「ノヴァ」とはラテン語で「新しい」とか「新星」などの意味があります。この街は州内でも比較的長い川を挟んで作られています。このような地理的条件の街なので、水の都の名前が付けられているのかもしれません。また、ブラジルには正式な街の名前の他にニックネームのような別名が付けられている所がいくつもあって、ノヴァ・ヴェネチアは「花崗岩の都」と言うような意味合いのニックネームがあります。この地域は花崗岩質の山岳地帯で、主な産業が花崗岩を始めとする鉱物の採掘によるものから、この別名が付けられたようです。標高はあまり高くはありませんが、平地の少ない場所です。
「ジアロ・ベネチアーノ」の特徴
御影石の「ジアロ・ベネチアーノ」は、黄色系の落ち着いた色合いの石です。大きめの石英や長石に混じって、赤または黒い結晶も入っています。御影石は花崗岩であることが多いのですが、「ジアロ・ベネチアーノ」は学問上では片麻岩(へんまがん)と言う岩石です。構成鉱物はどちらもほぼ同じですが、岩石として出来上がる過程が違います。また、結晶が大き目であることから、ペグマタイト質であるとも言われます。大きな結晶が見られる御影石を「巨晶御影(きょしょうみかげ)」や「鬼御影」とも呼びますが、これをペグマタイトと言います。このような特徴があるので、御影石の中でも大き目の柄が見られる石となっています。全体に色のムラはありませんが、やはり天然の御影石ですので、多少の色の違いは否めません。結晶が大き目なので、見栄えはしますが、強度が若干落ちます。また、吸水率も少し高めになります。堀進められて行くと、御影石を構成している成分も多少変わってくるので、近年の石切り場では、色調が少し変わってきているようです。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「ジアロ・ベネチアーノ」を取り扱う時の留意点
弱点をカバーしてから使用します。
「ジアロ・ベネチアーノ」は石目が大きいので、見た感じはゴージャスですが弱い部分があります。また、吸水性も心持ち高くなります。キッチンカウンターの天板など、水を使う場所に使用する場合は、撥水処理などのコーティングを施した製品を使うことをお勧めします。また、屋外に使う時も同様の表面処理をした方が、良いでしょう。コーティング加工をしないまま使うと、表面剥離やくすみ、ヒビ割れなどを起こしやすくなる可能性があります。
名称や色の違いなど
「ジアロ・ベネチアーノ」を採石している地域では、数種類の黄色から茶系の御影石が複数の採石場で切り出されています。見た目がとてもよく似た石もありますが、「ジアロ・ベネチアーノ」でも切り出された深さによっては、色の雰囲気や濃さが変わる事もあります。また、名称についてもイタリア語で黄色を表す「ジアロ」や「ジャッロ」、金色を表す「オロ」などが使用されています。複数の名称が明記されている事もあるので、産地などと一緒にこのような事柄を確認したうえで購入する事をお勧めします。
「ジアロ・ベネチアーノ」に適した製品
豪華でも落ち着きのある色と柄を使いこなせる場所に
門柱や外壁
大きい模様は見た目が花々しいのですが、色合いがシックなので重みのあるイメージを持たせることもできます。落ち着いた高級感を醸し出す「ジアロ・ベネチアーノ」は、建物の外観のランクを上げるのにとても役に立つ御影石と言えるでしょう。個人宅では、表札や郵便受けなどを設置した、コンパクトな壁のような「門袖(もんそで)」が玄関前に作られます。「ジアロ・ベネチアーノ」の温かみのある色合いは、その家の顏とも言える「門袖」にもピッタリの素材ではないでしょうか。
天板
キッチンやショップのカウンタートップに使われます。鏡面加工を施した「ジアロ・ベネチアーノ」は、落ち着きのある色合いでありながら、御影石の中でも種類の少ない大き目の柄が作り出す華やかなイメージがあります。テーブルやカウンターの天板として使われれば、その場の空間のグレードが一段と上げる事ができます。人が集まる場所の雰囲気をよりよいものにできるのではないでしょうか。
「ジアロ・ベネチアーノ」のまとめ
ペグマタイトとは大きな結晶が入った岩石で、花崗岩に見られることが多いと言われています。「ジアロ・ベネチアーノ」は厳密に言うと片麻岩ですが、主な構成鉱物が同じもので成り立っています。また、ペグマタイト質の岩石には準貴石と呼ばれるような、パワーストーンにも数えられる美しい鉱石が含まれることもあります。様々な色と光沢のある石が含まれた「ジアロ・ベネチアーノ」からも、このような煌めきが見られる事でしょう。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き
300角…21573円
400角…21573円
300×600…21592円
2022年11月のしらべ
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