フィレットロッソ イタリアのピンクのラインが流れるベージュ系大理石のご紹介

フィレットロッソ(Filetto Rosso)のしらべ

 

大理石を英語で表すとマーブルと言います。この単語の語源は、古代ギリシア語で輝く石と言う意味を持つ言葉です。
古来より神殿や宮殿を飾る為に使われた石材で、高貴で厳かなイメージを持たせる役割を担ってきました。
その為に大理石には高級でクールな印象があります。しかし、中にはそれとは違う感じのする大理石があります。「フィレット ロッソ」はかわいいイメージのある大理石です。

 

 

 

 

 

「フィレット ロッソ」の原産地

 

イタリア半島は長靴のような形をしていると言われます。その長靴のかかと部分に位置する地域で「フィレット ロッソ」が切り出されています。
イタリア共和国の南東部にある、プーリア州フォッジ県のアプリチェーナと言う小さな町の北側に採石場があります。
アドリア海に面したこの町は、ローマ帝国の皇帝であったフリードリヒ2世が夏を過ごした、いわゆる別荘地として発展してきました。
平地の多い場所で、オリーブやワインを醸造するために栽培されるブドウの畑が広がる静かな所です。
町の経済は主に、農業と大理石の採石で賄われています。大理石はヨーロッパや中国、日本などのアジア地域にも輸出されています。
石灰岩の多いこの地域にはカルスト地形が広がり、ガルガーノ国立公園の一部になっています。
日本の秋吉台にも多く存在する、ドリーネと呼ばれる石灰岩が雨などによって溶けだしてできる陥没穴がたくさんあり、直径500mにもなるヨーロッパ最大のドリーネがあります。

 

「フィレット ロッソ」の特徴

本磨き

「フィレット ロッソ」は一言で言って、かわいくて愛らしいイメージのある大理石です。ロッソとはイタリアの言葉で赤を示しますが、「フィレット ロッソ」はピンク若しくはベージュ系の色をしています。
地色の中に、濃いピンクや茶色の糸のように細いギザギザの線が入っています。
フィレットとはより糸のことで、2本以上の糸をねじりながら合わせて太い糸にしたものの事です。名前の通り、スジの色が濃く、稲妻が走る様な、または糸をねじっていくような模様になっています。
天然の石なので、スジの入り方や色は千差万別です。
平行になって層を成すように見えるものや、ランダムに入り混じるように細かい線が入っているものがあります。
色もはっきりとした濃い色になっているもの、とても薄く地色とあまり区別がつかないものなどがあります。
地色も基本はピンクやベージュですが、白に近い薄い色の石もあります。地色と柄を作り出す線の色、模様になる線の太さや量で様々に表情を変える大理石となっています。

 

「フィレット ロッソ」を取り扱う時の留意点

 

見た目の違い

「フィレット ロッソ」は天然の大理石です。自然が創り出した石なので、同じ山から切り出されても色合いや模様が違ってくることが多くあります。
綺麗なピンクの石が切り出された数メートル先では、少しくすんだ色になっていることもあります。
また、模様を作り出している線の色や太さ、量も違ってきます。床や壁など広い面に使用する場合には、その事を考慮してください。色柄が全く同じものは存在しません。

 

水気を嫌います

キッチンや洗面台のトップにも使われる素材です。高級感と華やかさのある「フィレット ロッソ」ですが、水分によって汚れが出てしまう事があります。
表面をコーティングする、撥水処理のされた石材を利用されることをお勧めします。
また、お掃除の時も水拭きは極力避け、乾いた柔らかい布で拭き掃除してください。

 

「フィレット ロッソ」に適した製品

 

キッチンやテーブルのトップ

大理石のキッチンは憧れのアイテムと言えるでしょう。重みと高級感があり、「フィレット ロッソ」の華やかな色合いは、石材のクールなイメージと違って優しい雰囲気があります。
また、カフェテーブルなどにも使われます。柔らかな印象の「フィレット ロッソ」は、ゆったりとしたお茶の時間を演出してくれるのではないでしょうか。

 

インテリア雑貨

大理石は石材の中でも柔らかい部類になります。加工が比較的容易な為、芸術家が制作する作品も大理石が素材となる事がよくあります。
最近では、高級感を求めるために大理石模様の小物が作られていますが、本物の大理石で作られた雑貨には違いがあります。
ペンスタンドやトレーなどのステーショナリーや、ティッシュケースやスマートホンのスタンドなどが作られていますが、重さがあるので安定感があります。見た目も「フィレット ロッソ」の色合いは優しいイメージがあり、デスク周りやお部屋を明るくしてくれるでしょう。

「フィレット ロッソ」のまとめ

 

大理石は海洋生物が由来の石灰岩ですので、基本的には白い石です。
しかし、自然の気まぐれか、偶然が重なって様々な色が出現する事があります。
色を引き出しているのは多様な鉱物です。「フィレット ロッソ」のピンクやベージュも、鉄やアルミニウムなどの鉱物が石灰岩の中に混じった為に出現した色です。
自然が長い時間をかけて作り上げた色は人工的にはなかなか再現できません。
「フィレット ロッソ」の色と模様は、天然の大理石だからこそ見る事の出来る美しさと言えるのではないでしょうか。

2022年11月のしらべ

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