チダホワイト インド南部の白御影石のご紹介

チダホワイト(Chida White)のしらべ

名前が示す通り涼し気でキュートな雰囲気の御影石があります。「チダ・ホワイト」の「チダ」は、スペイン語で「涼しい」と言う意味合いを持っています。白い流砂の中に赤い小さな結晶が散らばるちょっとお洒落な御影石です。

 

「チダ・ホワイト」の原産地

インド共和国の南東部にあるアーンドラプラデーシュ州の北部に、ビシャカパトナム地区と言う地域があります。「チダ・ホワイト」の採石場は、この地域に複数の採石場があります。地区の中心は地区名と同じ名前の都市で、ベンガル湾に面する州内では最大の都市となっています。国内でも有数の工業地帯で、造船業や鉄鋼業、医薬品の製造などの重化学工業がこの地域の重要な産業となっています。特に、国内でも最大級のバイラディラ鉱山からの鉄鉱石による鉄鋼業は世界にも誇れる規模となっています。また、鉄鉱石は原料として、そのままビシャカパトナムの港から世界中に輸出され、日本もこの地の鉄鉱石が大量に輸入されています。観光地としても人々を魅了する街です。複数の美しいビーチがあり、熱帯気候であるこの地域の涼を提供しています。他にも、ヒンズー教の神々が祀られている「ボラ洞窟」と言う鍾乳洞があります。歴史も古く、仏教の古代寺院などがたくさん残されていて、宗教上の聖地としてだけでなく美術的価値もある建造物があります。

「チダ・ホワイト」の特徴

本磨き

白地に赤や赤紫の点をちりばめたような、エレガントな見た目の御影石が「チダ・ホワイト」です。スラブ材と言われる大きな石材では、大理石の様な薄いグレーの流れ模様が大きく入っているのが見られます。「ホワイト」の名が付いている通り白御影石として紹介される事がほとんどです。しかし、多くの白御影石には無彩色の黒やグレーの粒子が入っていますが、数種類の色が入っていることから白御影石としてだけでなく、マルチカラーと分類されることもあります。このことから、少し変わった御影石と言われることがあります。また、結晶が点々と入る様子が大型のネコ科動物の体表に似ていることから、名称に「チーター」や「ヒョウ」が付けられている場合もあります。赤や赤紫、赤褐色の結晶は柘榴石で、透明度が高く赤色が美しい大きな結晶の物がガーネットとなります。御影石は構成物質に様々な鉱物が含まれるので、単体であれば宝石になるような石が入っていることもあります。とても緻密な御影石で、吸水率も非常に低く良質な石材と言えます。

「チダ・ホワイト」を取り扱う時の留意点

御影石は様々な作用に強いですが、弱点もあります。

御影石は酸やアルカリなどの化学作用や耐水、耐熱にも強い性質を持っています。また、季節変化にも強く、昔の道祖神や道しるべなどを見てもわかるように、御影石が劣化をはじめるのは数百年の時間がかかります。このように強い素材ですが、炎だけには弱い点が挙げられます。この弱点は、御影石を構成している物質の熱に対する膨張率の差を利用した表面加工に利用されています。しかし、このような場合を除いては炎が当たると割れてしまう事がありますので、使用場所には注意が必要となってきます。

模様について

「チダ・ホワイト」の地色は白なので色に違いが出る事はあまりありません。しかし、流れ模様が見られる石もあり、赤系の結晶もたくさん入っている事から、見た目の雰囲気が変わる事があります。特に、流れ模様の見られる石材の場合には向きにも気を付ける必要が出てきます。大量に使用する場合には、一旦、仮置きする事をお勧めします。

表面の仕上げについて

基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。

本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。

この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。

 

「チダ・ホワイト」に適した製品

空間をお洒落に

天板

キッチンやカウンターのトップに使われます。白地のさわやかな感じと、赤いドット模様がエレガントなイメージを出して室内の雰囲気を華やかに演出してくれます。鏡面加工したツヤのある表面に照明の光が反射して煌めく様は、人工的に作り出せるものではありません。天然石だからこその美しさではないでしょうか。

内装材

壁や床に使用されます。御影石は化学作用や水分にも比較的強いので、バスルームにも使われます。床に使う石材は水濡れで滑らないように、ツヤをおさえて表面を少しザラつかせたものを使用します。壁には「チダ・ホワイト」の特徴的な柄を生かせる鏡面加工の物も使えます。清潔感のある白と赤い結晶の柄で、バスルームをゴージャスにすることが出来、リラックスタイムを一段とアップさせる事ができるでしょう。

「チダ・ホワイト」のまとめ

御影石の「チダ・ホワイト」に含まれている柘榴石は宝石にもなる鉱物です。また、研磨剤としても不純物の少ない優秀な鉱石となっています。特に、インドから産出するガーネットは綺麗な赤紫色をしているので、「ロードライトガーネット」と呼ばれ珍重されています。このような宝石となる石を内包している事を知れば、石材と言っても「チダ・ホワイト」の価値観が上がるのではないでしょうか。

2022年11月のしらべ

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