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ベルファースト(Belfast)のしらべ
荒々しくも生き生きとした自然が数多く残る大地から、漆黒に近い御影石が採掘されています。
始まりの大地、アフリカで採掘される御影石のベルファーストをご紹介します。
「ベルファースト」の原産地
南アフリカ共和国の東部にある、ムプマランガ州ベルファースト地区のエマカゼニと言う町に御影石の「ベルファースト」採石場があります。ベルファーストは北アイルランドの首都名ですが、ここに町が出来たきっかけとなった農場を所有していた人物が北アイルランドの出身であったことから名付けられたようです。亜熱帯の気候にあたる地域ですが、標高が2,000m以上ある場所なので夏季でもあまり高温にならず、冬季には氷点下を観測することもあります。このような条件のあるところなので、国内で最も海抜が高く、寒い地域の一つと言われています。夏季にはかなりの降雨もあり、農業に適しているので、トウモロコシやジャガイモなどの作物が盛んに栽培されています。また、チューリップの球根などはこの町の経済を支える作物の一つです。他には、黒御影石や石炭などの地下資源の採掘も重要な産業となっています。州名のムプマランガは、現地の言葉で「太陽が昇る場所」と言う意味があり、様々な自然の驚異を見ることのできる所がたくさんあります。
「ベルファースト」の特徴
基本的に御影石は花崗岩ですが、黒御影石のほとんどは斑レイ岩で、「ベルファースト」も学問上は斑レイ岩となります。その中でも「ベルファースト」は特に黒い石で、ヨーロッパでは「ネロ・アソルト」と呼ばれています。イタリア語で「絶対の黒(ネロ・アソルト)」と言われるほど漆黒に近い色をしています。石目は中くらいで、白く見えるような粒子はほとんどありませんが、黒の中に金色に見える細かい粒が入っているものもあります。これは斑レイ岩の特徴で、ガラス光沢のある輝石の一種が含まれているので、光によく反射するためです。ゴールドスポットと言われ、特に格調の高いイメージがあります。経年劣化が少なく、吸水性も低いという品質の良いものが産出されています。黒系の御影石の中でも日常的に使われて、人気のある種類の御影石です。しかし、一番良い品質の「ベルファースト」を産出していた山が閉山となったことで産出量は減っています。従って、特に大きいサイズの「ベルファースト」は入手が多少困難になっているようです。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凹凸があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色味が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「ベルファースト」を取り扱う時の留意点
火に弱いと言う弱点があります
岩石のイメージとは違うようですが、御影石は耐火性が低い特徴があります。バーナーの炎でも割れたり、ヒビが入ったりします。これは、御影石を構成している鉱物の種類が多くあることに要因があります。このような特性を利用して、表面をザラついた加工にする方法もありますが、火を使う場所や、非常に高温になる所に使用するのは避けた方がよいでしょう。
キズがつくと目立ちます
鏡面仕上げの製品にキズが付くと、「ベルファースト」のような濃い色の石は非常に目立ちます。特に、土足で使う床面などに使用した場合は顕著に表れます。また、細かなキズがたくさん付くと、曇ったような感じになって白っぽく見えるようになることもあります。「ベルファースト」は、それほどキズが付きやすいわけではありませんが、メンテナンスを怠らないようにしてください。
「ベルファースト」に適した製品
オブジェ
御影石の「ベルファースト」は、屋外でも十分風雨に耐えるので、モニュメントや銅像の台座に使われている例がたくさんあります。比較的硬い種類の石なので、加工は少し大変です。しかし、磨くととても綺麗で、陽光に反射してキラキラ光ることもあるので、芸術的な作品や作品を引き立てる台座などには最適な素材ではないでしょうか。
床材
玄関の内側やビルの屋内の床に使われます。「ベルファースト」のみを使うのではなく、色の薄い石と組み合わせて、スタイリッシュな床が作られます。または「ベルファースト」だけを使い、表面仕上げの種類を変えて組み合わせる方法も利用されています。漆黒に近い「ベルファースト」ですが、少しザラついた表面にすると色が薄くなるので、組み合わせることによってデザイン性が上がります。また、水濡れするような場所であれば、足元の安全の為にも鏡面加工のみではない方がよいでしょう。
キッチンの天板
黒御影を使うことで上品で高級なキッチンになりますが、注意する点がいくつかあります。
第一に水を使う場所であるということ。次に大理石ほどではありませんが酸に弱いので、柑橘系の果物でさえシミの原因になります。このことから撥水剤を塗布しなければなりませんし、毎日のお手入れもかかせません。ですが、こうした大変さを補ってあまりあるほどの素敵なキッチンになります。
「ベルファースト」のまとめ
色の濃い御影石は粋な面と、重厚なイメージがあります。黒い色は格式も高いとされることもあるので、「「ベルファースト」はとても人気のある種類の御影石となっています。古来より、日本の家屋は基本的に木造ですが、そこかしこに石材も使われています。御影石は基礎部分にも使われていますが、「ベルファースト」の漆黒は格調高い石材として、見える場所に使うことによって、家屋の品格を上げることのできる素材と言えるでしょう。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…23147円
400角…23150円
300×600…23168円
2022年11月のしらべ
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