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アフリカンレッド(African Red)のしらべ
アフリカのイメージにぴったりくるような御影石があります。エネルギッシュな野生動物達や、生命の始まりを表すような色の赤い御影石の「アフリカン・レッド」をご紹介します。
「アフリカン・レッド」の原産地
御影石の「アフリカン・レッド」を切り出している場所は、ボツワナやジンバブエ、モザンビークと国境を接するリンポポ州のモコパネと言う町の近郊にあります。南アフリカ共和国の北部にあたるこの地域には、歴史や悠久の時間を感じることができる場所があります。400万年以上前の旧人類が残した洞窟遺跡がたくさん発見され、最初のホモサピエンスと呼ばれる人類の化石も見つかっています。およそ千年前に栄えた王国の「マプングブェ」は、短い期間で衰退してしまったので謎の多い王国で、現在の中東地域やアジアの国々との間で、象牙や金の交易を行っていたようです。遺跡や黄金製の遺物があり、世界遺産にも登録されています。また、独特の形状をした樹木のバオバブが多く生えていて、中でも世界で一番大きく、地球上で最高齢とも言われる、樹齢約六千年の木があります。バオバブは繊維を布等に加工したり、実を薬や食糧したりするなど、聖なる木として昔からこの土地の人々に珍重されてきました。
「アフリカン・レッド」の特徴
「アフリカン・レッド」は、クリアな感じの濃い赤い色をした御影石です。御影石は学術的には大部分が花崗岩です。花崗岩の構成物質の組み合わせや、それぞれの量などで色合いや柄の大小が違ってきます。「アフリカン・レッド」の赤い色は、構成鉱物の大半である長石にカリウムがたくさん含まれている事が要因となっています。カリウムがアルカリ性の物質である事から、「アフリカン・レッド」はアルカリ花崗岩とも呼ばれています。カリウムもアルカリも語源が同じく、「灰」を表す単語から名称が付けられています。その他、半透明の石英や光を反射する雲母が主な成分です。鏡面加工の場合は色がはっきりと表れ、赤い色の周りに透明な部分があり、黒に近いグレーの中から赤い色が浮かび上がってくるように見えます。また、バーナー加工のようなツヤ消しの場合は、赤とグレーの混ざったような色に見えます。通常は粒子の大きさが数ミリメートルくらいで、柄の大きさは小から中くらいとなっています。
「アフリカン・レッド」を取り扱う時の留意点
美しさを長持ちさせるために注意することがあります。
御影石は天然石の中でも風化や劣化、また化学作用にも強い石材なのでお手入れも比較的簡単にできますが、御影石の特性を知った上で適正なお手入れをしてください。日頃は簡単な拭き掃除や床でしたら掃き掃除で十分です。汚れがひどい時は洗剤を使用することもできますが、この時は中性洗剤を使い洗剤成分はしっかり拭き取ってください。洗剤が残っていると、シミやくもりの原因になってしまいます。せっかく掃除しても台無しになってしまいますので、このような性質がある事を忘れにようにしてください。
色の濃さについて
「アフリカン・レッド」は基本的に濃い赤い色をした御影石です。しかし、天然の石材であることから、色の濃さに違いが出てくるのは仕方のない事と言えます。構成鉱物の量や入り方によっては、くすんで見えるようなものや、鮮やかな色に見える場合があります。特に、表面をツヤのある鏡面加工を施された場合には違いが顕著に表れてきます。このような違いがある事を考慮して利用してください。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます
「アフリカン・レッド」に適した製品
目をひく色の御影石は存在感があります。
オブジェなど石造品
屋外に設置してあるモニュメントや記念碑、芸術作品としての彫刻品等が作られています。御影石は緻密で硬い石材ですが、ある程度機械で切り出した後は人の手によって細かな細工も施せます。記念碑などは文字を彫り込むことも多いですが、職人の手によって様々な書体の文字が刻まれています。「アフリカン・レッド」の赤い色をした石造品は、印象深いものになる事でしょう。
天板
テーブルや飾り棚などの棚板に、また、ショップのカウンタートップに使用されます。濃い色なので、お部屋が暗くなるような感じがしますが、鏡面に磨かれた表面に照明の光が反射して華やかなイメージを持たせることができます。「アフリカン・レッド」の調度品は天然石の高級感と、濃い赤色で粋な空間を作り出す役割を果たせるのではないでしょうか。
「アフリカン・レッド」のまとめ
花崗岩は地球上のどこでも見られるありふれた岩石ですが、石が出来上がる時代には大きな差があります。「アフリカン・レッド」が出来上がったのは、地球上に初めて生命が発生した頃の、今からおよそ5億4000万年前より古い時代と言われています。先カンブリア紀と呼ばれる時代に、この御影石が出来上がる要因があった事を考えると、自然の大きさを感じる事ができるのではないでしょうか。
2022年12月のしらべ
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