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ブレッチアパラディソ(Breccia Paradiso)のしらべ
渋みのある濃い茶色の大理石が、地中海をティレニア海とアドリア海に分けている半島から切り出されています。「天国の石」と訳せる名前を持っている、味のある大理石の「ブレッチア・パラディソ」をご紹介します。
「ブレッチア・パラディソ」の原産地
イタリア共和国の中西部にあるラツィオ州フロジノーネ県が、大理石の「ブレッチア・パラディソ」の故郷です。首都ローマを擁するローマ県の南東に隣り合う自治体です。イタリアも日本と同じように火山の多い国で、火山が多いと良い温泉が湧き出る所がたくさんあります。この地域にもフィウッジと言う温泉地があり、利尿効果のある温泉として有名です。体の中の毒素を出すのに効果があるとうたわれています。
紀元前の古くから古代ローマ人に親しまれてきた温泉地です。また、イタリア半島を縦に走るアペニン山脈の中央部にあたり、古くから自然保護の対象地域になっている所もあります。国内で最初に国立公園として認定された地域もあって、多様な動植物が生息しています。食物連鎖の頂点に位置する、クマやオオカミなどの大型の動物や数種類の猛禽類が棲んでいる事は豊かな自然が保たれている証拠となります。もう一つの証として、希少種の昆虫やランの仲間などもこの地域で生息しています。
またトスカーナ州ルッカ県でもブレッチアパラディソが産出されています。この地方は温暖で、古い歴史と美しい自然に恵まれた地域です。有名なピサの斜塔に代表される世界遺産も多数残されています。1年を通して世界中から観光客が、絶え間なく訪れる所以でしょう。また、プロサッカーのチームもいくつかあり、スポーツも活発に行われています。もともと農業の盛んな地域で、地中海沿岸で栽培されるオリーブは有名です。
特徴
「ブレッチア・パラディソ」の「ブレッチア」は角礫岩の事を指し、堆積岩の一種です。礫岩と言うのは石を積み重ねて、隙間を埋めたような見た目をしています。角礫岩はいくつかの形成過程と構成する物質の違いがあります。
「ブレッチア・パラディソ」は、石灰岩が崩れて割れたものが、水などに含まれていた石灰質の物質が隙間を埋めて出来上がった岩石です。明るい茶色からこげ茶色の地色に、薄い白っぽい色のスジが入っています。スジ模様は細い糸の様なものから、帯状の太いものまで様々で、網目のように入っている所もあります。その中に玉(ぎょく)と呼ばれる色の少し違う部分があります。普通この玉は曲線を帯びた丸い感じのものですが、「ブレッチア・パラディソ」の場合は角張ったものが入っています。角礫岩だからこそ、このような見た目になるのでしょう。玉は、地色を少し濃くしたような色になっていて、大きさは大小様々です。それは、アイスティーに浮かんだ氷のような雰囲気があります。
「ブレッチア・パラディソ」を取り扱う時の留意点
大理石は繊細な素材です。
天然の石は岩石の厳ついイメージと違って、デリケートな所もあります。性質を知っていれば防げるトラブルもあります。大理石特有のトラブルの一つに「白樺現象(エフロ現象)」という、表面が粉を吹いたようにツヤが落ちてしまう現象が起きることがあります。原因の一つに吸水が挙げられます。大理石は吸水率の高いものが多く、ほとんどのトラブルは吸水によるものが多く発生しています。症状があまりひどくなければ元の美しさを取り戻せますが、専門家にまかせた方が手間はかかりますが良い結果を得られます。
色味の違い
「ブレッチア・パラディソ」は茶系の大理石ですが、色の濃さだけでなく、色合いの違いもあります。地色が黒っぽいこげ茶色や赤味の差した赤茶色、黄色味を帯びた黄土色に近い色まで広範囲にわたります。玉の部分の色も、地色に準じた感じになる場合が多いので、全体の雰囲気が変わってきます。全ての「ブレッチア・パラディソ」が、全く同じ色合いではない事を念頭に入れておいてください。
「ブレッチア・パラディソ」に適した製品
天板
キッチンやテーブルの天板に使われています。自然界に見られる色をアースカラーと呼ぶことがありますが、大理石の「ブレッチア・パラディソ」は、正に自然の産物で大地の色を思い浮かべる雰囲気を持っています。このような「ブレッチア・パラディソ」の色合は、周りにある食器や調度品がどんな色をしていても調和がとれるでしょう。温かみがあり、大理石の美しいツヤのある表面は高級感もあるので、ダイニングにはぴったりではないでしょうか。
壁面
内壁の装飾に使われます。「ブレッチア・パラディソ」は大理石の洗練された表面と、アースカラーの落ち着いた色合いで穏やかな空間を演出するのにぴったりです。大きな玉が入っている場合では、大胆な使い方でゴージャスなイメージも作る事ができます。また、白い大理石と組み合わせてモザイクや模様が描き出されている所もあり、シックでおしゃれな雰囲気を作り出すことができるでしょう。
「ブレッチア・パラディソ」のまとめ
気の遠くなるような時間をかけて作り出された大理石の「ブレッチア・パラディソ」は、生み出した大地の色を映しています。茶色は地味なイメージがありますが、落ち着いた暖かさをもっています。「パラディソ」とは天国を意味する単語で、安心感を持たせてくれる風合いがこの名前が付けられた理由かもしれません。「ブレッチア・パラディソ」は、どこにでも似合う色合いと模様で、どんなシーンにでも使えるよい素材となるのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
300角…18423円
400角…19213円
2022年11月のしらべ
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