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ロックビルホワイト(Rockville White)のしらべ
日本に昔からある紋様に「千鳥格子」と呼ばれるものがあります。千の鶴が飛ぶ様を表していることから千鳥と呼ばれる、白と黒のモダンな紋様です。その千鳥格子を思い浮かべるような御影石が北米大陸から切り出されています。ロックビルホワイトという名の御影石をご紹介します。
「ロックビル・ホワイト」の原産地
アメリカ合衆国ミネソタ州のほぼ中央部に位置する、ロックビルと言う町に御影石の「ロックビル・ホワイト」の採石場があります。この町は花崗岩を採石するために作られた町で、20世紀の初めにスコットランドから移民してきた人々によって開拓されました。名前の由来は、町のそばを流れるソーク川にある花崗岩の岩盤にあります。採石場を開拓した人の当時の家屋と最初の採石場は、日本の文化財のように、歴史的に価値があり、後世に残すに値する重要な場所として「国家歴史登録財」に登録されています。自然も豊かな所で、ロックビル・カウンティパークと言う公園に併設された自然保護区もあります。公園には、近隣の人々が自然の中で休暇を楽しむための様々な設備が整えられています。また、自然保護区の中には、アメリカを象徴する白頭ワシの営巣が複数存在しています。このような大型の猛禽が生息していることは、豊かな生態系があることの証となっています。植物相に関しても、動物や昆虫が繁殖できるように無駄な開発が控えられています。
「ロックビル・ホワイト」の特徴
「ロックビル・ホワイト」はホワイトの名前が付いていますが、白と言うより、かなりはっきりした白黒のモノトーンの御影石です。一般に和柄と呼ばれる「市松模様」や、「千鳥格子」を思い起こさせるような見た目の石です。濃いグレーの地に大きな白い塊が浮き出るような柄になっています。黒に近いグレーは石英で、白い長石と半々くらいの割合で入っています。それぞれの周りに黒い粒子がドット模様を作り出し、ポイントとして引き締めるように見えます。「ロックビル・ホワイト」が採石されている場所では、元々ピンク系の御影石が産出していたので、白い塊がわずかに着色していることもあります。大きな石目の場合、柄が不均一になることが多いのですが、「ロックビル・ホワイト」は総体的に均一の柄となっています。白や薄い色の結晶が大きく入っているので、ツヤがあるものやツヤ消しなど、表面加工の違いでも見た目はあまり変わりません。大きな柄の御影石なので、そのままでもデザイン性の高い製品を作ることができます。
「ロックビル・ホワイト」を取り扱う時の留意点
日々のお手入れと、困った時の専門家
御影石は毎日の簡単なお手入れで美しさを保つことができます。一般的な酸やアルカリ等の化学作用に強く、雨や凍結などの季節変化にも耐えることができる素材です。しかし、こまめにお掃除をしていても長く使用しているとシミやサビが浮き出たり、表面剥離を起こしたりすることがあります。最近ではホームセンターやインターネットで石材用のお手入れ用薬剤などが売られていますが、使用方法を間違えると御影石の状態が更にひどくなることがあります。劣化した御影石のメンテナンスは、できれば石材の専門家にまかせるのが問題を解決するのに良いようです。
お手入れについては、通常は掃き掃除や水拭きでも十分です。キッチンカウンターなどでは油汚れ等も発生しますが、中性の洗剤で汚れを取り除いてください。御影石は化学作用にも耐性がありますが、強い洗剤や薬剤は使用しないでください。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「ロックビル・ホワイト」に適した製品
古くて新しい雰囲気を持つ御影石です。
天板
キッチンやショップのカウンタートップに使用されます。モノトーンの色合いなので、他の調度品やインテリアと競合することは無く、むしろ引き立ててくれるのではないでしょうか。反対に、無彩色ではありますが、意外と存在感があるのが「ロックビル・ホワイト」です。「ロックビル・ホワイト」をカフェテーブルやチェストのトップに使えば、印象深い調度品になる事でしょう。御影石の「ロックビル・ホワイト」は、ハイカラと言う表現がぴったりくるようなお部屋作りに一役買える素材です。
建築物の内外に
壁や柱などの垂直面と、床や階段などの水平面のどちらにも使われます。「ロックビル・ホワイト」は大きい柄の御影石なので、派手なイメージもありますが、無彩色を生かして照明の色で様々な表情を作り出すこともできるでしょう。「ロックビル・ホワイト」はモダンな空間を作り出すことのできる良い石材と言えるでしょう。
「ロックビル・ホワイト」のまとめ
素材に元々の柄がある場合は、あまり手を入れずにそのままの状態をうまく生かせる方法も考えられています。御影石の「ロックビル・ホワイト」は特徴的な大きい柄を持っていますが、色が無いと言える無彩色モノトーンの石です。「ロックビル・ホワイト」は後世に残す価値のある採石場から産出しています。これからもその個性を十分に引き出すことのできる、新しい製品や使用方法が生み出される可能性がある石材と言えるのではないでしょうか。
2022年11月のしらべ
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