グリスペルラ スペインで採掘される白御影石のご紹介

 

スペイン産グリスペルラ(Gris Perla)のしらべ

花崗岩に含まれる雲母の煌めきと長石の白さの中に真珠の輝きを見た人が、「グリス・ペルラ」と言う名前を付けたのでしょうか。「ペルラ」は真珠の意味を持つ単語です。情熱の国スペインで採石される、水の宝の美しさを持つ御影石の「グリス・ペルラ」をご紹介します。

 

「グリス・ペルラ」の原産地

スペイン王国の北西部にあるガリシア州ポンテベドラ県の小さな町、メイスに「グリス・ペルラ」の採石場があります。県都ポンテベドラの近郊にある町で、大西洋に面した穏やかな気候の地域です。この地域には、入江の多い複雑な海岸線があり、今日では世界中で定着している「リアス式海岸」の大元となっています。日本の東北地方の太平洋岸でも見られる「リアス式海岸」の語源が、ガリシア語で「リア」は入江を、「リアス」はその複数形を意味している為です。19世紀にこの地域を研究、探検したドイツ人の地理学者が、著書でこのような地形を「リアス式海岸(または、リアス海岸)」と記しています。県都のポンテベドラは、自然の良い港があった事から古くから交易の拠点として栄えてきました。中世ヨーロッパで広まった商人の組合のような組織であるギルドが、この街を栄えさせたと言われています。また、良い港は漁業が盛んに行われる要因ともなり、現在も活発な漁業が地域の経済と共に台所も潤しています。

 

 

「グリス・ペルラ」の特徴

 

 

本磨き

 

ジェットバーナー仕上げ

「グリス・ペルラ」の「グリス(gris)」はスペイン語で灰色を表しますが、基本的には白御影石と紹介されています。この石は、花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)に分類される石です。特徴としては、斜長石が多く含まれている事で、基本的には白い色をした鉱物で着色はほとんどありません。少し大きめの白い斜長石のまわりに、黒雲母の粒子が取り囲むような柄をしています。透明感のある灰色をした石英も白い斜長石と同じくらい大きく入っています。表面を磨いたツヤのある加工の場合には、特徴的な柄がはっきりと表れ、均一ではない面白い表面を見る事ができます。全体に大きめの模様で色も薄いので、鏡面加工とツヤ消しの加工との見た目の色の差はあまりありません。岩石の特質として構成物質が大きく入っていると、それぞれの鉱物の間にある隙間が大きくなってしまいます。このようなピンホールや空隙などが生じる可能性がある為、御影石の中では吸水率が高くなっています。このような事から、製品として扱われる時には、石材の裏面に穴埋めや補修の後が見られる事もあります。

 

表面の仕上げについて

 

基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。

 

本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。

 

この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。

 

「グリス・ペルラ」を取り扱う時の留意点

天板に使われる事も多い御影石の「グリス・ペルラ」ですが、注意することが幾つかあります。

 

御影石は硬いと言う事を忘れないように。

食器など、陶器やガラス製品は少しぶつけただけでも欠けたり、割れたりします。木製のテーブルなどでは大丈夫でも、天然石の場合は硬さが違うのでやさしく扱ってください。コースターやランチョンマット(プレースマット)を利用することで、「グリス・ペルラ」の調度品も食器なども両方の保護に役立ちます。

デリケートなところもあります。

御影石は化学変化にも多少の耐性はありますが、強力な酸やアルカリ、又は弱い成分でも長期間付着したままにすると、シミやサビが浮き出ることがあります。キッチンでは漂白剤や洗剤も使います。また、果汁などが付いた時も速やかに拭き取ってください。美しい鏡面を長持ちさせるためにも、こまめなお手入れは必須となります。

「グリス・ペルラ」に適した製品

 

白御影石の中でも柄が大きめです。

天板

ショップのカウンタートップや洗面台など様々な所で、天板として使われています。白と言う清潔感のある色と、天然石の持つ高級感でお部屋の雰囲気もぐっと上がる事でしょう。「グリス・ペルラ」は、柄のおかげで石材の硬く冷たいイメージが抑えられ、華やかな雰囲気も作り出せるのではないでしょうか。

彫刻

公共の場の屋外を彩る作品が作られています。美術館の前庭や公園に設置される芸術品としての石造品です。作家の手による御影石の彫刻は、一般に売られているオブジェとは違い、大型の作品が多くなっています。「グリス・ペルラ」はこのような大役も果たせる石材と言えるでしょう。

 

「グリス・ペルラ」のまとめ

 

御影石はいろいろな鉱物で成り立っています。それらの鉱物のほとんどは光沢があり、光をよく反射します。特にツヤを抑えた加工の物は表面がランダムになるので、キラキラと部分的に反射するのがよくわかります。派手さはなくても、天然の石だからこそ見られる美しさが御影石にはあります。「グリス・ペルラ」を直訳すると「灰色の真珠」です。シックで、大人のジュエリーとなり得るイメージがある御影石の「グリス・ペルラ」は、生活空間を潤わす表情豊かな素材と言えるのではないでしょうか。

2022年11月のしらべ

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。