ブランコドマール ポルトガル産ライムストーンのご紹介

ブランコドマール(Branco Do Mar)のしらべ

採石場のあるポルトガルの言葉で、「白い海」と呼ばれる石灰岩が「ブランコ ド マール」です。
原始の海に生きていた様々な生物の残したものが降り積もって出来上がった「ブランコ ド マール」は、高品質の緻密で上品な色合いの石材です。

 

 

 

「ブランコ ド マール」の原産地

ヨーロッパの一番西の端に位置するポルトガル共和国の中部、大西洋岸にレイリア県があります。そのほぼ中央にあるポルト・デ・モスと言う町で、石灰岩の「ブランコ ド マール」が切り出されています。
この町は大西洋沿岸へ二十数㎞ほどですが、いくつかの山々に囲まれています。古くから石灰岩の採石が盛んなところで、古代ローマ時代には貨物を運べる船が航行できる川があった事から、石切り場から船で大西洋沿岸まで運ぶことが可能でした。
このような史実が石臼を運び出す港の意味を持ち、ポルト(ポルトガル語で港の意)、モス(同じく石臼)が、この町の名前の由来と言われています。石灰岩の多い二つの山脈では、恐竜の足跡の化石を見る事の出来る場所があり、美しい鍾乳洞もあります。このような自然環境を守るために、この地域にはアイレ・イ・カンデエイロス山脈自然公園が国によって制定され、環境を保護すると共に、都市部の人々に自然を体感できるレジャーを提供しています。

「ブランコ ド マール」の特徴

水磨き

ブランコは白を表す言葉ですが、ライムストーンの「ブランコ ド マール」は薄いベージュ系の石です。
マールはポルトガル語で海を表す単語で、この石が出来た過程に於いて、古代の海に生息していた多くの生物が大きく関与していたことから名付けられたと言えます。
ヨーロッパで採石される石灰岩の多くは、中生代ジュラ紀が起源となる事がほとんどで、化石が含まれる事も多々あります。
「ブランコ ド マール」にも化石が含まれることがありますが、はっきりとした形ではなく、地色より少し濃い色の結晶として見られます。
薄いベージュ系なので、茶色やこげ茶色の粒やそれより少し大きい塊としてちらばっているのが見られます。
その為、ツヤを抑えた表面加工の石材は均一の色に見えます。本磨きと言われる、表面を鏡のように磨き上げた加工の物では化石を見る事も出来ますが、小さくはっきりしないものが多いようです。
色に差はあまりありませんが、表現の仕方によってクリーム色やオフホワイトと紹介される事もあります

「ブランコ ド マール」を取り扱う時の留意点

石の種類

石灰岩は、石材の中でも比較的柔らかく、脆い性質の石種です。
「ブランコ ド マール」は石灰岩ですが、その中でも緻密で硬い石なので、大理石と称されることがあります。どちらも炭酸カルシウムが主成分の石ですが、大理石はマグマなどによる高熱を受け、結晶化した石灰岩の一つで、学問上では結晶質石灰岩と呼ばれています。
「ブランコ ド マール」は普通の石灰岩なので、太古の生物の殻や骨格が降り積もって出来た堆積岩になります。お手入れなどに多少の差があるので、注意が必要です。

水濡れに於いての安全性

「ブランコ ド マール」はライムストーンの中でも高品質な石材です。その為、通常では床材としてはあまり使用されないライムストーンでも、床に利用されることがあります。
床に使われる時には、ツヤのある表面加工の物を選ばれると、雨などによって濡れている時に滑ってしまう危険性が生じます。足元の安全性の為には、滑りにくい表面加工の物を使われるのがよいでしょう。
また、濡れた時には速やかに水分をふき取る事をお勧めします。

 

 

「ブランコ ド マール」に適した製品

住宅のポイント

ライムストーンは石材の中でも加工が容易な種類の石です。様々に意匠を凝らした柱や窓枠なども作られています。大げさな彫刻やレリーフではなく、簡素なデザインの物でしたら、一般の家屋でも違和感なく使えるのではないでしょうか。
「ブランコ ド マール」は柔らかい雰囲気を持つ色の石なので、どんな家屋にでも合わせる事が可能と言えます。玄関の軒を支える柱や、玄関ドアの周りのアクセントなど、様々な住宅のちょっとした所に使うだけでも、さりげない高級感を醸し出してくれるでしょう。

内装材

「ブランコ ド マール」は壁や床材にも最適です。壁には鏡面加工を施したものを、床には少しザラついたつや消しのような加工のものを利用されるとよいでしょう。色の変化が少ない石なので、広い場所での使用が容易になるのではないでしょうか。腰壁と言う床から窓枠までの高さの壁に違う素材の建材を使い、上部に「ブランコ ド マール」の優しい色合いを用いれば屋内空間にメリハリをつける事も出来ます。
また、濃い色の石と組み合わせれば、モザイクなどの様々な模様を作り出すこともできます。

 

「ブランコ ド マール」のまとめ

大理石には純白と言える色の石がありますが、石灰岩にはそこまで白い石はありません。それでも「ブランコ ド マール」は、白と言って差し支えないほど彩色の無い石と言えます。
その、白い石の中に含まれる小さな化石が、大昔の海を豊かにしていた多種多様な生物であったことから、この石に海を見出した先人がいたのでしょう。
この乳白色の石灰岩には、「ブランコ ド マール」と言う名前が最適だったのではないでしょうか。

2022年11月のしらべ

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